北日本新聞の緘黙の記事

2014年10月30日(木曜日)

アイキャッチ画像。写真素材サイト PAKUTASO より。
富山県で6-7割のシェアを占める『北日本新聞』で、場面緘黙症に関する記事が掲載されました。本日10月30日(木)の朝刊です。

Yahoo!ニュースでも読めますので、ご紹介します。

↓ Yahoo!ニュースへのリンクです。
※ 「場面緘黙」症状知って 富山大講義にゲスト参加・富山の加藤さん
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紙面では、30面「社会・地域ニュース」面において、縦1/3ページ×横3/5ページほどの大きさで掲載されているそうです。なお、34面がテレビ欄、32~33面が社会面です(「情報筋」による)。

『北日本新聞』で緘黙に関する記事が掲載されたのを私が確認したのは、これが3度目です。これまでの掲載分も、「場面緘黙について考える会富山」と関連する内容です。なお、過去2度は以下の通り。

○ 2013年7月19日(金)
「場面緘黙について考える会富山」設立の記事。社会面に大きく掲載。同会が企画した講演会の予告も載る。

○ 2013年8月8日(木)
7月19日(金)の記事で予告されていた講演会の報告。講師はかんもくネット代表の角田圭子氏。記事はやや小さい。

また、2013年7月19日には、北日本新聞ウェブの「こちら編集局ブログ」では、【デスクの一押し】として「場面緘黙、まずは理解を」という短い記事が公開されています。

※ 場面緘黙、まずは理解を
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* * * * * * * * * *

私としては、今回の記事で、昨年7月に設立された「場面緘黙について考える会富山」の近況を知ることができたのがよかったです。

記事では「会員は増えず」とありますが、地域の緘黙支援グループは、人口の多い地域でも集会の規模は定員10名など小規模な例が多く、現状ではなかなか人は集まらないものと思います。全国規模の大手緘黙支援団体だと会員数は何百人にも上りますが、例えば富山県の人口は日本の人口の約1%(約110万人)ということを考えると、都道府県単位で見ると大手緘黙支援団体の会員数もそう多くはないのではないかと思います。

ですが、大手緘黙支援団体にしても、最初から何百人も会員がいたわけではありません。記事をきっかけに、これから富山で支援の輪が広がるといいです。

[関連ページ]

↓ 「かんもくネットフォーラム」へのリンクです。過去の『北日本新聞』掲載の記事も見ることができます。今回の記事も、そのうち掲載されるかも?
◇ 場面緘黙 in メディア (新しいウィンドウで開く


話し言葉に障害のある子、増加か

2014年10月27日(月曜日)

アイキャッチ画像。

学校保健統計調査


文部科学省は「学校保健統計調査」という標本調査を毎年度実施しています。幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校に通う幼児、児童、生徒の発育状態や健康状態について調査がなされています。

学校保健統計調査では、緘黙症など、話し言葉の働きに障害のある幼児、児童、生徒を「言語障害の者」として、その被患率の調査も行なわれています。

* 以下、引用 *

言語障害の者

話し言葉の働きに障害のある者をいい、吃(きつ)音(どもり)、発音の異常、発声の異常(聞き手が理解しにくい程度の発音や声の障害)、口蓋裂、脳性麻痺等に伴う言葉の異常、難聴による発音の異常、その他情緒的原因による緘黙(かんもく)症、自閉症や言語中枢に障害のある失語症等である。


* 引用終わり *

この「言語障害の者」の被患率ですが、同調査によると、近年、増加や高止まりの傾向がみられることに気付きました。

平成24(2012)年度 0.43%
平成23(2011)年度 0.38%
平成22(2010)年度 0.41%
平成21(2009)年度 0.57%
平成20(2008)年度 0.52%
平成19(2007)年度 0.38%
平成18(2006)年度 0.37%
平成17(2005)年度 0.30%
平成16(2004)年度 0.19%
平成15(2003)年度 0.22%
平成14(2002)年度 0.15%
平成13(2001)年度 0.23%
平成12(2000)年度 0.18%
平成11(1999)年度 0.23%
平成10(1998)年度 0.18%
平成 9(1997)年度 0.14%
平成 8(1996)年度 0.20%
平成 7(1995)年度 0.17%
平成 6(1994)年度 0.14%
平成 5(1993)年度 0.14%
平成 4(1992)年度 0.11%
(中略)
昭和45(1970)年度 0.20%
昭和44(1969)年度 0.13%
昭和43(1968)年度 0.14%

ただ、分からないことがいくつかあります。

第一に、この年次推移をどこまで過去の数字と単純比較できるのか分かりません。平成17(2005)年度あたりに被患率が急増していますが、言語障害の判断基準が変わるなど、調査方法に変更があったのでしょうか、それともそうでないのでしょうか。このあたりのところは、残念ながら突き止められませんでした。ただ、単純比較できない旨の注釈は調査報告の中では特に見つかりませんでしたし、文科省がまとめた学校保健統計調査の概要の資料では、様々な被患率の年次推移が単純比較されてはいます。

第二に、ここで言う「言語障害」には、吃音から緘黙、言語中枢に障害のある失語症等に至るまで幅広い障害が含まれているのですが、各障害の内訳が分かりません。具体的にどの障害の割合が増加しているのかを知りたいのですが。

そういえば、緘黙児は増えてる?減ってる?


そういえば、緘黙の幼児や児童生徒は近年増えているのでしょうか、減っているのでしょうか。緘黙単独での出現率の調査がここのところ行なわれていないようなので、分かりません。ただ、確かな情報かどうかは定かでないのですが、このような声も聞きます。

「特に場面緘黙は近年ずいぶん増えてきたように感じられます」
(鷲岳覚(2010)『やわらかめ、初心者が読んでもわかるこころとからだの発達と臨床』三恵社、86ページ)

「幼稚園や学校に行くと話しをしなくなる場面緘黙症(ばめんかんもくしょう)という問題を持つ子どもが増加しているようです」
(子どもの発達研究所所長三浦高史氏。2005年2月の記事)http://web.archive.org/web/20130524233543/http://homepage3.nifty.com/HATTATU/hitokotobak/05-02.htm

[関連ページ]

↓ 文科省ホームページへのリンクです。
◇ 学校保健統計調査 (新しいウィンドウで開く

「選択性緘黙」を「場面緘黙」に変えようという論文

2014年10月21日(火曜日)

アイキャッチ画像。

場面緘黙症は、特に医学の世界では「選択性緘黙」が正式名称です。これは、米国精神医学会によるマニュアル DSM-5(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)に掲載されている "selective mutism" という名称を訳したものです。

この訳語を「場面緘黙」に変更することが妥当とするレター論文 [注1] が、日本不安症学会の学会誌『不安症研究』に掲載されました。また、来年発表が予定されている WHO(世界保健機関)の ICD-11(国際疾病分類第11版)での訳語も、「場面緘黙」を採用するよう論文では述べられています。[注2]

◇ 久田信行、藤田継道、高木潤野、奥田健次、角田圭子「Selective mutism の訳語は『選択性緘黙』か『場面緘黙』か?」『不安症研究』6(1)、4-6。

※ この論文の本文は、以下のJ-STAGE へのリンクから読めるようになりました(2014年11月1日追記)。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/adr/6/1/6_4/_article/-char/ja/ (新しいウィンドウで開く

名称変更がどのような過程で決まるのかは私は知りません(不安症学会が決めると聞いています)。ですが、論文が不安症学会の学会誌に掲載されたこと、論文が5人の連名であること、さらに、緘黙の保護者や(元)当事者を会員に多く含む国内最大の緘黙支援団体の代表も著者として名を連ねていることはインパクトを感じます。

変更を提案するのは「選択性」の部分で、「緘黙」はそのままなのですね。「緘黙」という名称は難しいから、もっと分かりやすい言葉にした方が認知も広がるのではという声を聞くことも、多数派の意見かどうかは分かりませんが、昔からあることはありました。

緘黙の名称がどうなるのか、今後の推移を見守りたいです。なお、この論文について教えてくださった方へ、この場をお借りして改めて感謝を申し上げます。

[注1] 『不安症研究』の編集規定によると、「レター論文は、日常の臨床・研究活動上に得られた発見、反省点、誤診しやすい盲点など、また本誌に掲載された論文に対する各種の意見(追加、討議、希望など)を書簡の形式で書いたものとする」とあります。

[注2(2014年10月29日追記)] 論文の主張はこの通りですが、実際は、ICD改訂(ICD-11)は2017年に延期されています。