最新!2005年8月発売の緘黙本

2006年01月14日(土曜日)

場面緘黙症に関する専門書といえば、日本では『場面緘黙児の心理と指導』が定評があります。しかし、この本は1994年5月の発売であり、10年以上前のものです。少し古い感が否めません。

今回ご紹介しますのは、2005年8月に発売されたばかりの緘黙本です。引用されている研究成果も、過去10年以内の新しいものばかりです。その本は、これです!

Helping Your Child With Selective Mutism: Practical Steps to Overcome a Fear of Speaking

日本の本ではありません。ただ、この本の評価はすこぶる高く、無視できません。アメリカ Amazon.com におきまして、6人のカスタマーがこの本を評価しましたが、全員最高ランクである5つ星の評価を与えています。イギリスAmazon.co.uk でも、1人のカスタマーが評価し、やはり5つ星を与えています。

日本でも、弥生桜さんのブログ「ほんとうは暖かい光が好き」で、この本が取り上げられています。この本を日本で紹介したのは、少なくともネット上では、おそらく弥生桜さんが最初でしょう。

「場面緘黙症の研究成果広がる!」(クリックで弥生桜さんのブログに移動します)

私もこの本をまだざっと読んだだけなのですが、大変面白い内容でした。読んで考えたところ、感じたところを私なりの視点で書いてみたいと思います。

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■ 富氏よ、まず書名を訳してくれ。

『あなたの場面緘黙児を救う:話すことへの恐怖を克服するための実践的なステップ』

(訳の品質は保証しません)

■ 著者は誰?

★ Angela E., Ph.D. Mcholm
★ Charles E., Ph.D. Cunningham
★ Melanie K. Vanier

お三方とも、カナダにある McMaster 小児科医院に関係する人々です。

一番上の "Angela E., Ph.D. Mcholm" という人は、McMaster 小児科医院 で "director of the Selective Mutism Service" という役職に就いています。この役職、何と訳せばいいのか分からないのですが、おそらく同病院の場面緘黙症担当の責任者ということでしょう。よく分かりませんが、 "Selective Mutism Service" という、緘黙症の専用外来のようなものがあるようです。

ちなみに McHolm 医師は、同著について、Psychjourney というウェブサイトから30分以上にわたってインタビューを受けており、その音声が同サイトでMP3形式で公開されています。

■ 本の内容は?

書名の通り、場面緘黙児を救うための実践的な方法が紹介されています。

最初の35ページほどが場面緘黙症全般の説明で、残りの135ページほどが、緘黙児に対する対処等の説明です。保護者向けに書かれた、一般向けの読みやすい本です。

■ 何か、本を読んで思ったところを述べよ。

緘黙児に対する対処法が、ここまでするか、というぐらいまでこと細かく具体的に説明されており、驚き、というよりは、戸惑いました。緘黙児を助けるためにここまでするのか、と思うほど徹底的に書かれているのです。例えば、緘黙児が教室で快適に過ごせるような、理想的な座席の配置まで具体的に説明されています。

こういった具体的なノウハウが100ページ以上にもわたって説明されていることそのものも、驚きです。これほどまでに豊富なノウハウの蓄積がなされていたとは、恥ずかしながら知りませんでした。

それから、場面緘黙症全般に関する説明のところで、私が考えていたことと違うことが書かれており、どう受け止めてよいか戸惑いました。例えば、緘黙児は友達を作るし、いじめられることも多くはないというようなことが書かれています。私自身の経験や、緘黙サイトを見て回って考えていたことと正反対ですが、これは最近のちゃんとした研究で分かったことなのだそうです。

ただ、場面緘黙症についてはまだまだ分からないことが多いことは英語圏でも変わらず、今後の研究の進展が待たれます。

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いろいろ戸惑いましたが、ためになりそうな本で、大変気に入りました。今後、このブログを書く上での教科書にしたいと思います。

英語に関心のある方は、チャレンジしてみるのもいいかもしれません。高校卒業レベルの英文で、洋書としては比較的読みやすい部類に入るのではないかと思います。Amazon.co.jp で1,500円ほどで買うことができます。


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