映画『校庭に東風吹いて』に、文化芸術振興費補助金ほか

2016年03月30日(水曜日)

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場面緘黙症の少女が主要人物の一人として登場するとみられる映画『校庭に東風吹いて』の新情報をいくつかお知らせします。

文化芸術振興費補助金1,100万円


まずは、この映画が、平成28年度文化芸術振興費補助金による助成対象活動に選ばれたというニュースです。

↓ 文化庁ホームページへのリンク。PDF(1.32MB)。14ページ目。
◇ 平成28年度文化芸術振興費補助金による助成対象活動の決定について (新しいウィンドウで開く

文化庁は「文化芸術振興費補助金」として、映画製作に要する経費を文化庁の予算の範囲内で支援しているそうです。今回の映画はその支援対象に決まり、1,100万円が交付されるということです(そのうち100万円は字幕製作費)。

1,100万円とはたいそうな額です。映画製作がいかにスケールの大きなことか、改めて感じます。

お金といえば、こんな話があります。何年か前、ある数百人規模の緘黙のイベントが行われました。緘黙のイベントとしては大規模なものでしたが、その予算は30万円だったそうです。これは、このイベントに関わった自治体のホームページに公開されている情報です。1,100万円あれば、数百人規模の緘黙イベントが40回近く開催できそうです。

もっとも、今回の映画は緘黙を主題としたものではないようですし、映画製作とイベントはお金のかかり方が全く違うので、一概に比べられません。とはいえ、緘黙を主要テーマの一つにすると見られる映画に、国の補助金が1,100万円も交付されるとは大きな話です。

なお、国の補助金といえば、緘黙の研究に科学研究費補助金315万円が交付されたことがあります。

↓ 国立情報学研究所のサービス KAKENへのリンク。
◇ 選択性緘黙の内的世界の探究と治療教育的アプローチの開発 (新しいウィンドウで開く

栃木「宇都宮ヒカリ座」7/16(土)~上映予定


映画の上映日程に関する情報を見つけました。栃木の映画館「宇都宮ヒカリ座」では、7/16(土)~上映予定だそうです。それ以外の映画館の上映日程の情報は今のところ見つけていません。

↓ 宇都宮ヒカリ座ホームページへのリンク。
◇ 校庭に東風(こち)吹いて (新しいウィンドウで開く

エキストラ募集情報


「大阪フィルム・カウンシル」で、ボランティアエキストラ募集の情報が出ています。この情報が確かなら、撮影は大阪府堺市や大東市でも行なわれます。なお、応募は皆様のご判断でお願いします。

↓ 大阪フィルム・カウンシルのホームページへのリンク。
◇ 劇場公開映画『校庭に東風吹いて』にてボランティアエキストラ募集中! (新しいウィンドウで開く

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緘黙関係者と吃音関係者の関わり

2016年03月27日(日曜日)

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緘黙に関心のある人の間で、吃音が話題に


青い鳥 (新潮文庫)場面緘黙症がある人が主人公の小説に、直木賞作家・重松清さんの「ハンカチ」(2007年)があります。短編集『青い鳥』に収録されている作品です。話の軸は、緘黙の女子中学生と、吃音の教師という、ともに発話に困難がある二人です。

※ 表題作「青い鳥」は、2008年に映画化されました。阿部寛主演。

この「ハンカチ」が呼び水になったのか、そうでないのかは分からないのですが、最近、緘黙に関心のある方の間で吃音が話題になることが増えています。また、その逆もあります。

最初にこの動きに私が気付いたのは2014年頃です。この頃からTwitterで、緘黙と吃音を関連付けるなどする投稿が増え始めました。

子どもの吃音 ママ応援BOOK2016年1月には、緘黙の本に何度も関わってきた、はやしみこさん(かんもくネット)がイラストを担当する『子どもの吃音 ママ応援BOOK』(学苑社)が刊行。著者の菊池良和さんが講師を務めた出版記念講演会では、はやしさんが緘黙についてお話しするコーナーがあったそうです。

◇ かんもくネット Facebook ページに、講演会について書かれてあります。 (新しいウィンドウで開く

[追記(2016年3月29日)]

◇ 『子どもの吃音 ママ応援BOOK』では、緘黙についても触れられているそうです。


最近では、レデックス株式会社のメールマガジンで、かんもくネットによる緘黙の連載があり話題になりましたが(同社ホームページで、過去のメールマガジンを読むことが出来ます)、偶然か否か、緘黙の連載が終わった後に始まったのは吃音の連載です。それも、「場面緘黙と吃音は似ているところがあります」と始まっています。

私がよく見ている英語圏の情報や、ときどきチェックしているドイツ語圏の情報では、そこまで緘黙と吃音が関係付けられてはいません。日本独特のトレンドなのかもしれません。





緘黙児に「君は勇敢だ!」(行動療法)

2016年03月19日(土曜日)

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ある米国の地方ニュース


Litchfield Independent Review という米ミネソタ州の地方紙に、緘黙を主題とした記事が掲載されました。興味深い記事だったので、取り上げてみます。

↓ その記事へのリンクです。
◇ 4-year-old with selective mutism finds his 'brave voice' (新しいウィンドウで開く

記事の内容は、ある緘黙の少年を通じて、緘黙とその改善への道のりを伝えたものです。

治療場面で、緘黙児に「君は勇敢だ」


記事の中で特に興味を引かれたのは、緘黙児に行なわれている治療(おそらく行動療法)の一部に、「君は勇敢だ(brave)」と伝え、発話を促すものがあるという話です。

※ 行動療法は、単なる発話の強要ではありません。それは逆効果です。

他にも、緘黙児が勇敢さを発揮して出す声を brave voice と言ってみたり、緘黙児に君は勇敢である必要があると説いたという話など、この勇敢な(brave)という単語は、記事の中で8回も登場します。記事の題名にもこの言葉は含まれていますし、締めの一文も勇敢さの効用を説いたものです。

勇敢な(brave)という言葉は、海外の緘黙児支援、特に行動療法では以前から目にすることがありました。例えば、ニューヨークの Child Mind Institute という民間機関で行なわれる緘黙児への集中プログラムの元祖の名前は brave buddies で、ここでは緘黙児の発話を brave talking と呼んでいます。また、オランダやフランスには緘黙児へのパソコンゲームがあって、治療場面でも活用されているのですが、このゲームのテーマは、「勇敢であれ」「話すことを恐れてはいけない」です。

行動療法といえば、日本でも『どうして声が出ないの?マンガでわかる場面緘黙』など、近年の本ではよく扱われます。ですが、日本の緘黙の読み物で、こうした勇敢さを強調したものはなかったのではないかと思います。

素朴な疑問:「楽しく」との兼ね合い


確かに、緘黙児がスモールステップの階段を上っていくには、勇敢さや勇気といったものが必要になってくる場面は多々あるでしょう。「あなたは勇敢だ」とその気にさせるのは、面白い作戦かもしれません。ただ、これが行き過ぎて、「勇敢たれ!勇気を出せ!」と精神論的な面ばかり強調されるようになると、どうだろうと思います。

『どうして声が出ないの?』では、スモールステップの取り組みのポイント?の一つに「楽しく」が挙げられています。実際、緘黙児への行動療法では遊びを取り入れたものが紹介されることがあり、緘黙児にプレッシャーを与えないよう楽しみながらステップを踏んでいくことも大切な工夫だろうと思います。

私は、このあたりの兼ね合いをどうとるかを考えます。それはおそらくバランスやTPOで、ひたすら「勇敢たれ!勇気を出せ!」と追い詰めるのもよくなくて、かといって「楽しく」だけではなく勇敢さが必要になってくる場面も出てくるということだろうかと、今のところ考えています(といっても、机上で考えているにすぎないのですが……。科学的根拠も知りません)。

蛇足


ちなみに、私が作ったゲーム「緘黙RPG」では「勇気」がキーワードの一つです。「勇者」という言葉も登場します。

それは上で書いたような海外の支援動向の、私なりの解釈を反映させたものです。単なるドラクエとかの真似ではありません(けっこう影響受けてますけど……)。