自分がこうだから、みんなもこうだ

2010年02月24日(水曜日)

「自分は緘黙なんてすぐに治ったから、緘黙は心配しなくてもよい」

「うちの緘黙の子はスパルタ方式で治ったから、場面緘黙症にはスパルタ方式が有効」

「私は緘黙だった頃、演歌が好きだったから、緘黙児はみな演歌好きなはず」

自分がこうだったからといって、みんなもそうとは限りません。ですが、実際に緘黙を経験したり、緘黙の子と関わった経験があったりすると、中にはついこのように考えてしまう人がいるかもしれません。一人、もしくは少数の緘黙の子の例を下手によく知っているだけに、緘黙について知っている情報に偏りが出てしまい、その偏った情報を一般化してしまうのです。

場面緘黙症についての話の中には、もしかしたら、こうしたものもあるかもしれません。注意したいです。

私とて、このあたりのところを注意してはいるつもりですが、知らず知らずのうちに自分の個人的な例を一般化していないとも言い切れません。特に緘黙ストーリーなどこのサイトの文章を読むときには、その点注意したいです。

もちろん、個人的な経験であっても、それを数多く集めれば、何か共通するものが見えてくることもあるでしょう。また、共通するものとまではいかなくても、どういった緘黙の子がどの程度の割合でいるか、といったことも分かるでしょう。場面緘黙症に関する研究の中には、緘黙症児を数多く集めて、様々なことを調べたものもあります。

それにしても、場面緘黙症の子にも、色々な子がいるのではないかと感じています。


場面緘黙児の親の会、自助グループについて

2010年02月23日(火曜日)

2006年6月10日に「場面緘黙児の親の会、自助グループはありません!」という記事をこのブログで公開しました。昔に書いた奥の方にある記事なので、今やご覧くださる方はあまりいないようなのですが、現在でも拍手をいただくことがあります。

しかし、この記事の情報は古いです。そこで、新たにその続編の記事を書くことにしました。過去の記事には、この記事へのリンクを貼り、こちらを読んでくださるように呼びかけています。

なお、このブログに限ったことではないのですが、インターネットの情報を見るときは、その情報が公開された日や最終更新日に注意することをおすすめします。

■ 場面緘黙症の支援団体

親の会や自助グループとは少し違うのですが、場面緘黙症の支援団体がその後日本にもできました。いずれの団体にも保護者や当事者の方たちが多数会員登録しています。ネット上の交流だけでなく、会員同士がじかに会って交流する試みも行われているようです。

※ 各団体へのウェブサイトへのリンクです。

◇ かんもくの会-日本へ最新の緘黙症治療法をもたらす会
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◇ かんもくネット ~場面緘黙児支援のための情報交換ネットワーク団体~
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■ インターネット上の交流

そのほか、インターネット上でも様々な交流があります。一般の掲示板(例。場面緘黙症Journal 掲示板)はもちろん、ソーシャルネットワーキングサイトでもコミュニティが作られるなど、活発な意見交換が行われています。


日本の緘黙研究を概観した論文

2010年02月16日(火曜日)

矢澤久史氏(東海学院大学)の「場面緘黙児に関する研究の展開」(2008年)が、ようやくネットで無料公開されました。

これは、日本の場面緘黙児に関する研究の展開を、特に初期の研究や、近年の研究に焦点を当てて概観したものです。

場面緘黙児に関する研究の展開
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↑ 国立情報学研究所が提供するサービス「CiNii」へのリンクです。ページ中段「本文を読む/探す」の「CiNii PDF」ボタンをクリック。PDFを閲覧するにはAcrobat Readerが必要です。Acrobat Readerはこちら(新しいウィンドウで開く)からダウンロードできます。

最近場面緘黙症を主題にした本の出版が相次いでいますが、いずれも英語圏の本の翻訳や、海外の手法を多く取り入れたものばかりです。日本の研究動向を知りたいという方には、上の論文はおすすめです。

日本の先行研究を積極的に引用した文献として、皆さんがお馴染みのものとしては、故河井芳文氏と河井英子氏による『場面緘黙児の心理と指導』(1994)があります。この本も、日本の研究を概観するのに役立ちますが、近年の研究はどうしてもカバーしていませんし、初期の研究についても弱いです。

もしかするとあまり知られていないかもしれないのでお話しすると、場面緘黙症に関する国内の研究は、最近でもある程度出ています。これらは、緘黙症に関する研究というよりはむしろ、緘黙の子を○△療法で治したという、治療の事例研究が多いです。矢澤氏の論文には近年の国内の事例研究が何件も引用されていますが、これらはごく一部で、おそらく代表的なもののみを取り上げたのだろうと思います。