場面緘黙児・富氏の友達M君

2006年08月26日(土曜日)

連続ブログ小説・私の緘黙ストーリーです。前回の話は「こちら」。緘黙ストーリーの目次をご覧になりたい方は「こちら」

前回お話した通り、転校先の学校では、クラスの雰囲気に飲まれたような感じで、緘黙してしまい、思うように振舞えませんでした。おまけにいじめに遭って、さんざんでした。

今回は学校での出来事だけでなく、家庭でのことも書いています。

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■ 留守番が多く

親戚の家でお世話になっていた私でしたが、学校から帰っても留守番をすることが多かったです。親戚の多くは昼間は仕事に出ていましたし、母は病院で父に付き添っていましたから、学校から帰っても家には誰もいないことが多かったのです。

■ 家では伸び伸びと

家では学校とは違って伸び伸びと振舞っていました。親戚の家だから、もっと遠慮するべきだったと今にして思うほどです。

留守番中にしていたことと言えば、マンガを読んだり、勉強したり、テレビゲームをしたり、といったところでしょうか。前の家にいたときは習字と水泳に通っていたのですが、引越しに伴い習い事もなくなりました。テレビはあまり見ませんでした。「レディス4」「アリエスの乙女たち」といった、小4男子が興味を持つには難しい番組しか放送されていなかったので。

それから、メンコ(面子)の練習もしていました。学校では何故か昔ながらの古い遊びであるメンコが大流行していて、クラブ活動の中に「メンコクラブ」まであるほどでした。私はこのクラブに所属していたこともあり家で一人で練習していたのですが、学校では私の相手をしてくれる子どもは、ほとんどいませんでした。

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■ 外出も

もちろん、帰宅後は外出をすることも多かったです。引越し先の地理に興味があり、あちこち探検していました。お隣のお隣に住んでいた、昔からの顔なじみのO家の息子さん(2つ年下)とも少しだけ遊んだ記憶がありますが、O家のお子さんたちとは普通に話をすることができました。

晩ご飯の準備の時間になると、親戚の人が帰ってきました。親戚との関係は良好で、特に不自由を感じることはありませんでした。家では安心して会話をすることができました。

■ 父の見舞い

引越し後間もない頃は、父の見舞いにも頻繁に通っていました。親戚の車に載せてもらい、病院に行きました。病院では緘黙することはなかったと思います。

父は入院はしていたものの元気そうで、「病気を治して、また会社に戻るからな。心配しなくていいぞ」などと話していたと思います。付き添っていた母は父の体調を気遣っていたのですが、見たところ、それほど深刻な様子でもありませんでした。

お見舞いが終わった後、病院の食堂でラーメンを食べるのが私の楽しみでした。地元では一番優れた病院だと聞いていたので、父のことは心配はしていませんでした。私に悲愴感はありませんでした。

■ 友達M君

家庭では特に不満はなかった私ですが、学校ではいじめられるし、緘黙してしまうし、大変でした。この頃の私は、緘黙よりも、いじめに悩んでいました。自分が学校で話せなくなってしまうのは、クラスにいじめっ子がいるからだと考えていました。

クラス中の子どもたちからいじめを受けていたのですが、たった1人だけ、私を助けてくれる子がいました。それはM君という、大工の家の子でした。私がいじめられる中、「富氏をいじめるのは、やめろよ!」と強い口調で止めてくれた時のことを、今でもはっきり覚えています。

私もM君には気を許していたようで、「富氏君は普段は喋らないけど、M君にだけは喋ってる」と女子に陰口を言われた記憶もあります。もっとも、相手がM君であっても、どうしても緊張してしまって、私は思うように話をすることができませんでした。

M君の家には、何度か遊びに行ったこともあります。当時、担任のN先生に提出していた日記にもM君に関する記述をいくつか見つけることができます。

5月31日 歩く

今日M君によばれて家へいきました。自転車はダメだから歩いて行きました。わりと近いです。だけど少し時間がかかるので走っていきました。交さ点の所にきました。青になってまたいきました。それから着きました。

M君と遊んだ内容を書けばいいのに、M君の家に着くまでの過程に力を入れて書いているところが、なんとも言えません。「M君によばれて」遊びに行ったといったところが、緘黙で受身な性格だった私らしいです。

この日記に対するN先生のコメントが、大変ショッキングなものでした。

Mくんは一学期いっぱいで転校するそうです。さびしいですね。

何ということでしょう。転校先でできた唯一人の友達が、私をいじめから助けてくれる唯一のクラスメイトが、いきなり転校するとは。

M君やそのお母さんに話を聞くと、転校先はお隣のβ小学校とのこと。「中学生になったら会えるよ、同じ中学の校区内だから」と言われましたが、そんな先のことを言われても仕方がありません。私としては、M君にいま去られては困るのです。

結局M君は転校し、2学期からは孤独な学校生活が始まりました。私に対するいじめは歯止めがきかなくなっていきました。

(つづく)

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