緘黙RPGを3D化しました

2017年06月26日(月曜日)

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緘黙RPGを3D化しました。3次元の仮想空間を舞台に、緘黙に関わることやスモールステップの取り組み、緘黙のイベントなどを表現しています。

今回はダウンロード版はなく、ブラウザ版のみの公開です。無料ゲーム作成・配信サイト PLiCy で公開しています。ゲームをブログ等に埋め込むこともできるので、もしそうしたいという方がいらっしゃれば(いらっしゃるかな?)、ご自由に。

↓ このリンクよりプレイできます。PLiCy へのリンク。音楽が流れるかもしれないので、音量にご注意。
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↓ ブログへの埋め込み方法が解説されています。PLiCy へのリンク。
◇ 緘黙RPG 3D版 をブログで遊べるようにする新しいウィンドウで開く

動作環境ですが、パソコンやスマートフォンで動作するそうです。タブレット端末でも大丈夫でしょう。ただ、開発された方の過去の Twitter 投稿には「推奨環境はAndroid5.0以上になりそう」とも書かれてあります。

そのままアクセスすると、「この状態ではセーブできません!セーブをするにはログインしてください」と出る場合があります。今回のゲームはパソコンなら50分前後でのクリアを想定しているので、セーブは不要な方もいらっしゃるかもしれません。じっくりプレイなさるならば PLiCy に無料登録、ログインしてセーブ機能を使われることをおすすめします。一時的なセーブを行なう「クイックセーブ」であれば、ログインなしでもできるようです。

緘黙RPGと3D版について


緘黙RPGは、場面緘黙症の主人公がスモールステップで活動場面を増やしていく様を描いたロールプレイング・ゲームです。ブラウザ版のプレイ回数は4,000回を超えています。これは PLiCy 教養カテゴリ歴代2位です(プレイ回数だけは多いです)。そのうち、序盤の山場である「緘黙イベント」までを3D化しました。全部を3D化したわけてばありません。

この「緘黙イベント」は「かんもくフォーラム」などの実在した緘黙関係の催しをモデルとしたものです。これについては特別に、オープニングからいきなり「緘黙イベント」まで飛べる方法を用意しています。ただし、これはいきなりエンディングを見るような行為なので、最初からプレイしてくださるつもりの方がいらっしゃれば、やめた方がよいかもしれません。


従来版と3D版の違いについて


今回使用したゲーム作成ツールは、これまでの緘黙RPGで使用したものとは別のものです。この関係で、3D版は従来版とは異なる点も多いです。例えば、従来版はフィールド画面と戦闘画面をはっきり区別していたのですが、3D版は両者の区別を薄めたシームレス風の戦闘に変わっています。

主要キャラの画像素材の多くは、従来の緘黙RPGのものを活用しています。ただ、これらは一枚絵として利用することになったため、マップは3Dなのに、主要キャラは一枚絵で表示されるという不思議な状態になっています。


ゲームという表現方法の可能性


なお、これは PLiCy の教養カテゴリのゲームですが、「このゲームを通じて緘黙について学ぼう」とは考えない方がよいです。緘黙について学ぶなら、ちゃんとした方が著した本を読むなど、もっと適切な方法があるはずです。私としては、緘黙については、漫画や動画だけではなく、ゲームという表現方法の可能性について探ってみたいと考えているだけです。

最近の私はこうしてゲームばかり作っていますが、実のところ、最近のゲームについてはよく知りません。3Dのゲームも、やったことがありません。強いて言えば、10年ほど前に「Second Life」という3Dの仮想空間が話題になった時に、Second Life の仮想世界を巡ったことがある程度です。

それにしても、ゲームに動画(音声解説なし)と、私は目の不自由な方に優しくないものばかり作っています。すみません。


利用素材


○ GameDesignerWorld 素材
○ WOLF RPGエディター 同梱素材とグラフィック合成器
○ WOLF RPGエディター支援素材集 part2
○ ひかる様(SUGAR STAR
○ ユーフルカ様(Wingless Seraph
○ riele様(イラストAC より)
○ 上田ひろこ様(イラストAC より)
○ 里内良様(イラストAC より)
○ 忠藤いづる様(そらまにぶろぐ

※ 忠藤いづる様が配布されている素材は原則として RPGツクールVX正規ユーザー用ですが、今回お借りした素材は手描きオリジナル素材なので、例外的に用途を問わず利用可能です。



「一般化」--緘黙は自分だけじゃない

2017年06月19日(月曜日)

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「わたしだけじゃないんだ」


そうなんだ (ほっ) わたしだけじゃないんだ

どうして声が出ないの?-マンガでわかる場面緘黙-』の一場面です。場面緘黙症の架空の小学生「なっちゃん」が、「子どものころ話せなかった人はたくさんいるんだよ」等々と教えられ、ほっとします(はやしみこ, 2013, pp.16-17)。

私はこれを読み、正直なところ「なっちゃん、もっと驚かないの?」と感じました。子どもの頃に話せなかった人が自分だけではなかったという事実は、私が大人の頃に初めて知ったとき、天地がひっくり返るくらいの衝撃だったからです。

ですが、よくよく考えてみると、なっちゃんの反応はもっとものように思えてきました。なっちゃんはまだ小学生です。絵本『なっちゃんの声』では1年生という設定で、『どうして声が出ないの?』でもそれと同じか、あまり変わらない年齢設定とみられます。

つまり、なっちゃんは緘黙がそこまで長期化していません。その分、緘黙に対する特別な感情のようなものは、そこまで強くはなってないのかもしれません。一方私の場合、学校などで話せない期間が10年ほど続いたため、そのことに対する思い入れが強くなりすぎてしまったのでしょう。ですが、他にも理由があるのかもしれません。


一般化


緘黙は自分だけではないという気付きについては、以前お話したイスラエルの本の中に、興味深い指摘があります。十代の緘黙児者への心理教育に関する記述の一部です(Perednik, 2017, p.173)。

一般化:十代の緘黙児者は一般に、自分が他の人と違っていて、能力に欠けると感じている。--結局のところ、彼ら彼女らは、社会的コミュニケーションを図るための基本的ツールを特定の状況で身につけてこなかったのだ。自分たちは一人ではなく、多くの人が緘黙に苦しみ、そして効果的な治療法があることを理解することは、彼ら彼女ら(とその親)にとって大きな安心になる。

Normalization: Teenagers with SM usually feel different and inadequate - after all, they have not mastered the basic tool of social communication in certain settings. It comes as a huge relief to them (and to their parents) to understand that they are not alone, that many people suffer from SM, and that it has effective treatments.

この本の著者は、緘黙が自分だけでない(我が子だけでない)と知ることを「一般化」(normalization)と呼んでいます。「一般化」(normalization)は専門用語だろうかと思って調べたところ、以前もお話した「解決志向アプローチ」にこの用語があることを知りました。ここからとったのでしょうか。

私がなるほどと思ったのは、「十代の緘黙児者は、自分が他の人と違っていて……と感じている」という部分です。十代ともなると、自分と他人の違いに敏感になってしまうものだろうと思います。そうした年齢層の人にとっては、話せないのは自分だけでないことを知ることは大きいかもしれません。

なっちゃんがあの場面で驚かなかったのは、もしかしたらなっちゃんは年齢的に、他人との違いをあまり強く意識したことがなかったことも理由の一つかもしれません。もしなっちゃんの緘黙が思春期まで続き、そのときに初めて話せないのは自分だけでなかったと知ったら、なっちゃんの反応は変わったかもしれないと思います。

色々と書きましたが、話せないのは自分だけでないことを本人に知らせるべきかは、緘黙という言葉を知らせるべきかも含めて、よく考えなければならない問題だろうと思います。





放送大学の講義より

2017年06月12日(月曜日)

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一部、無料で一般公開されている


放送大学の過去の講義の中には、無料で一般公開されているものがあります。私のような学外の人間でも簡単に聴講できるようになっています。

私は最近聴講を始めたのですが、これがなかなか面白く感じました。場面緘黙症と関係がありそうな科目も見つけました。次の2科目です。

認知行動療法


緘黙に有効な治療法の一つと思われる、認知行動療法の科目です。これはテレビ授業科目で、第1回放送分のみ一般公開されています。2014年度に開講されたもので、主任講師は下山晴彦氏(東京大学大学院教授)と神村栄一氏(新潟大学教授)でした。

第1回放送分「認知行動療法とは何か—特徴と、その成り立ち」のみしか見ることができないのが惜しいのですが、認知行動療法のあらましをつかむことはある程度できるかもしれません。講義らしい堅苦しさも薄めなので、聴講しやすいです。ただし、大学の講義なのにいきなりドラマから始まるので、驚かれる方もいらっしゃるかもしれません。


精神医学特論


これはラジオ授業科目で、全15回が一般公開されています。2016年度に開講されたもので、主任講師は石丸昌彦氏(放送大学教授)と広瀬宏之氏(横須賀市療育相談センター所長)でした。

緘黙と関係があるのは、第9回「発達障害、小児期の心身症と精神疾患」です。この回では、「選択性緘黙」の説明がなされています。33分45秒から34分8秒までの23秒間ほどです。この通り、緘黙については概略をさらりと説明した程度です。この科目全体では、統合失調症のお話が多いです。


聴講方法


一般公開されている講義を見たり聴いたりするには、インターネットに接続できる環境があればよいです。具体的には、次の方法をとります。

○ パソコンの場合、放送大学「オープンコースウェア」ホームページにアクセス

○ 携帯端末の場合、放送大学のアプリをインストール

なお、認知行動療法の講義は見つけにくいです。1回分のみ公開の講義はたくさんあるので。私がインストールした Android 用アプリの場合、「一般の方はこちら」⇒「テレビ」⇒「授業科目一覧(1回分のみ公開)」⇒「066 認知行動療法('14)1528963p」の順で聴講できました。


緘黙が長期化すると、発達課題の達成に支障が出るか


ところで、精神医学特論の中で、石丸教授が「発達課題」のお話を繰り返しされていたのが私には印象に残りました。青年期に発症する統合失調症の患者さんには、その障害ゆえに「発達課題」を達成できない方もいらっしゃるというお話です。

「発達課題」とは何でしょうか。私は専門家ではないので詳しくはなく、説明は下記ページに委ねます。

↓ コトバンクへのリンク。
◇ 発達課題 | ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説 (新しいウィンドウで開く

↓ goo ヘルスケアへのリンク。
◇ 心理学用語「E.H.エリクソンの発達課題」Developmental Task (新しいウィンドウで開く

↓ 「津市まん中こども館」ホームページへのリンク。
◇ 子どもの発達課題に応じた支援 (新しいウィンドウで開く

↓ 文部科学省ホームページへのリンク。ある懇談会の配布資料。
◇ 各発達段階における子どもの成育をめぐる課題等について (新しいウィンドウで開く

このあたり、緘黙についてはどうなのだろうと私は思いました。先日多くのアクセスを集めたアメブロ公式トップブロガー・タマ タマヨさんのお子さんのように、小学1年生のうちに緘黙が克服の方向に向かえばさほど心配はないかもしれません。ですが、長引けば、発達課題の達成に支障が出るようなことはないのでしょうか。特に、対人関係にかかわる課題の達成が難しいのではないかと思います。

ところが、「発達課題」という視点から緘黙について専門家が論じているのを、読んだ覚えがちょっとありません。よく探せばひょっとしたらあるのかもしれませんが、量は少ないだろうと思います。緘黙と発達課題がどうこうというのは、発達心理学等に詳しくない私の考えすぎなのでしょうか。

緘黙というと、ゆっくりでもいいから自分のペースで歩めばよいという論調が強いと感じます。もしかしたら、発達課題がどうこうとは言われないのは、このあたりが関係しているのかもしれないと思います。

蛇足までに私の経験をお話しすると、緘黙の影響で周りの人と同じように発達課題が達成できないと、自信や幸福感の低下につながりました。私の場合、自信や幸福感は、周りの人との比較で決まる部分も大きいです。なお、私は緘黙といっても、このことで医者にかかったことはなく、診断は受けていません。