緘黙の研修-日本は数時間、海外では丸一日以上も

2017年10月06日(金曜日)


場面緘黙症に関する催しは、海外でも行なわれています。そうした海外の催し物情報を、先日から「緘黙関連ニュース」で、新たにお伝えすることにしました。

「海外の催しなんかお伝えしても、どなたが参加するのか?」と考え、以前はほぼお伝えしませんでした。また、そうした情報を見つけても、私自身軽く読み流していました。ですが、考えを改めることにしました。日本で緘黙に関する催しが増える中、海外の催しを知ることで、何か発見があるかもしれないからです。

海外の催しをお伝えする中で、改めて気付いたことがあります。それは、海外では緘黙の研修やワークショップに丸一日とか、場合によっては丸二日かける場合があることです。日本ではこのような長時間のものはおそらくなく、数時間ほどです。

香港の緘黙ワークショップは丸二日!台湾の団体とも連携


例えば、これは香港で2018年3月に開かれる、専門家向けワークショップの情報です。

↓ 「緘黙関連ニュース」へのリンクです。
◇ 香港で2日間のワークショップ
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午前9時30分から午後5時00分まで、しかも二日間連続です。丸二日といってもいいスケジュールです。

講師は Ruth Perednik 氏。イスラエルの専門家で、このブログでも取り上げた The Selective Mutism Treatment Guide の著者です。プログラムの内容を見るに、理論と実践の両面に目が行き届いていますし、10代や大人の緘黙も取り上げますし、なかなか充実していそうです。

ただ、参加費が、日本の相場では考えられないぐらい高いです。早めの予約で3,800香港ドル(約5.5万円)、そうでない場合は4,500香港ドル(約6.5万円)もします。

なお、8月に誕生した台湾の団体「台灣選擇性緘默症協會」が、このワークショップと連携しているようです。私は中国語が読めず、機械翻訳に頼っているのでよく分からないのですが、台湾の団体が緘黙支援に携われる専門家の育成に力を入れていることが窺えます。

↓ 「台灣選擇性緘默症協會」ブログへのリンクです。
◇ 台灣選擇性緘默症協會種子人才計畫;研習資訊
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丸一日や丸二日かけるものもある、海外の緘黙研修


海外にはこのように、緘黙の研修やワークショップに丸一日とか、丸二日をかけるものもあります。先の香港のもの以外にも、ご紹介してみましょう。

※ いずれも「緘黙関連ニュース」へのリンクです。

◇ 英国ウェールズのAfasicが、緘黙のワークショップ2件連続開催
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◇ ポーランドで、11月に2日間の研修
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◇ 豪州で、10月に8時間のワークショップ
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◇ シティ大学ロンドンで11月、丸1日の短期講習
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私が見つけたものだけでも、これだけあります。しかもこれは、9月から11月という最近のものに限っています。

なお、海外の研修やワークショップの全てが、このように丸一日以上のものであるわけではありません。今のところ「緘黙関連ニュース」では主な催しのみを取り上げることにしているので、結果的にこのような長時間のものの情報ばかり集まっているだけです。例えば、カナダの慈善団体 Anxiety BC が11月3日に開く予定のワークショップは、午前9時から午後1時までのスケジュールです。

↓ カナダの Eventbrite というウェブサイトへのリンクです。
◇ Selective Mutism - Advanced Strategies for Professionals
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このような長時間の研修、日本にはない


このように、丸一日以上にわたる研修やワークショップは、私が知る限り、日本ではありません。

例えば、日本緘黙研究会という団体が主催する研修会が、2016年と2017年に実施されました。この研修会ですが、過去2回とも午後2時00分から午後4時45分 (開場午後1時30分)までの、3時間ほどの内容でした。参加費は1,000円と、これまで見てきたものとは比べ物にならない低さです。

↓ 2017年の研修会。日本緘黙研究会ウェブサイトへのリンクです。
◇ 研修講座「場面緘黙の理解と支援」開催のお知らせ
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↓ 2016年の研修会。日本緘黙研究会ウェブサイトへのリンクです。
◇ 研修講座「場面緘黙の理解と支援」開催のお知らせ
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ただ、日本では、研修会というよりも講演会の方が目立つかもしれません。これも、低参加費で2~3時間ほどのものです。

では、日本では緘黙の研修やワークショップが海外に比べると充実していないのかとかいうと、今のところ私にはまだ分かりません。一概に時間だけ比べてどうこう言うことはできないのではないかと思います。

どちらにしろ、今回のことで私は色々と考えさせられました。例えば、緘黙への支援を行える人材を育成するには、研修やワークショップにどれだけの時間が必要なのか。2~3時間で十分なのか、丸一日や丸二日の研修でみっちり鍛え上げることが必要なのか、それでもまだ足りないのか。おそらくそれは、研修やワークショップの到達目標や、受講者の対象、水準にもよるのではないかと思います。

また、研修やワークショップの時間だけでなく、参加費など、他の要素とのベストな組み合わせはどういったものか。高額費用で丸一日や丸二日の研修だと、高度な知識や技能を持った人材を少数育成するというかたちになりそうです。一方、日本のような低い参加費用で数時間の研修だと、高度な知識や技能をその研修だけで受講者に身につけさせるのは難しそうですが、参加者は多数集まりやすそうなことから、広く薄く教育する効果がありそうです。

何にせよ、私は専門家ではないのでよく分かりません。今後も情報を収集して、海外の動向も研究していきたいです。