緘黙についての「3つの放置」

2015年11月24日(火曜日)

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場面緘黙症のシンポジウムなどでお馴染みの奥田健次氏が、子育て情報サイトの中で、緘黙児と思われる小学3年生を持つ母親への相談に回答しています。

↓ 子育て情報サイト「あんふぁん」内のコーナー「奥田健次の爆裂子育てインフェルノォォォォオオウ」へのリンク。
◇ 学校で発言をしない娘、どうしたらいい? (新しいウィンドウで開く

奥田氏をご存じない方はページを開いてびっくりされるかもしれませんが、奥田氏はこの道の専門家で、回答内容もしっかりしています。

奥田氏の回答で私が特に興味深いと感じたのは、緘黙についての3つの放置という指摘です。

○ 「家庭における放置(自宅では喋るから問題ないとすること)」
○ 「学校における放置(迷惑をかけていないから様子見すること)」
○ 「行政による放置」

実に言い得て妙だと、思わず膝を打ちました。

特に、「行政による放置」を指摘した点が鋭いです。家庭や学校での放置は実際に目に見えて行なわれるもので気付きやすいですが、行政レベルでの放置は、この点気付きにくそうです。

私流に見方を変えれば、家庭レベル、地域(学区、校区)レベル、自治体・国レベルのそれぞれで、緘黙児への適切な支援が必ずしも行われていないと言うこともできるかもしれません。ソーシャルワークの専門用語を参考にして言うと、ミクロ・メゾ・マクロのいずれのレベルでも適切な支援が行われていない場合があるということでしょうか。

緘黙児に適切な支援が行われるようにするには、緘黙の啓発など様々な方法が考えられますが、それぞれのレベルによってその方法も違ってきそうです。行政レベルだと、啓発よりも、直接的な働きかけが主な方法になるかもしれません。

それにしても、「3つの放置」とは本当によく言ったものです。今度から引用したいです(もうしてますね)。

[追記(11月25日)]

表現を少し修正しました。


蛇足


緘黙RPG 1.20 の小規模な修正版 ver.1.21 を公開しました。敵キャラなど一部のグラフィックの画質が悪かったので修正しました。あと、警察イベントがあんまりだったので削除して、代わりにミニゲームを集めた「よい子のゲームセンター」(?)を作るなどしています。

↓ ゲームセンターのミニゲームの一つ「タイピングゲーム」をしている場面。サムネイルをクリックすると新しいウィンドウが開き、拡大画像を見られます(28.7KB)。



◇ 緘黙RPG(仮) ダウンロードページ (新しいウィンドウで開く

「当事者に一番啓発したいのは、小さなチャレンジの大切さ」

2015年11月18日(水曜日)

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Q11-2 一番何を啓発したいですか?(精神疾患の当事者)

★A11-2(角田):早期発見と子どもの状態把握(アセスメント)の大切さ・周囲の理解です。当事者の方には「小さなチャレンジの大切さ」です。

これは、2014年12月14日(日)にお茶の水女子大学で開催された場面緘黙シンポジウムでの、事前質問に対する回答の一つです(かんもくネット、2014年12月29日)。ある精神疾患の当事者の質問に対し、かんもくネット代表の角田圭子さんがこのように答えています。

私はどちらかと言えば当事者側の立場なので、「小さなチャレンジの大切さ」に関心が向きました。かんもくネットの代表が、当事者に一番啓発したいことは、これだというのです。知りませんでした!(不勉強)

* * * * * * * * * *

確かに、緘黙の当事者が小さなチャレンジを積み重ねることは大事なことだろうと思います。不安な状況に少しずつ身をさらして慣れていくことはもちろん、緘黙の人は様々な社会的経験を積む機会が不足しがちでしょうから、その意味でも大事なことだろうと思います。もっとも、チャレンジを無理に押し付けるつもりは私としてはありませんけれども。

ポイントは、「小さな」チャレンジだろうと思います。急にペラペラと話せるようになろうとするのではなく、小さなことでもいいのでできることからチャレンジし、成功できたらそれを評価することでしょう。ただし、進学など新しい環境に入るときは、大きなチャレンジをしてもいい場合がありそうです。

それにしても、緘黙当事者への啓発というのはあまり考えたことがありませんでした。私も緘黙の啓発活動をささやかながら行なったことがありますが、それは緘黙当事者に関わる人を主な対象としたものでした。

ですが、私も学校で話せなかった頃、これを知っていたら変わっていたことだろうと思います。私も当事者の方に、小さなチャレンジの大切さをお伝えしたいです。

文献


◇ かんもくネット(2014年12月29日)「場面緘黙シンポジウム『明日から活かせる場面緘黙児への支援』事前質問への回答」『かんもくネット』最終アクセス2015年11月18日。http://kanmoku.org/news/2014simpo_q&a.pdf#22

関連リンク


↓ 「学校で話せない子ども達のために」へのリンクです。「今の自分を変えたい」「人前で話せるようになりたい」と心の中で思っている小学校中学年以上の当事者を対象に分かりやすく書かれた、大変優れたものです。

◇ 「スモールステップ実践まんが 話すことがむずかしいあなたへ」
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海外の緘黙啓発月間2015まとめ

2015年11月16日(月曜日)

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かつてない規模でした。

10月に海外で行なわれた場面緘黙症啓発月間のことです。昨年までは草の根のようなレベルで行なわれてきたこの啓発月間ですが、今年からは英国最大の緘黙支援団体 SMIRA がこの活動に加わりました。これにより、特に英国において、緘黙の啓発活動が大規模集中的に行なわれました。

そこで今回は、この海外で行なわれた緘黙啓発月間を振り返ってみたいと思います。特に啓発活動が盛んだった英国の状況については、ロンドン在住の MIKU さんという方が既にブログで書いていらっしゃるのですが、私は私で、独自に記録した掲示板「緘黙関連ニュース」の情報などを元にまとめてみたいと思います。

↓ MIKU さんのブログ「場面緘黙について考える-備忘録-」
※ イギリスの場面緘黙啓発月が終了しました (新しいウィンドウで開く
※ 場面緘黙が増加の傾向? (新しいウィンドウで開く

英国の状況


SMIRA が啓発月間開催を決めるまで


SMIRA は今年初めて啓発月間に参加しましたが、昨年の夏にはこんな話がありました。2014年8月に発行された英国発の緘黙専門のウェブマガジン Finding Our Voices に掲載されたインタビューの中でのやり取りの一部です。

インタビュアー:英国には公式の緘黙啓発月間はありませんが、SMIRA はいつもこの障害の認知拡大を図っています。どのように行なっていますか。

Although there is not an official SM awareness month in the UK, SMIRA are always raising awareness of the disorder. How do you do this?

SMIRA 役員 Lindsay Whittington さん:「SMIRAでは毎日が緘黙の啓発日です!」と私たちはいつも言っています。(以下略)

Lindsay: We always say that “Every day is awareness day at SMIRA!”...

https://smsupportmag.files.wordpress.com/2014/08/finding-our-voices-issue-1.pdf#5

ところが、2015年5月に、先ほどの Lindsay Whittington さんが Twitter でこう発言されました。この間に何かが変わったようです。

SMIRA は2015年10月1日~17日の緘黙啓発キャンペーンを告知します。

SMIRA announces #selectivemutism Awareness Campaign for October 1st-17th 2015.

https://twitter.com/SmiraLindsay/status/600623236087476224