2009年に出ている日本の緘黙関連論文(確認分)

2009年06月23日(火曜日)

近年、わが国においては、場面緘黙症の(元)当事者やその関係者らが中心となって、緘黙に関する本が次々に出版されています。私などは、これに刺激を受けて、学術の世界でも、緘黙の研究がもっと活発に行われるようになるのではないかとか、これまでにない緘黙の論文が出るようになるのではないかなどと少し期待していました。しかし、私の知る限り、今のところそうした動きはありません。

さて今回は、場面緘黙症に関連する日本の新しい論文2本を取り上げ、簡単なコメントを加えます。私は専門家ではないのですが、自分自身の勉強も兼ねて。

◇ 中山たまき, 中山篤, 浦源次 (2009). 特別支援学級在籍児童の居場所獲得の過程-A児の事例-. 群馬大学教育実践研究, 26, 277-285.

これは面白かったです。特別支援学級に在籍する緘黙の子の事例ですが、普通学級の緘黙の子への支援を考える上でも、示唆するところがあると思います。緘黙の子(特に小学校低学年前後)をお持ちの保護者の方や、そうした子を受け持つ先生方には、面白い内容かもしれないと思います。

この論文では、話すことを支援の目標には置いていないのですが、不安を軽減させ、活動の範囲を増やすことに成功しています。

ところで、論文の中で気になった箇所を二つ。

○ 「A児の気持ちを第一に決めたいと思ったが、本児というより母親の意向が強いような印象を持った」

緘黙の子と保護者の意向が対立した場合、支援する立場の者は、どちらの意向をより尊重すればよいのだろうかと考えさせられました。緘黙の子の年齢が上であればあるほど、本人の意向を尊重ということになるのでしょうか。このあたり、私にはちょっと分かりません。

○ 「母親は担任教師に対してとても協力的で、A児の理解の助けになればと多くの資料を提供してくれたり」

資料とは、もしかすると、以前このサイトでも配布していたものでしょうか(現在、資料はかんもくネットさんに移り、「Knet 資料」となっています)。そうかどうかは分かりませんが、いずれにせよ、保護者のこうした協力が、担任の子どもに対する理解を深め、子どもが変わることにつながる、ということはやはりあるようです。保護者の頑張り次第で、子どもは変わります!

※ この論文は、以下のページよりPDF形式で無料で読むことができます。ページ下部「View/Open」をクリック。PDFを閲覧するにはAcrobat Readerが必要です。Acrobat Readerはこちら(新しいウィンドウで開く)からダウンロードできます。

群馬大学学術情報リポジトリ
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◇ 松浦直己, 岩坂英巳 (2009). 通常学級における認知行動療法の適用に向けて-事例検討と特別支援教育研究センターと地域連携の取り組み-. 教育実践総合センター研究紀要, 18, 203-209.

緘黙の子に、認知行動療法を学級担任が通常学級で行ったおそらくかなり珍しい事例で、興味深いです。ただ、少し専門的な内容で、教師や専門家向けだろうと思います。ただ、場面緘黙症の経験者(自己診断ですが)の私が読んでも、自分の認知の歪みについて考える上で、勉強になる箇所がありました。

※ この論文は、以下のページよりPDF形式で無料で読むことができます。ページ下部「View/Open」をクリック。PDFを閲覧するにはAcrobat Readerが必要です。Acrobat Readerはこちら(新しいウィンドウで開く)からダウンロードできます。

奈良教育大学学術リポジトリ
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緘黙を自力で治す方法?

2009年06月16日(火曜日)

場面緘黙症を治す方法について書かれた書籍はありますが、どれも保護者や専門家向けのもので、肝心の当事者を対象としたものはありません。当事者の多くは小さな子どもが多く、当事者を対象にした本は出しにくいと見られているのでしょうか。それとも、場面緘黙症を治すのは、保護者や専門家がすることということなのでしょうか。

場面緘黙症や、いわゆる後遺症で悩んでいる人は、自分の緘黙をどうやって治せばいいのでしょうか。保護者や専門家の力を借りればいいのでしょうか。

緘黙の当事者の話をネット上で観察していると、保護者や専門家に頼らず自力で治した(あるいは、治そうとしている)人がいることに気づきます。中には、緘黙を治す努力をしない人を「甘えている」などと非難する人もいます。

私も場面緘黙症の経験者ですが(といっても自己診断ですが)、どうしたわけか、保護者や専門家の力を借りず、緘黙を自力で治す方法に、昔から関心をもっていました。

■ 場面緘黙症を自力で治す方法?

そういうわけで、私が考えた、場面緘黙症を自力で治す方法を書いてみることにします。ただし、本当に効果があるかどうかは分かりません。半ば思いつきのような方法で、まだまだ完成度は低いと思っています。それから、私は緘黙の専門家でもありませんので、あまり真に受けることはおすすめしません。「こういう方法を考えている人もいる」程度に受け取っていただければと思います。

◇ 原理

原理は、『場面緘黙児への支援』や『場面緘黙へのアプローチ』で用いられている、行動療法と同じです。段階的に発話の目標を設定し、少しずつ声を出してみるということです。

◇ 一例

学校生活を例に挙げて、具体的に説明します。

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こうした体験が、緘黙が治るのに役立った

2009年06月09日(火曜日)

今月2日、アメリカの Associated Content という情報サイトに、場面緘黙症を主題とした記事が掲載されました。今回はこれを読んで考えたこと等をまとめます。


Selective Mutism from Childhood to Adulthood
Living with selective mutism - an extreme form of shyness - was difficult and almost life-threatening for me. This is my experience of living with this condition and what I did about it.
http://www.associatedcontent.comarticle/1782742/selective_mutism_from_childhood_to.html


今回の記事の最大の特徴は、場面緘黙症の経験者が、自らの体験を書いたことです。メディアで緘黙を主題にした記事は時々見かけますが(日本より英語圏が多いです)、これらはプロのジャーナリストが第三者の視点でまとめたものがほとんどです。しかし、今回の記事は違います。このような記事が実現した背景は、記事を掲載した Associated Content について知ると納得します。

* 以下引用(大村, 2007) *

アソシエイテッド・コンテント(Associated Content)は、世界の市民ジャーナリストから寄せられた、文字や動画像コンテンツを集めたニュースサイトを運営している。一般的な消費者投稿サイトと違う点は、コンテンツを審査し、審査を通過したものだけを出版することだ。コンテンツを1件あたり3~20ドルで購入し、閲覧件数の多かったものには、特別報奨金を用意する。

* 引用終わり *

つまり、審査に通った市民ジャーナリストの記事が掲載される、そんな情報サイトです。今回は、緘黙を経験した市民ジャーナリストの記事が採用され、掲載されたということなのでしょう。

記事には、緘黙によって経験した著者の困難の数々や、そのときの著者の思いが書かれてあり、同じ経験者としてとても共感しました(といっても、私の緘黙は自己診断ですが)。緘黙の経験者がどういったことで悩んでいるかには、洋の東西はないのではないかと思いました。

特に興味深かったのは、この記事の著者、現在は緘黙が少し治ってきているのですが、具体的にどういった経験(著者自身の努力を含む)が緘黙を治すのに役立ったかが書かれてあることです(3ページ目に書かれてあります)。これは、緘黙を自力で治そうと考えている方にとって、参考になるでしょう。といっても、英語で書かれているで、日本人には読みにくいですが。

なお、私は、場面緘黙症を自力で治すには、これこれこうしたことをすればよいのではないかということを漠然と考えているのですが、今回の記事の著者は、私が考えていることと大体同じことをして、緘黙症状が和らいでいます。自分の考えに少し自信が持てたので、緘黙を自力で治す方法をブログで書いてみようかとも思うのですが、本当にそうするかどうかはまだ決めていません。

[文献]

◇ 大村智子. (2007). ウェブ2.0とマーケティング Retrieved June 9, 2009, from netpr.jp: http://netpr.jp/uspr/001268.php