スペシャルオリンピックスに緘黙児が

2012年07月24日(火曜日)

今日もどこかでスペシャルオリンピックス―知的発達障害者たちの世界的なスポーツ活動 (感動ノンフィクション)植松二郎文、かみやしん絵『今日もどこかでスペシャルオリンピックス―知的発達障害者たちの世界的なスポーツ活動』2004年、佼成出版社という本に、緘黙の子が登場するらしいと知り、調べてきました。※

地元のこども図書館のような所で調べたのですが、あそこは子どものための場所だと思うので、私のようなオッサンが開架室で長時間本を読んだり借りたりするのは気が引け、内容を十分には確認できませんでした。というわけで、今回の記事は、いつにもまして内容が不正確かもしれません、ご注意ください。

この本は子ども向けで、スペシャルオリンピックスや知的発達障害(障がい)などについて分かりやすく解説されてありました。

本の終盤より、数年前まで、家族や特に気を許した人以外には全く口を閉ざしていたという養護学校の少女が少しだけ登場します。「緘黙児」という言葉もはっきり出てきて、症状の解説がなされています。ただ、彼女が実在の人物かどうかは、はっきり分かりませんでした。

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スペシャルオリンピックスに緘黙の子が参加した例は実際にあったようで、あるスペシャルオリンピックスの組織のニュースレターに、ご家族のお話が載ったのを見たことがあります。

緘黙というだけでは、スペシャルオリンピックスには参加できないのではないかと思います。スペシャルオリンピックス日本のウェブサイトによると、参加には次の2つの要件のいずれかを満たす必要があるそうです。「1 機関や専門家により知的障害があるとされている。2 標準的な知能検査により知的な遅れが確認されている」場面緘黙の症状を持った人の中には、知的な面で障害(障がい)を持った人もいるのですが、こうした人たちが参加しているのではないかと私は見ています。

緘黙の子(もしかしたら大人も?)の中には、こうした場で、自らの可能性を広げようとしている人もこれまでにいたようです。私なぞが言うのも何ですが、頑張ってほしいです。

※ この情報は、国立国語研究所とLago言語研究所が開発した NINJAL-LWP for BCCWJ というウェブサイトを通じて知りました。私のような日本語が苦手な者には便利なサイトです。

NINJAL-LWP for BCCWJ
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「緘黙」という言葉について調べる

2012年07月17日(火曜日)

どうして場面「緘黙」症とか、全「緘黙」症という言い方をするのだろうと考えることがあります。

緘黙という言葉は見慣れず、難しいです。常用漢字にない「緘」という字が含まれます。緘黙は普通名詞としても存在する言葉ですが、パソコン入力で変換することもすんなりできません。最近は、国内の緘黙支援団体が「かんもく」という平仮名表記を用いている場面をよく見かけますが、これも緘黙という言葉の難解さゆえなのかもしれません。

そこで、この緘黙という言葉について調べてみました。言葉の由来や古い使用例、どういう経緯で場面「緘黙」症という用語が採用され、定着するに至ったかです。

■ 「緘」という字は何なのか

まず、緘黙の「緘」という字が気になります。

「糸」偏に「咸」ですが、『新漢語林』によると、「咸」は「尽きるの意味」だそうで、「箱に物を入れ終わってかける、とじなわの意味を表す」のだそうです。こういう成り立ちを背景に、「封をする」とか「口をふさぐ。黙る」などの意味になったようです。熟語として、「封緘」「緘口令」などがあります。

■ 普通名詞「緘黙」の古い使用例

場面緘黙症とは別に、まず普通名詞としての「緘黙」の古い使用例を調べてみました。

『字通』という漢和辞典によると、『宋書』范泰伝に緘黙という言葉が登場するそうです。『宋書』は、西暦488年に成立した中国の正史です。

『宋書』というと、私などは『宋書』倭国伝に出てくる、有名な倭王武(=雄略天皇=ワカタケル大王?)の上表文を思い出します。「東は毛人を征すること五十五国、西は衆夷を服すること六十六国、渡りて海北を平らぐること九十五国」云々というものです。ワカタケル大王と見られる名は、現存する日本最古級の文章記録である江田船山古墳の大刀や稲荷山古墳の鉄剣の銘文に刻まれていますが、この頃には既に、緘黙という言葉の使用例が今の中国であったということになります。聖徳太子が生まれる100年ほど前の時代です。

↓ 『宋書』范泰伝より。旧字体は新字体に改めています(以下同じ)。
「深根固帯の術、未だ愚心にあまね*からず。是を用って狂猖妄作して緘黙すること能はざる者なり」
*「あまね」は、「にすい」に合。






緘黙の児童生徒は何%いる?厚労省と文科省の調査

2012年07月10日(火曜日)

■ 厚労省「全国家庭児童調査」

厚生労働省が5年に1度に行う「全国家庭児童調査」では、かつては「子どもの養育上の問題」がどの程度存在するかが調査の対象になっていました。

特に、平成元年度と平成6年度では、緘黙についても調査対象になっていました。就学状況別に見ると、次のような結果です。

○ 平成元年度(単位:%)

総数未就学小学校1~3年小学校4~6年中学校高校
0.2計数なし0.20.10.20.4

○ 平成6年度(単位:%、有効回答数4,629)
総数未就学小学校1~3年小学校4~6年中学校高校
0.40.20.40.60.30.4

※ 「高校等」は「高校」、「各種学校・専修学校・職業訓練校」の合計。

■ 文科省「学校保健統計調査」

一方、文部科学省が毎年行う、「学校保健統計調査」という調査があります。

緘黙は、吃音や発音、発生の異常などとともに「言語障害」として被患率の調査が行われています。この調査は現在も行われているのですが、ここでは、上と同じ平成元年度と平成6年度の数字をご紹介します。緘黙を含む「言語障害」の被患率です。

○ 平成元年度(単位:%)
幼稚園5歳小学校中学校高校
0.160.080.030.01

○ 平成6年度(単位:%)
幼稚園5歳小学校中学校高校
0.140.070.040.01

※ 健康診断受検者のうち、疾病・異常該当者(疾病・異常に該当する旨健康診断票に記載のあった者)の占める割合を示したもの。