ドーナツと、緘黙支援団体の資金集め

2012年03月27日(火曜日)

Selective Mutism Network というアメリカの緘黙支援団体が、ファンドレイジング(資金集め)のために、クリスピー・クリーム・ドーナツ(KKD;ドーナツチェーン店)と提携しています。団体を通じてあるカードを買うと、オリジナル・グレーズド・ドーナツという名物のドーナツをもらうことができ、また、その収益が団体に入る仕組みです。

アメリカの KKD は、非営利の団体や学校などのファンドレイジングを手助けするサービスを数十年にわたり行っています。上記緘黙支援団体も、これを利用したものとみられます。なお、日本にも KKD はあるのですが(主に大都市圏)、こういったことに取り組んでいるかどうかは、ちょっと分かりません。

[関連サイト]

↓ メディアサーカス社長・作間由美子氏のブログへのリンクです。

◇ クリスピークリームとファンドレイジング 夢ある街のたいやき屋さんは何ができるか?新しいウィンドウで開く

* * * * * * * * * *

場面緘黙症の支援団体も、その活動を行うには資金が必要でしょう。たとえ非営利の団体でもです。国内外の支援団体は、資金集めのために様々な試みを行っています。特に、私がよく見ている英米の団体は積極的ですが、このあたりはその国の文化が背景にあるのかもしれません。

例えば、アメリカの SMG や SMF、イギリスの Smira 等の支援団体のウェブサイトでは、クレジットカードや PayPal といった送金手段で直接寄付ができるようになっています(Smira のウェブサイトは現在休止中ですが、少し前まで公開されていたサイトではそうでした)。また、そのための専用ページがどこにあるか、分かりやすく示されています。

特に SMG は、同団体が特に必要としている資源をリスト化し、さらに、多様な寄付の方法を具体的に挙げるなど(現金、寄付の誓約、有価証券、プランド・ギビング、オンラインでの寄付)、本格的です。昨年11月には「2011 Annual Appeal for Donations」と題する、ファンドレイジングのためのキャンペーンを行っています。

ほかにも、団体のウェブサイトを経由して何らかの品物を買うと、その一部が団体の収益になるといった仕組みを取り入れているところもあります。

海外の緘黙支援団体の中にはかなり大きな活動を行っているところもありますが、そうした活動が行える一つの理由には、ファンドレイジング文化を背景とした豊富な資金力があるのではないかとか、緘黙支援団体の収入はやはり景気変動の影響を受けるのだろうかとか、色々なことを想像します。


Daily Mirrorの緘黙記事

2012年03月21日(水曜日)

英国の大衆紙 Daily Mirror に、場面緘黙症を主題とした記事が出ました。3月15日(木)の記事 "My eight-year-old daughter has never spoken a word at school" です(電子版で確認)。

その内容は、場面緘黙症を、実例と専門家の解説を交えながら概説するという、この種の記事としてはオーソドックスなものです。緘黙を知らない人に分かりやすく解説した記事と見られます。こうした記事が出てくるということは、英国においても緘黙がまだ十分に認知されていないのでしょう。英国には緘黙の有力な支援団体がありますし、大手メディアでも緘黙が取り上げられることがあるのですが、なかなか難しいものです。

こうした実例を挙げながらの記事は、専門家の介入により緘黙症状が改善したという希望のある話に展開することも多いのですが、今回の記事は必ずしもそうではありません。これに関連して、緘黙の子が支援を受ける環境が英国においても十分に整っていないという趣旨の指摘が挿入されており、このため、この記事を読んでもあまり元気にはなれないものの、緘黙支援の現状について考えさせられます。

* * * * * * * * * *

ところで先日、私は Twitter でこの記事へのリンクを貼り、「英国の場面緘黙症支援団体のLindsay Whittington氏は、緘黙の問題は8歳までに取り組まないと克服はtoughになるという見解を示している」と書きました。これはWhittington氏の発言の一部を抜き出して紹介したにすぎないもので、その旨お断りしておきます。

なお、"tough"という英単語は、よく「難しい」「困難だ」と訳されます。ですが、日本語で言う「難しい」「困難だ」には不可能を意味することがあるのに対して、英語の "tough" はそのあたりどうなのだろうかと思います。同様の英単語に "difficult" がありますが、これは単に難易度が高いということを意味するもので、不可能という含意はありません。

何にしろ、早期介入は重要そうです。

[文献]

◇ My eight-year-old daughter has never spoken a word at school. (2012, March 15). Mirror Online. Retrieved from
http://www.mirror.co.uk/news/real-life-stories/my-daughter-has-never-spoken-a-word-at-school-761678


Facebookで、緘黙について実名で交流できるか

2012年03月13日(火曜日)

最近話題の Facebook ですが、実は私もハンドルネームで登録しました。もう何年も前の話です。ですが、Facebook は原則実名制という事実に後になって気づき、これはまずいと思い、それ以後、ほとんど利用せず放ったらかしにしています。

Facebook は、世界で最も利用者が多いソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)です。その会員数は、2011年9月現在で8億人を突破しました(Facebook 社発表)。日本でも昨年あたりから話題ですが、その会員数は2011年9月現在でようやく500万人に達したそうで(Facebook 社発表)、欧米や東南アジア諸国に比べると、絶対数でも人口比でも、さほど多くはありません。また、同種のサービスを提供する mixiの2,500万人(ミクシィ社発表、2011年9月現在)という会員数に比べると少ないです。

このように Facebook が日本で会員数があまり伸びてこなかった原因として、しばしば Facebook の実名制が挙げられます。日本ではウェブ上の情報発信は匿名で行う文化があり、Facebook は馴染まないのではないかということです。

とはいえ、日本の Facebook ユーザー数は増加傾向にあります。一時わずかに減少に転じたものの(2011年5月に1.3%の減)、その後は、毎月5~10数%の伸びを続けています(セレージャテクノリジー社の推定値による)。

■ 実名や顔写真付きで、緘黙について意見交換する英語圏の人たち

Facebook では、英語圏の人を中心に、場面緘黙症についての意見や情報の交換が、英語で盛んに行われています。どうやら実名でのコミュニケーションのようです。顔写真を公開している人も少なくありません。米国最大の緘黙支援団体 Selective Mutism Group にいたっては、何年か前に公式掲示板を廃止し、その代わりに? Facebook に公式ページを設けています。ですが、日本語で、緘黙について意見・情報交換を行う人はほとんどいないようです。日本ではむしろ、匿名利用が一般的な mixi などで交流が行われています。

特に話題が緘黙となると、実名制の Facebook は、なおさら我々には馴染まないのではないかと思います。自分の娘/息子が緘黙だ、今緘黙で苦しんでいる、思春期・青年期になっても緘黙やその後遺症で苦しんでいる、こうした人たちが実名&顔写真入りでウェブ上で交流するのは、なかなか難しそうです。少なくとも、私にはカミングアウトのような真似は無理です。

今後、私の予想が外れ、日本でも Facebook で緘黙について語り合う人が増えるのか。さらには、Facebook がきっかけとなり、日本のネット緘黙界にも実名文化が根付くのかどうか、気になっています(私の予想って、たいてい外れるんですよね……)。