メンタル系サイト-緘黙当事者サイトのルーツ

2016年08月07日(日曜日)


2003年、緘黙サイトが雑誌に掲載


場面緘黙症のホームページを個人で作って、雑誌の取材を受けた方がいらっしゃることをご存じでしょうか。

その方は、最初期の緘黙サイト「ココロのひろば」の管理人さんです。2003年に雑誌『SWITCH』に掲載されました(2003年5月号、第21巻第5号)。

◇ ココロのひろば (新しいウィンドウで開く

※ ココロのひろばは、何年も前から更新を停止しています。

記事の中には「場面緘黙症」の文字がありましたし、緘黙の簡単な解説もなされていました。当時は、メディアや創作物で緘黙が取り上げられることが今よりも少ない時代でした。それだけに、雑誌掲載は大きな出来事だったはずです。

この『SWITCH』2003年5月号は「インターネットの神々」と題し、メンタル系サイト(雑誌記事では「精神(メンタルヘルス)系」サイト)と呼ばれる個人ホームページの運営者らを6ページにわたって取り上げていました。


メンタル系サイトとは何か


メンタル系サイトと言っても、最近はこうしたサイトは少なくなったため、若い方には馴染みが薄いかもしれません。メンタル系サイトの説明として、『SWITCH』の説明をお借りします。

「引きこもりや鬱・人格障害など心の病や障害に悩む若者が自発的に始めたサイト」「病気になった自分のことをカミングアウトする、精神系ホームページ」「誰でも書き込みできる掲示板を通じて、同じような悩みを抱える人たちの心の拠り所・相談所ともなっている」

思うに、

○ サイトのテーマが心の問題
○ 当事者による個人運営のサイト
○ 掲示板が存在し、当事者が交流

の3つが、メンタル系サイトの重要な要素だったのではないかと思います。

メンタル系サイトの呼び方には統一されたものがなく、『SWITCH』の記事のように、「精神系サイト」とか「メンタルヘルス(系)サイト」とか、様々な呼び方があります。


メンタル系サイトから、緘黙当事者サイトの歴史が始まる


『SWITCH』によると、「ココロのひろば」の管理人さんがホームページを持ちたいと思うようになったのには、あるメンタル系サイトとの出会いがあったそうです(ひきこもりを扱ったサイトだったそうです)。そのメンタル系サイトの影響から「ココロのひろば」が生まれ、緘黙当事者サイトの歴史が始まりました。「ココロのひろば」自体が、当時で言うメンタル系サイトでした。

2000年代初め頃の初期の緘黙サイトには、メンタル系サイト全般との関わりが多少あったように思います。ウェブリング「緘黙の輪」には「くじらのしっぽ」など、緘黙とは関係が薄いメンタル系サイトがいくつか登録されていました。私などは、「リアルで不足しがちな『心の隙間』を補うサイト」というメンタル系サイトが印象に残っています。「緘黙の輪」には登録されていなかったものの、当時の複数の緘黙サイトからリンクを張られていました。

そもそも、私が現在「初期の緘黙サイト」などと勝手に呼んでいるサイトの数々は、本当はむしろ「緘黙を扱っていたメンタル系サイト」という呼び方の方が合っているようにも思います(保護者のサイトは少し話が違いますが)。だいたい、サイトの名前からして「ココロのひろば」とか「ほほえむ」といった具合で、サイト名に「緘黙」の文字は入れずに、当事者の内面的なものを押し出すサイト名が目立ちました。


メンタル系サイトは、緘黙当事者サイトのルーツ


このように、緘黙当事者サイトのルーツにはメンタル系サイトがあると私は見ています。この流れが、後に緘黙の当事者ブログにつながっていくのです。

ただ、緘黙当事者ブログは、メンタル系サイトの流れを一部汲んではいるものの、少し性格が違います。何より、交流の場として重要だった「掲示板」がブログにはありません。「ホームページ」から「ブログ」の時代に移るにつれ、メンタル系サイトは姿を消してゆくことになります。

場面緘黙症Journalにしても、掲示板が存在する個人運営のサイトではありますが、掲示板は寂れていますし、客観的な事実の提供に力を入れる情報サイトという感があり、メンタル系サイトとは程遠いと思います。

なお、私に雑誌取材のオファーが来たことはありません(そりゃそうだ)。

※ 毎年8月には、緘黙サイトの歴史をお話しすることにしています。昔を知る人間として、語ってゆきたいです!

「ブログ村」緘黙ブログのシェアが、長期にわたって増加傾向

2016年07月30日(土曜日)


にほんブログ村「場面緘黙症」カテゴリー


場面緘黙症のブログを語る上で、欠かせない存在が「にほんブログ村」です。

ブログ村にはカテゴリー「場面緘黙症」があり、数多くの緘黙ブログがここに参加しています。現在、緘黙カテゴリーの参加メンバー数は88件、パソコン版ページでランキングに表示されているブログの数は48件にのぼります。

◇ 場面緘黙症 - メンタルヘルスブログ村  (新しいウィンドウで開く

今回、私はこのブログ村緘黙カテゴリーの歴史について少し調べ、「用語集」のコメントとしてまとめました。要点をお話しすると、緘黙カテゴリーができたのは2008年10月のことで、参加メンバー数は今日まで、ほぼ一定したペースで増加していることが分かりました。

↓ 場面緘黙症Journal 用語集へのリンクです。
◇ にほんブログ村~場面緘黙症Journal  (新しいウィンドウで開く


緘黙ブログのシェアが、長期にわたって増加傾向


ですが、ついでにもう一つ気になったことを調べてみました。それは、ブログ村に登録している全ブログのうち、緘黙カテゴリーに参加しているブログの割合の推移です。調べた結果、緘黙カテゴリーに参加するブログの全体でのシェアは、長期間にわたって増加傾向にあることが分かりました。

表

表の縦軸は、緘黙カテゴリー参加ブログ数が、ブログ村全ブログ数に占めるシェアを%で表したものです。集計は四半期毎に行なっています。集計にあたっては、ウェブページのアーカイブサイト Wayback Machine の記録を参照しました。残っている記録が限られている関係で、集計は多少アバウトですが、おおまかな傾向はつかめるのではないかと思います。

この表の詳細について興味のある方は、次のxlsxファイルをご覧ください。雑な資料で申し訳ないのですが……。

↓ Excel2010でまとめたものです。15KB。
◇ xlsxファイル  (新しいウィンドウで開く

ちなみに、この記事を書いている2016年7月30日夜現在では、緘黙カテゴリー参加メンバー数は88件、ブログ村全登録ブログ数は921,061件で、そのシェアは0.0096%です(小数点第5位四捨五入)。シェアは増加傾向にあることから、近いうちに、0.01%の大台に乗るのではないかと思います。

緘黙の認知度が上がっているから、シェアが伸びているんだ!……と解釈するのはやや苦しいようにも思うのですが、ともかく、興味深い傾向です。

[追記(2016年7月31日)]

表と資料を若干修正しています。

「場面緘黙」と検索しても1件しかヒットしない時代があった

2015年08月12日(水曜日)

アイキャッチ画像。

緘黙の認知拡大に、インターネットが一定の役割


「テレビ番組で場面緘黙症を知った」「マンガで緘黙を知った」

最近、テレビ番組や人気マンガなどで緘黙が取り上げられる機会が増えているように思います。ですが、緘黙が取り上げられるに至った経緯をよく調べてみると分かるのですが、これにはインターネット上で緘黙について情報発信などをしている人たちの言動が関係していることがあります。

また、日本最大の緘黙支援団体「かんもくネット」は、緘黙についての啓発活動を行い実績を積み重ねていますが、この団体はインターネット上の交流から生まれたものです(かんもくネットさんは、場面緘黙症Journal 掲示板での情報交換がきっかけで誕生した団体だとおっしゃってくださっています)。

このように、緘黙の認知拡大には、インターネット上での緘黙の当事者、経験者、保護者らの情報発信ややりとりが、一定の役割を果たしてきました。他のアジア諸国と比べると、日本のネット上での緘黙コミュニティの発展度合いは群を抜いています。

そのインターネットの緘黙コミュニティの起源をたどると


ところで、こうしたネット上の緘黙コミュニティの起源をたどると、2000年頃から発展した「ココロのひろば」などの、個人の緘黙ホームページの時代にまで遡ります。インターネットで「場面緘黙」と検索しても1件しかヒットしなかったという時期に、緘黙の個人ホームページが立ち上がっていきました。

この頃あたりから、インターネットで緘黙が話題になり始めます。そして、「ネットで緘黙を知った」という声が聞かれるようになっていき、その輪が広がりを見せていきます。私もこの頃に「ココロのひろば」が提供するウェブリング「緘黙の輪」に登録されていたサイトを偶然訪問したことから緘黙を知り、後に、こうしたサイトに影響されて「場面緘黙症Journal」を開設しました。

今日のネット上での緘黙コミュニティの発展の全てが、この個人ホームページ時代から続く流れのものとまでは言えないかも知れませんが、後の緘黙コミュニティの発展に与えた影響は少なくないはずです。

あまり顧みられない初期の緘黙ホームページ


ところが、こうした初期の緘黙ホームページの時代を語る人は、現在ほとんどいません。世代が代わったのかもしれませんが、少し残念です。今日の緘黙の認知拡大は、こういった初期の個人ホームページの時代を無視して考えることはできないと私は考えるからです。

といっても別に、初期の緘黙ホームページ開設者の功績を称えて銅像を建てろとか、そんな大仰なことを言うつもりはありませんが、もう少し顧みられてもいいような気がします。そういうわけで、毎年夏、歴史を思い起こす機会が多いこの時期に、意識的に緘黙サイトの歴史について語ることにしています。

関連リンク


↓ 「ココロのひろば」より。インターネットで「場面緘黙」と検索しても1件しかヒットしなかった頃に、サイトを立ち上げたことが書かれてあります。緘黙の啓発を考えている方には、ぜひ読んでいただきたいです。

◇ あとがき (新しいウィンドウで開く