ウェブ掲示板--おそらく日本初の、緘黙についての交流の場

2017年08月06日(日曜日)

アイキャッチ画像。
場面緘黙症についての交流の場としては、日本では初めてではないか--

2000年頃にインターネット上で生まれた、緘黙などをテーマとした掲示板のことです。

アメリカやイギリスとは違い、日本ではインターネット普及以前には、緘黙の支援団体はありませんでした(初の団体設立は2006年)。小さな親の会などの存在も、少なくとも私は聞いたことはありません。日本では、ネット上の掲示板が、緘黙の当事者・経験者、保護者らの最初の交流の場だったのではないかと私は見ています。

今回は緘黙の掲示板を、その初期である2000年代前半を中心に取り上げたいと思います。今となってはネット上にあまり残っていない幻の交流の場です。私は当時をリアルタイムで知る者として、しっかりとお伝えしたいと思います。お付き合いいただけると幸いです。

今回の記事では、緘黙の掲示板を2通りに分類してお話します。一つは、業者運営型。もう一つは、個人運営型です。整理してお話したいと思います。

業者運営型の掲示板


緘黙掲示板の代表格だった「Yahoo!掲示板」


「Yahoo!掲示板」というツリー型掲示板がかつて Yahoo!Japan にあり、数多くの書き込みが寄せられていました。緘黙についても「緘黙症」というトピックがありました。

↓ 現在アクセスできません。
◇ Yahoo!掲示板「緘黙症」 (新しいウィンドウで開く

webアーカイブスサービス「Wayback Machine」で調べたところ、トピックが立ち上がったのは2000年11月13日のことでした。確認できる最後の投稿は2003年4月26日で、この時点で1,624件の書き込みが寄せられています。

その後間もなく、後継トピック「緘黙症(再)」が立ち上がりました。この後継トピックは、確認できる最後の投稿が2004年7月15日で、この時点で251件の書き込みを記録しています。両者合わせると、1日平均1件以上の書き込みがなされた計算になります。

育児カテゴリに保護者が立てたトピックとあって、当事者・経験者よりも保護者の書き込みの方が多かったようです。

トピックは早くも2000年に立ち上げられていますし、書き込み頻度も多く、さらに緘黙を掲示板の明確なテーマとして掲げていることから、緘黙に関する初期の掲示板では最も代表的なものと言えるのではないかと思います。

なお、Yahoo!掲示板の投稿によると、これ以前にも「しゃべらない子」と題する、緘黙に関するトピックが立てられていたようです。その詳細についてまではつかめませんでした。


裏の代表格だった「2ちゃんねる」


Yahoo!掲示板が、緘黙掲示板の表の代表格とすれば、裏の代表格は2ちゃんねるでしょう。

2003年6月16日に最初のスレッドが立てられ、およそ2年後の2005年3月11日に書き込み数が1,000件に達しました。ここでも1日平均1件以上の書き込みがなされた計算になります(ただし、スレッドの趣旨とは無関係な書き込みも含みます)。緘黙のスレッドは以後も続きますが、2000年代後半以降の掲示板の状況については今回の記事の対象外ですので、触れずにおきます。

この2003年に立てられた最初の緘黙スレッドは、現在でも閲覧できます。この時期の掲示板での緘黙に関する書き込みが現在でも全て残っているのは、この2ちゃんねるスレッドぐらいです。貴重ですので、ご紹介することにします。保護者の書き込みも少なくありませんが、どちらかと言えば当事者・経験者の書き込みが多いかもしれません。

↓ 2ちゃんねる「場面緘黙症」最初のスレッド。
◇ ◆場面緘黙症◆ (新しいウィンドウで開く





メンタル系サイト-緘黙当事者サイトのルーツ

2016年08月07日(日曜日)


2003年、緘黙サイトが雑誌に掲載


場面緘黙症のホームページを個人で作って、雑誌の取材を受けた方がいらっしゃることをご存じでしょうか。

その方は、最初期の緘黙サイト「ココロのひろば」の管理人さんです。2003年に雑誌『SWITCH』に掲載されました(2003年5月号、第21巻第5号)。

◇ ココロのひろば (新しいウィンドウで開く

※ ココロのひろばは、何年も前から更新を停止しています。

記事の中には「場面緘黙症」の文字がありましたし、緘黙の簡単な解説もなされていました。当時は、メディアや創作物で緘黙が取り上げられることが今よりも少ない時代でした。それだけに、雑誌掲載は大きな出来事だったはずです。

この『SWITCH』2003年5月号は「インターネットの神々」と題し、メンタル系サイト(雑誌記事では「精神(メンタルヘルス)系」サイト)と呼ばれる個人ホームページの運営者らを6ページにわたって取り上げていました。


メンタル系サイトとは何か


メンタル系サイトと言っても、最近はこうしたサイトは少なくなったため、若い方には馴染みが薄いかもしれません。メンタル系サイトの説明として、『SWITCH』の説明をお借りします。

「引きこもりや鬱・人格障害など心の病や障害に悩む若者が自発的に始めたサイト」「病気になった自分のことをカミングアウトする、精神系ホームページ」「誰でも書き込みできる掲示板を通じて、同じような悩みを抱える人たちの心の拠り所・相談所ともなっている」

思うに、

○ サイトのテーマが心の問題
○ 当事者による個人運営のサイト
○ 掲示板が存在し、当事者が交流

の3つが、メンタル系サイトの重要な要素だったのではないかと思います。

メンタル系サイトの呼び方には統一されたものがなく、『SWITCH』の記事のように、「精神系サイト」とか「メンタルヘルス(系)サイト」とか、様々な呼び方があります。


メンタル系サイトから、緘黙当事者サイトの歴史が始まる


『SWITCH』によると、「ココロのひろば」の管理人さんがホームページを持ちたいと思うようになったのには、あるメンタル系サイトとの出会いがあったそうです(ひきこもりを扱ったサイトだったそうです)。そのメンタル系サイトの影響から「ココロのひろば」が生まれ、緘黙当事者サイトの歴史が始まりました。「ココロのひろば」自体が、当時で言うメンタル系サイトでした。

2000年代初め頃の初期の緘黙サイトには、メンタル系サイト全般との関わりが多少あったように思います。ウェブリング「緘黙の輪」には「くじらのしっぽ」など、緘黙とは関係が薄いメンタル系サイトがいくつか登録されていました。私などは、「リアルで不足しがちな『心の隙間』を補うサイト」というメンタル系サイトが印象に残っています。「緘黙の輪」には登録されていなかったものの、当時の複数の緘黙サイトからリンクを張られていました。

そもそも、私が現在「初期の緘黙サイト」などと勝手に呼んでいるサイトの数々は、本当はむしろ「緘黙を扱っていたメンタル系サイト」という呼び方の方が合っているようにも思います(保護者のサイトは少し話が違いますが)。だいたい、サイトの名前からして「ココロのひろば」とか「ほほえむ」といった具合で、サイト名に「緘黙」の文字は入れずに、当事者の内面的なものを押し出すサイト名が目立ちました。


メンタル系サイトは、緘黙当事者サイトのルーツ


このように、緘黙当事者サイトのルーツにはメンタル系サイトがあると私は見ています。この流れが、後に緘黙の当事者ブログにつながっていくのです。

ただ、緘黙当事者ブログは、メンタル系サイトの流れを一部汲んではいるものの、少し性格が違います。何より、交流の場として重要だった「掲示板」がブログにはありません。「ホームページ」から「ブログ」の時代に移るにつれ、メンタル系サイトは姿を消してゆくことになります。

場面緘黙症Journalにしても、掲示板が存在する個人運営のサイトではありますが、掲示板は寂れていますし、客観的な事実の提供に力を入れる情報サイトという感があり、メンタル系サイトとは程遠いと思います。

なお、私に雑誌取材のオファーが来たことはありません(そりゃそうだ)。

※ 毎年8月には、緘黙サイトの歴史をお話しすることにしています。昔を知る人間として、語ってゆきたいです!

「ブログ村」緘黙ブログのシェアが、長期にわたって増加傾向

2016年07月30日(土曜日)


にほんブログ村「場面緘黙症」カテゴリー


場面緘黙症のブログを語る上で、欠かせない存在が「にほんブログ村」です。

ブログ村にはカテゴリー「場面緘黙症」があり、数多くの緘黙ブログがここに参加しています。現在、緘黙カテゴリーの参加メンバー数は88件、パソコン版ページでランキングに表示されているブログの数は48件にのぼります。

◇ 場面緘黙症 - メンタルヘルスブログ村  (新しいウィンドウで開く

今回、私はこのブログ村緘黙カテゴリーの歴史について少し調べ、「用語集」のコメントとしてまとめました。要点をお話しすると、緘黙カテゴリーができたのは2008年10月のことで、参加メンバー数は今日まで、ほぼ一定したペースで増加していることが分かりました。

↓ 場面緘黙症Journal 用語集へのリンクです。
◇ にほんブログ村~場面緘黙症Journal  (新しいウィンドウで開く


緘黙ブログのシェアが、長期にわたって増加傾向


ですが、ついでにもう一つ気になったことを調べてみました。それは、ブログ村に登録している全ブログのうち、緘黙カテゴリーに参加しているブログの割合の推移です。調べた結果、緘黙カテゴリーに参加するブログの全体でのシェアは、長期間にわたって増加傾向にあることが分かりました。

表

表の縦軸は、緘黙カテゴリー参加ブログ数が、ブログ村全ブログ数に占めるシェアを%で表したものです。集計は四半期毎に行なっています。集計にあたっては、ウェブページのアーカイブサイト Wayback Machine の記録を参照しました。残っている記録が限られている関係で、集計は多少アバウトですが、おおまかな傾向はつかめるのではないかと思います。

この表の詳細について興味のある方は、次のxlsxファイルをご覧ください。雑な資料で申し訳ないのですが……。

↓ Excel2010でまとめたものです。15KB。
◇ xlsxファイル  (新しいウィンドウで開く

ちなみに、この記事を書いている2016年7月30日夜現在では、緘黙カテゴリー参加メンバー数は88件、ブログ村全登録ブログ数は921,061件で、そのシェアは0.0096%です(小数点第5位四捨五入)。シェアは増加傾向にあることから、近いうちに、0.01%の大台に乗るのではないかと思います。

緘黙の認知度が上がっているから、シェアが伸びているんだ!……と解釈するのはやや苦しいようにも思うのですが、ともかく、興味深い傾向です。

[追記(2016年7月31日)]

表と資料を若干修正しています。