場面緘黙症児の特徴を調べた論文

2007年08月29日(水曜日)

場面緘黙症については、国内外で数多くの研究論文が発表されてきました。私は専門家ではないのですが、それらの論文について、ここで少しずつ取り上げていきたいと思います。私自身の勉強も兼ねて。

今回取り上げる論文は、これです。

Black, B., and Uhde, T.W. (1995). Psychiatric characteristics of children with selective mutism: A pilot study. Journal of the American Academy of Child and Adolescent Psychiatry, 34(7), 847-856.

場面緘黙症児の特徴を調べたものです。場面緘黙症の子ども30人について、彼ら・彼女らがどういった場面で話さないかとか、他の精神医学的な障害を持っているかどうかとか、家族に緘黙や社会恐怖症(社会不安)の人がいるかとか、緘黙になる前にトラウマを経験したかとか、そういったことを調べています。なお、親の養育態度(過保護だとか支配的だとか)については、調査の対象にはなっていません。

この論文は、被引用回数がとても多いです(だから、最初にこの論文を取り上げました)。最近日本語版が発売された『場面緘黙児への支援』でも、この論文が何箇所か引用されています(Black and Uhde, 1995 というのがそれです)。






バージニア銃乱射事件の犯人に、場面緘黙症の診断

2007年08月22日(水曜日)

The Wall Street Journal(オンライン版)に、selective mutism(場面緘黙症)の文字を発見しました。

しかし、よく記事を読むと、それは今年4月に起きたバージニアの銃乱射事件に関するものでした。[注]

記事によると、事件の犯人は過去に場面緘黙症と診断されていて、しかも「情緒障害」として高校時代には特別な教育を受けていたというのです。

以前お話したように、バージニア事件の彼は場面緘黙症だったのではないかと一部で話題になっていたのですが、それは憶測の域を出ないものでした(「バージニア事件と場面緘黙症」参照)。今回は、The Wall Street Journal という米国を代表する新聞が、彼が過去に場面緘黙症の診断を受けていた事実があったことをはっきりと伝えているもので、重要な記事だと思います。

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彼が乱射事件を起こしたのは、アメリカ社会に適応できなかったことが関係しているのではないかという見方は、以前からあったようです。今回の記事は、それを情緒障害教育の大学教育への橋渡しという視点から論じている、と私は読み取りました。

彼が進学した大学では、特別な支援が必要な学生に対する積極的な配慮が、高校と違って弱かったそうです。やはり大学とあって学生を大人扱いしているのでしょうか、学生の方から何らかの要求をしなければ、大学側は動かないようです。

情緒障害の人が全て重大犯罪を起こすというわけではもちろんありませんし、情緒障害だから犯罪をしても許されるという理屈は通りません。ですが、特別な教育が必要な子への配慮という点では考えさせられる記事です。

私たちとしては、学校側が何か配慮してくれるのを待つのではなく、学校側に自分たちから働きかけることも必要です。ただ、保護者ならまだしも、緘黙の本人が、学校側に何かを要求するというのは難しいことだろうと思います。

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[注] From Disturbed High Schooler to College Killer というタイトルの記事で、日付は 2007年8月20日です。記事では、場面緘黙症の彼にとられた具体的な指導法、治療法まで詳しく書かれています。

[関連記事]

◇ バージニア銃乱射事件と場面緘黙症の報道・まとめ場面緘黙症Journal特選記事
◇ 毎日新聞にも、緘黙とバージニア事件の記事が
◇ バージニア事件と場面緘黙症


[緘黙] 学級文集 [ストーリー]

2007年08月15日(水曜日)

連続ブログ小説・私の緘黙ストーリーです。

○ 前回の話⇒「こちら」
○ 緘黙ストーリーの目次⇒「こちら」
○ 緘黙ストーリーのあらすじ⇒「こちら」

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小学5年も終わるということで、記念に学級文集を作ることになりました。

■ 「大人しい富条君」

学級文集は小学4年の3学期にも作りました。あいにく内容は覚えていないのですが、表紙だけは今でもよく覚えています。担任のM先生が児童全員の似顔絵を書いて、その横に、その子のキャラクターについてコメントをしたものでした。

私についても似顔絵とコメントがあったのですが、そのコメントは「大人しい富条君」とそっけないものでした。「お前は、大人しいぐらいしか個性がないのか」と母から茶化されたものです。

■ とても緊張している子の絵

今回、小学5年のクラスの学級文集は、Mさんというクラスの女子が表紙デザインを担当しました。Mさんといえば、以前少しお話したことがあるのですが、私の友達・K君の近所に住んでいた女の子です。

Mさんが描いた表紙は漫画チックなものでした。クラスで作文を発表する場面を描いたもので、クラスメイトと思われる人物5~6名ぐらいの人物画がありました。

この絵に、富条君がのってる。

こんな噂が流れていました。