海外:緘黙のためのクラウドファンディング(前編)

2015年04月29日(水曜日)

アイキャッチ画像。

緘黙の治療費40万円近く集める


40万円近くも集まったそうです。

米国の Jack Jenkins さんという方が、「クラウドファンディング」により、場面緘黙症の子どもが民間治療を受けるための治療費を募りました。その民間治療とは、Confident Kids Camp という、米国で広まりつつある集中治療プログラムです。米国では緘黙に詳しい専門家などがいて、緘黙のための専門的な民間治療を受けられますが、保険が適用されずに負担が高額になる場合があるのです。

3,000米ドル(約36万円)を集めるのを目標として2014年6月24日にキャンペーンをスタートしたところ、10ヶ月間で3,225米ドル(約39万円)が集まり、その目標が達成されました。58人もの人が支援を行った(資金提供した)そうです。

↓ クラウドファンディング専門サイト GoFundMe へのリンクです。
※ Selective Mutism Treatment For Jack
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クラウドファンディングとは


クラウドファンディング(crowdfunding)とは、特定の目的のために、特にインターネットで不特定多数の人々から小口資金を集める資金調達の方法です。crowd(群集)と funding(資金調達)を合わせた語です。日本でも広まっています。

↓ 日本のクラウドファンディング専門サイトの一つ。クラウドファンディングがどういうものか、実際にこうしたウェブサイトを見れば分かりやすいと思います。
※ READYFOR
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緘黙関係でも、海外では、クラウドファンディングによる資金調達を見ることが2014年から増えてきました。日本では緘黙関係でこうした動きはまだ見たことがないのですが、海外の緘黙関係者の間では小さなトレンドのようです。

そこで今回の記事では、私が見つけた、特に英語圏での緘黙関係のクラウドファンディングを取り上げてみます(他の言語は分からないので)。

成功した例


緘黙の本出版のための資金30万円超集める


米国の治療専門家で、緘黙児の母でもある Donna Mac さんという方が、緘黙の本出版のため資金を募りました。目標額は2,500米ドル(約30万円)でした。

募集期間は2015年2月22日から翌3月24日までの30日間でした。その結果、2,651米ドル(約32万円)が集まり、キャンペーンを終了しました。32人が支援を行っています。本は今年の初夏に発売される予定だそうです。

↓ クラウドファンディング専門サイト Kickstarter へのリンクです。
※ Suffering in Silence: The Key to Unlocking Selective Mutism
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↓ その本に関するウェブサイト。
※ Suffering in Silence: Breaking Through Selective Mutism
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緘黙の啓発ドキュメンタリー制作費約20万円集める


オーストラリアの Baris Ulusoy さんという学生を中心としたグループが、緘黙の啓発ドキュメンタリー制作のための資金を募りました。目標額は2,000豪ドル(約19万円)でした。ドキュメンタリーの題名は Little Sister。制作グループの中に緘黙の妹を持つ方がいるそうです。

募集期限は2015年5月9日までですが、既に目標額を上回る 2,130豪ドル(約20万円)が集まりました。20人が支援を行っています。

↓ オーストラリアのクラウドファンディング専門サイト Pozible へのリンクです。
※ Suffering in Silence: The Key to Unlocking Selective Mutism
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↓ メルボルンのニュースサイト Leader の記事へのリンク。
※ Roxburgh Park filmmaker hopes documentary brings awareness to sister’s selective mutism
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絵本出版のための資金50万円近く集める


緘黙を主題としたものではないのですが、作者自身の緘黙経験をもとにした絵本を出版するための資金を、ニュージーランドの Kathryn Harper さんという方が募りました。

目標額は5,000ニュージーランドドル(約46万円)で、募集期間は2014年9月15日から翌10月10日までの25日間でした。その結果、5,125ニュージーランドドル(約47万円)が集まり、キャンペーンを終了しました。84人が支援を行っています。本は作者のウェブサイトから購入できるようになっていますが、日本からも購入できるかどうかは分かりません。

↓ クラウドファンディング専門サイト Kickstarter へのリンクです。
※ 'The Cat Got My Tongue!' Katie-Jane picture book
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↓ その絵本に関するウェブサイト。
※ http://kathrynharper.net
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目標額に届かなかったが、資金がかなり集まった例


緘黙の娘さんのための資金50万円近く集める


米国の Joel Elliott さんという方が、緘黙の娘さんのために資金を募りました。目標額は15,000米ドル(約180万円)に設定されています。募集期間は2ヶ月間で、2014年6月23日に募集は終了したのですが、4,145米ドル(約49万円)が集まりました。46人が支援を行っています。

↓ クラウドファンディング専門サイト Indiegogo へのリンクです。
※ I Am Hannah's Voice
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この資金を募った方は、昨年5月「娘の緘黙のため、自転車で530キロ走破」でご紹介した方です。娘さんの緘黙の認知のために、328マイル(約530キロ)を24時間で自転車で走破するキャンペーンを行いました。328という数字は、娘さんが適切な支援を得られなかった日数を表しているそうです。なお、328マイルは東京ー岡山間の直線距離に匹敵します。

また、40万回以上再生されたこの動画に登場した男性でもあります。

↓ YouTube へのリンクです。緘黙の娘さんのために頑張る男性の動画です。有名な緘黙支援者 Elisa Shipon-Blum(エリザ・シポンブラム)博士も後半に登場します。
※ Deserving Dad's Life-Changing Father's Day Surprise
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記事が長くなりそうなので、前・後編に分けます。(続く)

[続きの記事]

◇ 海外:緘黙のためのクラウドファンディング(後編)
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『先生とできる場面緘黙の子どもの支援』読みました

2015年04月24日(金曜日)

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場面緘黙症の新しい本『先生とできる場面緘黙の子どもの支援』が発売されました。私はこの本を読んだので、せっかくですから、気づいたことなどを書いてみたいと思います。ただし、私の独断と偏見が混じっているかもしれません。

本の基本情報


著者は、ネバダ大学ラスベガス校の心理学教授、クリストファー・A・カーニー(Christopher A. Kearney, Ph.D.)氏です。監訳には大石幸二氏(立教大学現代心理学部教授)があたり、翻訳は複数の人が分担して行なっています。出版社は、『場面緘黙Q&A』や『どうして声が出ないの?』など、緘黙に関する本を出版してきたことでもお馴染みの、学苑社です。

今回の翻訳書の原書は、オックスフォード大学出版局から2010年に出た本 Helping Children with Selective Mutism and Their Parents - A Guide for School-Based Professionals - です。オックスフォード大学は英国を代表する大学ですが、この本は米国の読者を対象としたものです。

本書は、2014年に刊行された『親子でできる引っ込み思案な子どもの支援』の姉妹書のような位置づけです。本の題名、装丁がそっくりなうえ、出版社や監訳者、原書の著者も同じです。

「監訳者あとがき」で紹介されているカーニー氏のもう一冊の本は School Refusal Behavior in Youth - A Functional Approach to Assessment and Treatment - のことと思われますが、この本の翻訳の計画はあるのでしょうか?

学校関係者向けの本


本書は、スクールカウンセラーや先生、管理職、スクールソーシャルワーカーなどの学校関係者が、行動療法で緘黙児を支援するための具体的な方法を示したものといったところでしょうか。緘黙そのものの説明よりも、具体的な支援法にページが割かれてあります。

かなり大雑把な言い方ですが、保護者向けの行動療法の本『場面緘黙児への支援』の、学校関係者向け版と言うと分かりやすいかもしれません。あの本同様、詳細に書かれてある実践書です。ですが、『場面緘黙児への支援』とは違いも多いです。

保護者が読んでも得るところはあるだろうと思うのですが、保護者にはどちらかと言えば本書よりも、姉妹書?である『親子でできる引っ込み思案な子どもの支援』の方がよいかもしれません。これは緘黙も扱っている本で、内容が本書と重なるところがある上、保護者向けに書かれてあります。

緘黙に関する本の出版が相次いでいますが、学校関係者を主な読者として想定した本は、少なくとも近年ではありませんでした。ここに、本書が刊行された重要性を感じます。





NHK「ハートネットTV」で緘黙が取り上げられます

2015年04月17日(金曜日)

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NHK Eテレ(NHK教育)の「ハートネットTV」という番組で、場面緘黙症が取り上げられます。

放送日は5月28日(木)午後8:00~8:29と、6月4日(木)午後1:05~午後1:34(再放送)の予定です。

よく分からないのですが、今回は「チエノバ」というWEBと連動した企画だそうです。番組ディレクターは、NHK福祉ポータル「ハートネット」のホームページへ、緘黙に関する意見の投稿を呼びかけています。

↓ 「ハートネット」へのリンクです。ここから意見を投稿できます。
※ 【5月】“話したいのに、声に出せない”場面緘黙(かんもく)の悩み、ありますか? 
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↓ 「ハートネット」へのリンクです。
※ 話したくても話せない、「場面緘黙(かんもく)」を知っていますか?
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↓ 番組公式 Twitter の、緘黙に関する投稿へのリンクです。
※ 「本当は話したいのに……
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番組ブログによると、ハートネットTVにはこれまで緘黙についての体験談や意見が寄せられてきたそうです。今回の放送には、そうした声が反映されたのかもしれません。

既に番組の取材は始まっているのだろうか、水面下でどなたかにゲスト出演のオファーが来ているのだろうかなどと色々なことを想像します。今後、番組に関する情報がハートネットで公開されることでしょう。

なお、私はこの番組は見ないだろうと思います。このため、番組放送後のブログ報告はあまり期待しないでください。すみません。

[関連リンク]

◇ WEB連動企画“チエノバ”
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↓ 放送終了後は、番組の概要が公開されるようです。これは前回放送分。
◇ 番組まるごと WEB連動企画“チエノバ”―今日は「LGBT 職場、学校の悩み」を中心に―
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[最新刊情報]

先生とできる場面緘黙の子どもの支援』が既に発売されたようです。学校関係者向けの本です。私は Amazon.co.jp を通じて既に入手しました。現在読んでいるところで、読み終えたらまたここで感想を書くかもしれません。