緘黙・2011年の十大ニュース

2011年12月24日(土曜日)

私の独断と偏見で選ぶ、緘黙関係の2011年の十大ニュースです。繰り返しますが、私の独断と偏見によるものです。なお、過去にこのブログで記事にしたものについては、該当記事へのリンクも貼っています。

[第十位 緘黙経験者がモデルになったニュース(英)]

7月、緘黙だった少女(12)がモデルになったという話がイギリスのニュースサイトに掲載されました。なんでも、名のあるモデル事務所に所属されているそうです。この方はモデルになろうとしたのがきっかけで、緘黙を克服されています。

↓ こんな方です。可愛くて綺麗!
Tamzeng 2011 Winner
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※ ブログ記事・モデルになった緘黙少女(英)
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[第九位 教職員のための手引に、緘黙が]

8月、文部科学省が「教職員のための子どもの健康相談及び保健指導の手引」を出しました。この手引の、保健室登校・不登校の解説の中で、場面緘黙症のことが触れられています。2ページほどです。問題は、どれだけの教職員がこの箇所を読み、実際の児童生徒指導の中で生かすかですが、どうでしょうか。

※ ブログ記事・「教職員のための子どもの健康相談及び保健指導の手引」
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[第八位 『児童心理』2011年3月号に、緘黙が]

金子書房『児童心理』にはときどき緘黙に関する記事が出るのですが、今年の3月号には、かんもくネットの角田圭子代表による「学校でうまくいかない子の人間関係 学校で話せない子--場面緘黙の子が抱える困難」(56-62ページ)という記事が掲載されました。広汎性発達障害との鑑別という、最近の国内での緘黙研究の話題についても書かれてあります。

※ ブログ記事・『児童心理』2011年3月号
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[第七位 『心理臨床学研究』第28巻第6号に、緘黙のレビュー論文]

「場面緘黙研究の概観--近年の概念と成因論」(811-821ページ)。これも、角田圭子氏によるものです。『心理臨床学研究』は、日本心理臨床学会の学会誌です。

[第六位 米ABCニュースの報道番組Nightlineで緘黙が紹介]

Nightlineは有名な報道番組です。惜しむらくは、放送日によっては NHK BS1 で日本語通訳付きで放送されるところが、今回の緘黙の話についてはどうも放送されなかったらしいことです。日本でも緘黙がテレビで紹介されるということには、なりませんでした。ですが、大きなニュースです。

※ ブログ記事・ABCニュースNightlineで、緘黙が
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ABCニュースNightlineで、緘黙が

2011年12月20日(火曜日)

アメリカ ABC ニュースの Nightline という有名な報道番組で、場面緘黙症がトップで取り上げられました。5分47秒の内容でした。放送日は現地時間2011年12月16日(土)です。また、番組のウェブサイトでも、放送内容の動画や記事が公開されています。

放送では、場面緘黙症が実例を交えて概説されるとともに、非営利団体 Child Mind Institute の Steven Kurtz 氏による Brave Buddies という行動療法プログラムが紹介されています。

学校の行事で緘黙の子だけが直立不動にしている場面や、自分の誕生日ケーキのろうそくを吹けない場面、にもかかわらず家では活発にしている場面、さらには、行動療法を具体的に実践している場面などが全て映像化され、放送されています。これは大きなことだと思います。

この種の海外の報道に触れていつも思うことですが、こうした取材に応じる緘黙の子やその親御さんには頭が下がります。顔にモザイクをかけるとか、声を変えるとか、そうした編集は行われずに、素顔のまま、実名入りで、緘黙の子と親御さんがテレビ(動画)に写っています。特に家で緘黙していない場面をテレビに流されるのは緘黙の子にとってかなり大変なことではないかと思います。家での話し声を録音して学校でクラスメートに聞いてもらう方法なら、緘黙の克服に取り入れられることはありますが、大手テレビ局の放送となるとレベルが違います。

ABC の Nightline はよく NHK が BS で日本語通訳付きで放送していますが、今回の放送は、放送日の関係からおそらく放送されなかったのではないかと思います。もし放送されていたら、緘黙が日本でもテレビで紹介されていたことになるのですが、残念です。ですが、動画は上述のように日本でもウェブサイトで見ることができますし、番組全体のポッドキャストもダウンロードすることができます。

[関連リンク(YouTube へのリンク)]

◇ ABC ニュース・Nightline の緘黙に関する部分のみを抜粋した動画
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「緘黙児童」が登場するという漫画『力の在り処』

2011年12月13日(火曜日)

力の在り処 1 (IDコミックス DNAコミックス)各種ネット通販サイトで、「緘黙児童」が登場すると紹介されているという漫画があります。榎本ナリコ氏が描いた『力の在り処』という作品です。

「緘黙児童」というと、ふつう、場面緘黙症か全緘黙症の子どものことを指すのではないかと思います。例えば検索エンジンで "緘黙児童" と検索すると(""でくくるのがポイントです)、ヒットするコンテンツの多くは緘黙症に関するものです。ですが、そもそも「緘黙」は、よく言う緘黙症のことではなく、単に押し黙っていることを意味することもあります。

そこで、同作を実際に読んで、「緘黙児童」がよくいう緘黙児のことなのか確かめてみることにしました。結論を言うと、確かに物を言えないマコト君という小5男子が主要人物の1人として登場するのですが、この子が緘黙症かどうかは、はっきり分かりませんでした。彼の状態は全緘黙症に似ているのですが、それとは少し違う特徴も見られます。何より、肝心の作中に、マコト君が話せないのは医学的にどう説明されるのか、診断名は何かといったことが描かれていません。緘黙症が取り上げられた漫画だったら面白かったのですが……。

ただ、もしマコト君が緘黙症でなかったとしても、友達もおらず孤立していたり、いじめを受けたり、ちょっと内気なだけだとして問題を親に深刻視してもらえなかったりと(もちろんそういう親ばかりでもないのですが)、彼が直面する問題は緘黙症の子と通じる部分があり、面白く読めました。

『力の在り処』は全2巻ですが、マコト君はいずれの巻にも登場します。青年漫画(成年漫画ではありません)で、やや大人向けの内容です。

※ 私が読んだものは2002~2003年にアクションコミックスから出た単行本(全2巻)ですが、初出はほぼ同時期に『Weekly 漫画アクション』に連載されたものです。なお、同作は2010年に一迅社より新装版が出ています(全2巻)。