場面緘黙症とシグナリング理論

2009年12月29日(火曜日)

前回の記事「場面緘黙症と人的資本論」の補足記事です。今回も経済学に関するマニアックな内容です。それゆえ、年末のあまり人が見ていないこの時期に、ひっそりと公開することにします。

人的資本論について触れるなら、シグナリング理論についても触れておくべきと思ったので、そうすることにします。

私の大学時代の専攻は経済学ですが、経済学の理解ではさんざん苦しい思いをしてきました。こういう次第なので、私の説明には少し危なっかしいところもあるかもしれませんが、ご注意ください。

■ 人的資本論VSシグナリング理論

例えば、大卒者は、一般に高卒者に比べて所得が高いことが知られています。しかし、なぜなのでしょうか。経済学者の説明は、主に次の二つに分かれます。






場面緘黙症と人的資本論

2009年12月22日(火曜日)

場面緘黙症Journal は、毎年年末になると訪問者数が減ります。そこで、これを機に、ちょっとマニアックな記事を書いてみようと思います。

■ 経済学者による ADHD の予後調査

先日、私はアメリカの経済学者が著した ADHD(注意欠陥多動性障害) の予後調査の論文を読んでいました。技術的なところでよく分からない箇所があったのですが、概要はなんとか把握できたのではと思います。

Currie, J., and Stabile, M. (2006). Mental Health in Childhood and Human Capital. http://www.aeaweb.org/annual_mtg_papers/2007/0107_1015_1701.pdf

それにしても、なぜ経済学者が ADHD に着目したのでしょうか。その答えは、「人的資本」にあります。






selective mutism の名称を変えようという小さな動きが

2009年12月15日(火曜日)

場面緘黙症(選択性緘黙)は英語で selective mutism と言いますが、この名称を変えようという小さな動きが英語圏のウェブサイトで起っています。

PetitionOnline という嘆願サイト(英語サイト)があるのですが、そこで、"selective mutism" の名称を "anxiety-induced mutism" に変えてほしいという嘆願が、少しずつではありますが、集まっています。私がこの記事を公開した段階では、27の署名が集まっています。新たに提案された名称 anxiety-induced mutism は、日本語に訳せば、「不安誘発性緘黙」といったところでしょうか。嘆願先は、米国音声言語聴覚学会(American Speech-Language-Hearing Association)と米国心理学会(American Psychological Association)です。

PetitionOnline の緘黙に関する嘆願ページ
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この嘆願を立ち上げた方はアメリカ・ニュージャージーの preschool(幼稚園?保育園?)の教師です。この方は、ニュージャージーの情報サイト TheAlternativePress.com に、名称変更の嘆願を呼びかける投書をされています。

場面緘黙症は英語圏ではもともと elective mutism という名称でした。ところが、この elective という言葉が、緘黙の子が話さないことを選んでいるという誤解を広めかねないとして、1994年に現在の selective mutism に変更された経緯があります(elective と selective のニュアンスの違いは、私には分かりません)。しかし、この嘆願を提案された方は、この selective にもなお、緘黙の子が話さないことを選んでいるという暗示があると考えていらっしゃるようです。

この嘆願がこの先どれほど集まるか、そして本当に名称が変わるかどうか(簡単ではないでしょうが)、状況を見守りたいと思っています。