Wikipedia「ニート」に「場面緘黙症」という言葉が…

2006年09月20日(水曜日)

ニートは、マスコミなどにより「働かない若者」といわれているが、大半は「働けない若者」である傾向がある。その理由として、彼(女)らは、場面緘黙症や対人恐怖症などの症状の人、真面目で大人しい人というタイプが多い。

Wikipedia「ニート」より。
http://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=
%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%83%88&oldid=
7748872.
最終アクセス日2006年9月20日。太字は私によるものです。

どうして、こんなところに、「場面緘黙症」の言葉が…。

もしかするとこの記事を書いた人は、このサイト「場面緘黙症Journal」と姉妹サイトの「ニートひきこもりJournal」を参照されたのかもしれません。場面緘黙症なんて認知度の低い症状をニートと絡めて書いているのは、ほとんど私以外にはいませんから。

認知度が極端に低い「場面緘黙症」という言葉がこういう比較的アクセスの多いサイトで使われたのは嬉しい反面、この記述は誤解を与えかねないので、複雑な気持ちです。

誤解を与えないよう、説明をしておきます(と言っても、Wikipedia 見た人、ここに来るかなあ)。
* * * * * * * * * *

※ 以下の文章では、具体的な数字を出さずに「多い」「少ない」といった曖昧な表現を多様しています。これは、場面緘黙症に関する研究が遅れており、参照する資料がないためです。ご了承ください。

■ 場面緘黙症は就職する頃には、治っている人が多い

場面緘黙症は子どもの情緒障害で、就職活動をするような年齢になると、既に治っている人が多いと見られています。

とはいえ、たとえ治っていても、対人関係での不安など何らかの後遺症がある人は少なくありません。また、中には成人した後も症状が残っている疑いがある人もいます。

■ 場面緘黙症の経験者でも就職している人は多い

場面緘黙症を経験した人でも就職している人は多いです。

何らかの後遺症がある人、症状が残っている人の中にも、就職している人は少なからずいます。

■ ニートは若者人口の2%、場面緘黙症の若者は非常に少ない

厚労省『平成18年版労働経済の分析』によると、ニート(正確には「若年無業者」)人口は64万人、他方、15~34歳人口は、総務省統計局「労働力調査」によると3240万人です。ニートは、若者の1.98%になります。

これに対し、場面緘黙症を罹患した人の割合は、多くの研究がありますが、幼児の場合でも1%未満という数字でほぼ一致しています。その場面緘黙児も、就職活動をする頃になると多くは治っています。

このように、就職活動期の若者のうち場面緘黙症を呈している人の割合は、相当少ないものと思われます。しかも、そうした若者も、全てがニートになるわけではありません。

ニート人口に占める場面緘黙症の若者の割合というのは、それほど多くはないのかもしれません。

■ 場面緘黙ニートは実在しそう

とはいえ、場面緘黙症の経験者(あるいは、その疑いがある人、あった人)で、ニート状態にある若者やその報告事例は、ネット上でもちらほら見かけます。そもそも、私自身がそうです。もっともこれも、これも調査が行われていないので、場面緘黙ニートがどれだけいるかは、はっきり分からないのですが。

場面緘黙症は社会不安障害(社会恐怖)の一つの症状と見られています。こうした症状の人は、回避行動をとる傾向があります。就職面接で自分を評価されることを恐れる余り、求職活動をしないという場面緘黙ニートがいても不思議ではありません。

そもそも、就職面接で話もできないような場面緘黙症の若者が採用されるのは難しいものと考えられ、このため求職活動を諦めてしまう人もいるかもしれません。


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※ ちなみに、英語版 Wikipedia の "Selective mutism"(場面緘黙症)の項目には、"Hikikomori" があります。
↑ 訂正。項目ではなく、「関連項目」に Hikikomori があります。(2006/09/20 15:54)