あの本が、10代の緘黙支援に活かせる?

2017年04月07日(金曜日)

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緘黙も扱った、あの本


先月ご紹介したイスラエルやイギリスの場面緘黙症の本には、10代など年齢が上の緘黙支援に関する記述が盛り込まれていました。特にイスラエルの本の記述は、80ページに及ぶものでした。緘黙支援というと、おおよそ10歳未満の低年齢の子どもに焦点が当てられることが多いのに、これは珍しいです。

ところが、それらの本で書かれてあった支援法とある程度重複する内容が、あの日本の翻訳書の中で紹介されていたことを思い出しました(うっかり忘れていました)。その本は、『親子でできる引っ込み思案な子どもの支援』です。

親子でできる引っ込み思案な子どもの支援
クリストファー・A・カーニー
学苑社

この本は緘黙も扱っており、緘黙に関心のある方の間ではある程度知られているのではないかと思います。表紙の絵も『どうして声が出ないの?』『なっちゃんの声』でお馴染み、かんもくネット事務局のはやしみこさんが担当されています。

ただ、緘黙を主題とした本でないせいか、緘黙に関わる人の間で話題になることはやや少ない印象を受けます。私もこの本についてはちょっと読み込み不足で、盲点でした。


呼吸法、筋弛緩、心配事の検討……


この本には「リラクセーションと現実検討力の支援」と題する、28ページからなる章があります。そこで紹介されているのは、呼吸法、筋弛緩、心配事の検討といった技法です。これらは、冒頭でお話したイスラエルやイギリスの緘黙の本で、年齢が上の緘黙児者への技法として共通して取り上げられています。

また、第5章では「ソーシャルスキルの促進」と題する、32ページからなる章があります。イスラエルの緘黙の本では、日本でいう緘黙の後遺症にあたる記述の中で、起こり得る問題の一つとして不十分なソーシャルスキルが挙げられています。また、そのイスラエルの本では、ソーシャルスキルを高めるための「ロールプレイ」という技法の紹介が少しだけありますが、これは『親子でできる……』の中でも紹介されています。

※ ただ、ソーシャルスキルは、何も10代以降の緘黙当事者・経験者のみの問題ではないのではないかと個人的には思います。私は専門家ではないので、よく分からないのですけれども。また、全ての緘黙当事者・経験者に、ソーシャルスキルへの支援が必要というわけではありません。


もともと10代の子どもへの支援も視野に入れた本だった


『親子でできる……』は、実は10代の子どもへの支援も視野に入れた本です。もっとも、緘黙に特化した本ではないので、10代の緘黙特有の問題については掘り下げられていません。また、これ1冊で10代の緘黙支援は十分とも思えません。ですが、もしかしたら何か活かせるものがこの本にあるかもしれません。

なお、似た本に『先生とできる場面緘黙の子どもの支援』があり、この本でも上の技法が紹介されています。そのうち認知の介入(心配事の検討)については、より発話の問題に特化した内容になっています。ただ、全体として『先生とできる……』ほどのページ数は割かれてなく、他の説明が多いです。

先生とできる場面緘黙の子どもの支援
クリストファー・A・カーニー
学苑社