緘黙の行動療法マニュアル(洋書)5冊を紹介

2012年11月20日(火曜日)

英語圏では、場面緘黙症の子どもに行動療法を行うためのマニュアル本が何冊も出ています。日本では『場面緘黙児への支援』として翻訳された Helping Your Child With Selective Mutism が比較的有名ですが、それ以外はあまり知られていなさそうです。そこで、今回ここでまとめてみます。抜けている本もあるかもしれませんが、だいたい以下の通りだろうと思います。

■ The Selective Mutism Resource Manual

The Selective Mutism Resource Manual2001年。英国。専門家向け。

発売元の英国では、緘黙児支援のバイブルという声もあるそうです。英国の Amazon の売上ランキングでは、2012年11月20日現在、この種のマニュアル本の中では最も上位に位置しています。

今回ご紹介する5冊の本の中では最も高価で、日本だと、その時の円相場にもよりますが Amazon.co.jp で5,000~6,000円します。

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■ Helping Your Child With Selective Mutism: Practical Steps to Overcome a Fear of Speaking

Helping Your Child With Selective Mutism: Practical Steps to Overcome a Fear of Speaking2005年。カナダ。保護者向け。

場面緘黙児への支援』の原書で、日本では最も有名ではないかと思います。翻訳書が出る前より日本のブログで紹介されたためか、当時、Amazon.co.jp の洋書ランキングでけっこう上位にランク入りしていたのを見たことがあります。また、英語圏の Amazon での売上を見る限りでは、英語圏では今でも根強い支持があるようです。

見出しに丸ゴシックのような親しみやすいフォントが随所に使われていて、原書は邦訳書よりもやや親しみやすいイメージです。邦訳書は、教科書のような感じで、こちらは信頼できそうなイメージです。

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オックスフォード大出版局から新たな緘黙の洋書

2012年11月13日(火曜日)

オックスフォード大学出版局から、場面緘黙症に関する新しい本(洋書)が出ます。発売前ですが、Google ブックスで中身の一部を読むことができます。

本の題名は Treatment for Children With Selective Mutism: An Integrative Behavioral Approach です。訳すと、『場面緘黙児の治療:統合的行動療法的アプローチ』といったところでしょうか。

著者は、緘黙の研究で実績のある R. Lindsey Bergman という方です。よく米国では緘黙児の割合は0.7%であると言われていますが、それも、Bergman 氏が関わった論文が元です。

発売日ですが、Amazon.co.jp では12月20日と表記されています。注文して実際に入手できるのは、さらに後になる可能性もあります。ですが、本の検索サイト Google ブックスでは、先週から、目次や最初の10ページほどを読むことができるようになっています。

↓ Google ブックスへのリンクです。
本の中身
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これで中身を読んでみたのですが、どうやら英語の本によく見られる、緘黙児を行動療法で介入するためのマニュアル本のようです。日本でも翻訳書で有名な『場面緘黙児への支援』も、その一つです。

ただ、今回の本は、臨床の現場などで緘黙児と接する機会のあるセラピスト向けかもしれません。目次には、Introductory Information for Therapists とか、Pre-Treatment Assessment and Psychoeducation (Parent Only Session)とか、それらしい項目が並びます。英文は平易なのですが、本全体が固いデザインで、t検定やら統計的に有意だとかいう話も出てきて、なにやら緘黙の学術論文を読んでいるような感さえあります。まだ本全体を読んだわけではないのですが、こうした印象です。

なにしろ、あの Bergman 氏が関わったものですし、マニュアルの開発に至るまでの手順も丁寧そうで(といっても、専門的なことはよく分からないのですが……)、期待大です。

本が発売されたら、購入する予定です。そのときはまた、このブログで取り上げるかもしれません。


場面緘黙症の啓発月間2012(海外ニュース)

2012年11月06日(火曜日)

今年も英語圏で Selective Mutism Awareness Month(場面緘黙症啓発月間)の動きがありました。

今回も、Facebook、ブログ、YouTube、twitter など、インターネットを中心とした草の根の運動です。大手緘黙支援団体が音頭をとったわけではないのですが、この動きはある程度の広まりを見せています。誰もが情報発信できるネット時代ならではでしょう。

Facebook の イベントページ Selective Mutism Awareness Month 2012 では、参加予定者が112人、招待済みが451人で(11月6日現在)で、少なくとも数百人が、この啓発月間に関心を寄せていたことが窺えます(といっても、私は Facebook のことがよく分からないのですが……)。とはいえ、この期間、緘黙についてネット上で積極的に情報発信した人の数は、これよりずっと少ないです。

不特定多数の賛同者が各自創意工夫を凝らして緘黙児支援について訴えているのですが、各個人の活動にはオリジナリティーが感じられ、見ている分には面白いです。また、各自それぞれの活動の場で緘黙の情報発信を行っているので、様々な場で緘黙の情報に触れることができるようになっています。反面、大きな団体が積極的に関与しているわけではないので、例えばかつて英国の大手緘黙支援団体が行った Selective Mutism Awareness Week (場面緘黙症啓発週間)のように、BBC のテレビ番組で緘黙が取り上げられたとか、そうした大規模なキャンペーンには至ってはいません。

参加者の中には、ライターなど、情報発信に何らかの専門性を持っている人もいます。こうした人の参加は、啓発活動の水準を高めています。

大手緘黙支援団体とは直接関わりのないこうした草の根の動きには、英語圏での緘黙児支援の動きの多様さを感じます。また、特定の期間に集中的に啓発活動を行うという試みには、啓発活動にも戦略が重要であると改めて考えさせられます。今回の英語圏での啓発活動を参考に、来年の5月に予定している日本での場面緘黙症啓発月間での活動をどのように展開するか、ヒントを探りたいところです。

[啓発月間関連ページ]

◇ Facebook 公開イベント・Selective Mutism Awareness Month 2012
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◇ Facebook 公開イベント・Selective Mutism Awareness Online Project
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◇ Google 検索 "Selective Mutism Awareness Month"(2012年10月1日~31日)
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↓ 昨年の記事です。
◇ 10月は、場面緘黙症の啓発月間(海外ニュース)
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↓ 私が勝手に言い出したことです。
◇ 5月は場面緘黙症啓発月間です
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◇ 場面緘黙症の啓発週間(イギリス)
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