2016年・緘黙関係ニュースを振り返る

2016年12月26日(月曜日)

アイキャッチ画像。
今年一年を場面緘黙症に関係するニュースで振り返りたいと思います。今年で7回目の企画です。

昨年までは「十大ニュース」と銘打っていましたが、今年からはタイトルをこのように変えることにしました。ニュースになった一つ一つの出来事には、たくさんの熱意ある方が関わっています。それを思うと、私などが「十大ニュース」として選り抜くのは心苦しい思いがするからです。ただ、記事内容は、これまでとあまり変わりありません。

1月 札幌で220名規模の講演会が開催


1月17日(日)に、札幌市で講演会「場面緘黙支援の最前線~ここから始めよう~」が開催されました。講師は角田圭子氏(かんもくネット代表、臨床心理士)。北海道かんもくセミナーの一般講演会で、かんもくネット、札幌市教育委員会、北海道教育委員会が後援者として名を連ねています。参加申込者は216名(満席)に及びました。

1月16日(土)に開催されたおしゃべり会と合わせて、同セミナーのイベントは『北海道新聞』で取り上げられました。

4月 障害者差別解消法が施行、「合理的配慮」が支援の新たなキーワードに


「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」、いわゆる「障害者差別解消法」が4月1日に施行されました。これにより、「合理的配慮」が緘黙支援の新たなキーワードとなりました。国公立学校を含む公的機関には、障害者に合理的配慮(条文では「合理的な配慮」)を行なうことが法的に義務化されました(第七条第二項)。民間事業者は努力義務です(第八条第二項)。

第七条 
2 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。

4月 今年度から始まる緘黙の研究に、科学研究費補助金1,183万円


園山繁樹筑波大学らによる「選択性緘黙児童生徒の多様な状態像の解明と個に応じた支援方法の検討」が、科学研究費補助金(科研費)の採択を受けました。緘黙を主題とした研究が科研費の採択を受けたのは6年ぶり2度目のことです。

今回は3ヵ年にわたる研究で、園山教授以外にも研究分担者として6名の研究者の名前があります。交付額は1,183万円で、前回採択された研究の交付額のおよそ4倍です。

4月 フジテレビ「月9」『ラヴソング』が話題に


フジテレビで4月11日に放送された月曜夜9時台のドラマ「ラヴソング」第1話で、場面緘黙症の絵本『なっちゃんの声』が出てくる場面がありました。絵本は物語の本筋には関わりはなく、絵本の内容に触れられることもありませんでしたが、第1話のクライマックスとも言える場面で、女優の水野美紀さん演じる言語聴覚士が、およそ5分間にわたって『なっちゃんの声』を手にしていました。

ドラマでは主要登場人物の一人に吃音の女性がいました。吃音は緘黙と似た点もあることから、緘黙に関心がある方の間でもこのドラマは話題になりました。ちなみに、視聴率はもうひとつでした。

6月 東京で定員270名規模の研修講座が開催


6月26日に、お茶の水女子大学において、日本緘黙研究会主催の研修講座が開催されました。270名に上る定員は満席に達したそうです。

その内容ですが、藤田継道氏(関西国際大学)の「ごあいさつ」、園山繁樹氏(筑波大学教授)の「基調講演」、笹田夕美子氏(浜松市発 達医療総合福祉センター)の「事例提供」、笹田氏の事例提供に対する奥田健次氏(行動コーチングアカデミー)の司会・解説などからなったそうです。





「緘黙を教師に受け入れてもらえたことが、変化のスタート」

2016年12月18日(日曜日)


イギリスの高級紙 The Guradian に16日、場面緘黙症を主題とする記事が掲載されました(電子版で確認)。ライターの Phoebe-Jane Boyd さんという方が、ご自身の緘黙経験を書いたものです。

大手新聞社のウェブサイトに掲載された記事とあってか、多数のコメントが寄せられています。その数は100件を超えます。

↓ The Guradian ホームページへのリンクです。
◇ A moment that changed me: a teacher’s acceptance of my silence (新しいウィンドウで開く

Boyd さんが緘黙を発症したのは80年代のことで、緘黙は25年ほど続いたそうです。認知が進んでいない成人期の緘黙経験者の記事が、高級紙 The Guradianに掲載された意義は大きいです。

記事では緘黙の解説を iSpeak のホームページから引いています。iSpeak は、大人や10代の緘黙者、その家族のためのイギリスの支援グループです。iSpeak の緘黙の説明には、緘黙が成人期にまで至る場合があることが書かれてあります。

イギリスの新聞記事で緘黙を主題としたものといえば、だいたい内容は決まっています。実例を挙げながら緘黙や支援法について専門家の意見を交えつつ、一般的な解説をするといったかたちがよくとられます。ところが今回の記事は経験者が書いたものゆえか、全く違った書き方になっています。Boyd さんご自身の緘黙経験談が、その内容のほとんどを占めています。

Boyd さんは緘黙のことで長年苦しみました。ところが17歳の時、ある英語教師から "It’s not a problem."(話せないことは問題ではない)などと言われ、それを受け入れてもらいました。これが、Boyd さんが声を出せるようになるスタートだった……というところで、この方の緘黙経験談は終わっています。

緘黙が受け入れられたことが、声が出るようになることへの転機になったという話は、よくよく考えると逆説的で興味深いです。ここからどのようにして Boyd さんが声が出るようになったかは書かれていないので、色々と想像してしまいます。

どちらにしろ、Boyd さんは話せないことで自分を責めたり、周囲の人(教師とか)が無理解だったりといったことが長く続いたようです。それだけに、話せないことを受け入れてもらえたことは、どんなにありがたいことだったろうと思います。


2/5宮古島市で200名募集の講演会

2016年12月17日(土曜日)


沖縄県宮古島市で2017年2月5日(日)、「場面緘黙講演会」が開かれるそうです。主催者の「宮古島 緘黙っ子親の会(ゆりの会)」さんが、Twitter やブログで告知されています。募集人員は200名と、規模が大きいです。

場面緘黙講演会
「話したくても話せない子ども・大人へのサポートについて」
~家庭・学校・地域でできる配慮~

日時:2017年2月5日(日) 受付は13:30~、講演は14:00~16:00
場所:宮古島市中央公民館 大ホール
講師:高木潤野氏(長野大学准教授)
対象:当事者、経験者、支援者、保護者など
募集人員:200名
主催:宮古島 緘黙っ子親の会(ゆりの会)

↓ 詳しくは、以下のPDFファイルをご覧ください。申請方法や緘黙経験者が作成したイラスト、お知らせ(末尾)などもあります。TwitDoc.comへのリンク。
◇ 場面緘黙講演会 (新しいウィンドウで開く

[追記(2016年12月18日)]

PDF版ではなく、画像版もあります。下記の公式ブログをご覧ください。

↓ 宮古島 緘黙っ子の親の会(ゆりの会)公式ブログへのリンク。
◇ 啓発活動11 場面緘黙講演会開催のお知らせ (新しいウィンドウで開く


宮古島市で緘黙の講演会といえば、過去にもありました。2013年1月26日に行なわれた「園や学校で話せない子どもたちのために~場面緘黙(かんもく)の理解と支援について」と題するものです。講師は角田圭子氏(臨床心理士、かんもくネット代表)、約230名が集まったそうです。『宮古新報ニュース』が報じており(電子版で確認)、当時の記事は今でも残っています。

↓ 当時の記事。宮古新報ニュースコムへのリンク。
◇ 話さないこと責めないで、場面かん黙に理解求め講演 (新しいウィンドウで開く