岡山市議会で、緘黙などについて長い質疑応答

2012年10月24日(水曜日)

岡山市議会平成22年2月定例会で、緘黙傾向の子どもやその支援機関、通級指導教室(ことばの教室)などについて、長い質疑応答があったのを見つけました。

緘黙児支援の一つの現状を知る上で参考になりそうな話で(平成22年当時の話ですが)、現場を知らない私のような者にとっては、勉強になりました。

下記は、いずれも岡山市議会会議録へのリンクです。ここでは緘黙は発達障害という扱いになっていますし、また、「発達障害を含めた情緒障害」という特殊な包含関係があったりして、少し分かりにくいかもしれません。

○ 則武宣弘議員の質問
新しいウィンドウで開く
※ 長いですが、後半「就学前教育と保育の諸課題についてお伺いいたします」から「本市では,発達障害が疑われる就学前の子どもの支援をどのように考え,支援していくのか。方向性についてお答えください」あたりまで。

○ 奥田さち子保健福祉局こども・子育て担当局長の答弁
新しいウィンドウで開く
※ 前半「次に,就学前教育と保育の諸課題についての項,発達障害児について,発達障害者支援センターで療育を受けることができるか……」から数行。

○ 山脇健教育長の答弁
新しいウィンドウで開く
※ 終盤「次に,就学前教育と保育の諸課題ということの中で,幼稚園に情緒を含めた通級指導ができる教室を設置してはどうかとのお尋ねでございます」から数行。

○ 則武宣弘議員の再質問
新しいウィンドウで開く
※ 最初から通級のところまで。

○ 奥田さち子保健福祉局こども・子育て担当局長の答弁
新しいウィンドウで開く
※ 前半。

○ 山脇健教育長の答弁
新しいウィンドウで開く

感想を列挙。平成22年時点の話ではありますが……

● 早期発見、早期介入が重要といっても、支援の受け皿があるかどうかといった問題がある。

● 場面緘黙症は、発達障害者支援センターの支援対象なのか?

● 特別な支援が必要な子とその親が、「問題を抱えて、丁寧にかかわってくれる人に出会えず、たらい回しにあったり、長い時間待たされたり、不安を胸に路頭に迷う」といったことが起こることがある。

● 特別な支援が必要な子どもを受け入れる体制がどの程度整っているかは、自治体によって違う。

● 特別な支援な必要な子どもの場合、現実問題として病院にかかるのは難しいので、療育という視点が必要?


『負けたらあかん!』再び

2012年10月16日(火曜日)

負けたらあかん!負けたらあかん!』という場面緘黙症に関する本を読んだ感想を、5年前にこのブログで書きました。まだブログ拍手機能を設ける以前に公開した記事です。その記事に、今月に入って急に3つの拍手をいただいています。この本に今注目が集まっているのでしょうか。



↓ その記事へのリンクです。
※ 「負けたらあかん!-場面緘黙症の手記」
新しいウィンドウで開く

『負けたらあかん!』は、場面緘黙症を経験した女性とその母親による手記です。1995年(平成7年)に出版されましたが、現在は絶版のようです。緘黙の本としては珍しく、「復刻ドットコム」というサイトで復刊のリクエストが出ています。

↓ 「復刻ドットコム」へのリンクです。
※ 『負けたらあかん!』の復刻リクエストページ
新しいウィンドウで開く

この本には、いじめに関する内容が含まれており、高知県議会平成8年2月定例会(第237回)で、本書がいじめ問題と絡めて引用されたことがあります。議会の中では書名は明かされなかったものの、その内容は『負けたらあかん!』のそれと一致します。

↓ 高知県議会会議録検索システム。会議録検索で「緘黙」と検索。
※ 会議録検索システム「ディスカスネットプレミアム」
新しいウィンドウで開く

大津のいじめ事件をきっかけに、いじめに対する関心が高まっています。5年前にこの本の感想をブログで書いた時は緘黙の本としてご紹介しましたが、現在なら、いじめに関する本として再評価することもできるかもしれません。

なお、『負けたらあかん!』の内容の一部は、Amazon.co.jp の「なか身!検索」で読むことができます。また、絶版ではあるものの、古本として Amazon.co.jp などで購入することができます。


10代の緘黙者30人に聞く(英)

2012年10月09日(火曜日)

久々に、場面緘黙症の論文を読んだ感想のようなものを書いてみます。私に学術的な論評はできないので、あくまで感想のようなものです。

今回取り上げる論文は、英国のものです。

Roe, V. (2011). Silent voices: listening to young people with selective mutism. Retrieved from http://www.leeds.ac.uk/educol/documents/203095.pdf

※ この論文は、2011年9月にロンドン大学教育研究所で行われた、英国教育学会の年次大会で発表されています。

■ 概要

10~18歳の緘黙者(一部治った方も含まれています)と、その親30名ずつに質問票を送り、緘黙の経験などを問うています。

著者の Victoria Roe 氏は、英国の緘黙支援団体 SMIRA の Vice-Chair(副委員長?)です。『場面緘黙へのアプローチ』第6章の「学校内で行うインタラクティブ・セラピー」を著しているのも、この方です。

■ 感想のようなもの

◇ なぜこの論文をブログで取り上げるか

なぜこの論文を今回取り上げるかというと、まず第一に、10~18歳という、従来の緘黙関係の論文があまり扱わなかった比較的高い年齢層の緘黙者が調査の対象になっているからです。

もう一つの理由は、当事者や家族といった、私自身と近い立場にある人の声を中心とした構成だからです。こうした論文は珍しいです。また、当事者の話は英語圏でもインターネットや、英国だと最近出た Slipping in and Out of My Two Worlds といった本などで個別的、断片的に読むことができますが、今回の論文は30名といったある程度の数の当事者の話を集め、統一した質問項目への回答というかたちでまとめており、これまた珍しい試みです。