国立施設で緘黙の研修、国会で議論されたことが実現か

2015年09月26日(土曜日)

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「選択性緘黙の現状と課題」と題する研修が、11月4日(火)、国立障害者リハビリテーションセンターで行なわれるそうです。

↓ 国立障害者リハビリテーションセンターのホームページへのリンクです。PDF(132KB)。なお、PDFを閲覧するには Acrobat Readerが必要です。Acrobat Readerはこちら (新しいウィンドウで開く)からダウンロードできます。

◇ 平成27年度発達障害支援者研修会日程表 (新しいウィンドウで開く

[追記]

↓ 上記研修の実施要項です。主催:国立障害者リハビリテーションセンター、場所:国立障害者リハビリテーションセンター学院とあります。PDF(72KB)。

◇ 平成27年度発達障害支援者研修会実施要項 (新しいウィンドウで開く

↓ 参考ページ。申し込みもできます。

◇ 平成27年度研修日程 (新しいウィンドウで開く


「国立障害者リハビリテーションセンター」「緘黙」とくれば、今年3月25日(水)に行なわれた、衆議院厚生労働委員会での質疑が思い出されます。角田秀穂(つのだひでお)衆議院議員が緘黙について質問を行なったのに対し、厚生労働省の藤井康弘障害保健福祉部長が次のような趣旨の答弁をしました。

○ (厚労省は緘黙児の実態を把握しているかとの質問に対して)厚労省として把握していない。今後、どのような手法であれば実態把握が可能なのかという点も含めて研究をしていきたい。

○ 支援者の認識を高めることは大変重要な課題。現在考えているのは、巡回支援専門員を対象とした研修。国として国立障害者リハビリテーションセンターにおいて研修を実施しているが、これまで緘黙児をテーマとした講義は実施してこなかった。来年度から緘黙を研修のテーマに取り入れて理解が広がるよう努めたい(これは角田議員の提案に応えたもの)。

後者に注目です。もしかしたら、国会で議論されたことが実現したということなのかもしれません。来年度からという話でしたが、早くも今年度中に行なわれます。

関連記事


↓ 3月25日(水)の衆議院厚生労働委員会で、緘黙について質疑が行なわれたときに書いた記事です。
◇ 衆議院で、緘黙が再び議題に上がる (新しいウィンドウで開く

うまく話せない人の物語が、小さな話題に

2015年09月24日(木曜日)

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心が叫びたがってるんだ。


『心が叫びたがってるんだ。』というアニメ映画が、場面緘黙症に関心のある人の間で小さな話題になっています。話せない少女が登場するというのです。9月19日(土)に封切りされたばかりの映画です。

↓ 登場人物「成瀬順」に注目。番組公式ホームページへのリンク。新しいウィンドウが開きます。
◇ キャラクター | 映画『心が叫びたがってるんだ。』

ロードショー前は、この少女は緘黙ではないかという声も一部で上がっていたのですが、どうもそうではないらしいです。

映画を見た緘黙の経験者の中には共感したという人もいますが、そうでない人もいて、感じ方は一様ではないようです。こうした話は、見る人によっては緘黙の辛い経験を思い出させる場合もあるかもしれないので、注意した方がよいかもしれません。

連続テレビ小説 まれ


話せない人物が登場し、緘黙と絡んで小さな話題になった物語はほかにもあります。

NHKの朝の連続テレビ小説『まれ』に登場する高志という男性が、一部で緘黙ではないかと話題になったことがありました。言葉を発せず、「通訳」がいるほどですが、歌は歌えるという設定らしいです。なお、私は高志が緘黙との見方には今のところかなり慎重です。番組を見ていないこともあるのですが……。

↓ 番組公式ホームページへのリンクです。
◇ 登場人物 | 二木高志 (新しいウィンドウで開く

そのほか


そのほか、うまく会話でコミュニケーションがとれない人物が登場する物語として次のような作品が、小さくではありますが、緘黙と絡めて話題になっているのを見たことがあります。

私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!


アニメ化もした人気マンガです。海外でも、主人公は緘黙ではないかという見方をする人を何人か確認したことがあります。

◇ そのお一人が書かれた英文記事です。 (新しいウィンドウで開く

志乃ちゃんは 自分の名前が言えない


吃音の高校生が主人公のマンガです。これも人気作です。

大河ドラマ 花燃ゆ


第1話では、幼少の主人公が、人一倍人見知りが強いという設定でした。

◇ 『花燃ゆ』第1話は、このブログで取り上げたことがあります。 (新しいウィンドウで開く

なお、私はこれらの作品を見たり読んだりしたことは、ほとんどありません(『花燃ゆ』だけは見ました。今でも見てます)。

蛇足・『古事記』『日本書紀』


ところで、つい先日、Kindle100円セールで買った『古事記』と『日本書紀』(記紀)の解説書を読んでいたところ、大人になってもほとんど何も話さなかったホムチワケ(誉津別命)という御子の話が出てきました。「鳥取」の地名の由来譚としても知られる神話です。

◇ 『古事記』のホムチワケについて、イラスト付きで分かりやすく解説したページ。なお、『日本書紀』では少しストーリーが違います。 (新しいウィンドウで開く

面白いことに、この古事記のくだりと、ある緘黙児への心理療法過程の共通点を論じた専門家がいます。

↓ PDF(1.43MB)。
◇ 高見友理「選択性緘黙(かんもく)だった青年との面接過程 ホムチワケに見る『反英雄』のイニシエーションの視点から」 (新しいウィンドウで開く

↓ 京都大学こころのみらい研究センターへのリンク。
◇ 第7回身心変容技法研究会の報告記事 (新しいウィンドウで開く

喋ることができない人の話は、日本では古くは記紀にまで遡るのです(海外では、古くは『聖書』などに登場。追記:私が確認したのは『新訳聖書』。よく調べてみると、さらに古い話や記録が見つかるかもしれません)。

それにしても、『心が叫びたがってるんだ。』など映画の最新作が話題になる中、記紀に関心を持つとは、渋いです。

補足:「助けになったのは、親より友達」?

2015年09月21日(月曜日)

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前回の記事、「助けになったのは、親より友達」で、雑な部分がありました。補足記事を書こうと思います。

若い世代だと、「親/身内が助けてくれた」の回答が増える


前回の記事で、私はこう書きました。

こういうアンケート調査があります。海外の研究ですが、18歳以上で緘黙だった経験がある、つまり大人の緘黙を経験したことのある人を対象としたアンケート調査です。

↓ その論文が公開されています。緘黙支援団体 iSpeak へのリンクです。
◇ SELECTIVE MUTISM RESEARCH FINDINGS (新しいウィンドウで開く

これによると、「誰があなたを助けてくれましたか」の問いに対し、アンケートに回答した83名のうち18名が「友達が助けてくれた」と答えました。一方、「親/身内が助けてくれた」の回答は11名、「教師等が助けてくれた」は4名でした。親や教師よりも、友達が助けになったという調査結果です。

実はこのアンケート調査は、年齢が比較的低い層と、高い層に分けて行なわれています。この2つの層の境は、アンケート回答者の平均年齢33.43歳です。

○ 年齢が比較的低い層(33.43歳以下、51名)

「友達が助けてくれた」13名
「親/身内が助けてくれた」10名

○ 年齢が比較的高い層(33.43歳以上、32名)

「友達が助けてくれた」5名
「親/身内が助けてくれた」1名

このように、年齢が比較的低い層だと、「親/身内が助けてくれた」の回答者の割合は目立って増えます。これは論文の著者も、「カイ二乗検定」により、統計的に意味のある差だとしています(p=0.04)。

なぜ年齢層によって差が出たのかは分からないのですが、私が推測するに、90年代から緘黙の支援団体が誕生し、家族を対象とした情報提供が進んだことが一因ではないかと思います。このアンケート調査の回答者(全83名)は英国在住者が50名、米国が23名で、この二国の方が大半を占めているのですが、英国には92年、英国には91年に緘黙支援団体が設立されています。

年齢が比較的低い層に限ると、「友達が助けてくれた」が13名、「親/身内が助けてくれた」が10名で、これはもうほとんど差がありません。「助けになったのは、親より友達」と言うのは、苦しそうです。現在緘黙症状を持っている人たちのことに思いを致すと、私たちが注目するべきは、この年齢が比較的低い層ではないかと思います。