シェイピング(行動形成)−場面緘黙症の段階的な克服
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[いきなりお知らせ]
これまで、更新は毎週土曜日+αとしてきましたが、来週以降は、完全不定期更新といたします。
つまり、土曜日に必ずしも更新しないかもしれないということです。ご了承ください。
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今日も、心理学初学者の富氏が自身の勉強の復習も兼ねてまとめています。
行動療法技法の一つに、オペラント条件づけを応用したシェイピング(行動形成;shaping)というものがありまして、これが場面緘黙症など、発話の問題のある人たちの治療に成果を上げています。
かの場面緘黙症を克服するための実践法を説いた保護者向けの本 Helping Your Child With Selective Mutism も、シェイピングを場面緘黙症の治療に応用したもののようです。
■ シェイピングとは何ぞや
簡単です。要するに、褒めたりごほうびを上げたりしながら、少しずつ発話など目的の行動にたどりつくようにしようということです。このサイトの常連の方には、おなじみの手法です。
少し難しく言えば、次の3つがシェイピングのポイントになります。
○ 目的となる行動の変化を達成するために段階を踏む(漸次的接近;successive approximation)
○ 一つ段階をクリアしたら、ごほうびや報酬などの好子(正の強化子)を即座に与えて(即時強化;immediate reinforcement)、行動を学習させる
○ 次の目標の段階をクリアできないようなら、目標を引き下げるか前の段階に戻ってやり直すかする
なお、行動分析の父・B. F. Skinner による鳩を使ったシェイピングの実験の動画がYouTubeで公開されています。法的に問題がなければいいのですが。動画は英語である上に、行動療法の専門用語が出てくるので、一般の方には聞き取りにくいです。
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■ シェイピングの発話への応用
シェイピングは、Skinner が実験したように鳩やねずみなど動物にも有効で、犬の訓練などにもよく用いられているようです。
もちろん、人間に使える技法で、特に発話に問題を抱える人の治療には大きな効果があるとされます。
シェイピングを使った発話の促進の研究について、古典的なものとしては、緊張型統合失調症で9年間話すことができなかった人に発話をさせることに成功した1960年の研究が知られています(Isaacs et al., 1960)。
この研究では、次のような段階を踏みました。
1 唇を動かす(発声なし)ことを強化する
2 次に、声を出すことを強化する
3 最後に、発話を強化する
※ 注意!この方法は場面緘黙児にそのまま適用できるものではありません。(2006/10/01)
このように、一気に発話にもっていくのではなく、いくつかの段階に分けて、少しずつ目標に到達させます。
同じように、重度の自閉症で発話ができない子どもに対しても、シェイピング法が用いられることがあります。
■ シェイピングと場面緘黙症の克服
シェイピングは、場面緘黙症の子どもの発話を促すのに効果を上げています。
シェイピングの場面緘黙児への応用について、おそらく世界で最も詳しいのは、日本でも有名になってきている Helping Your Child With Selective Mutism なので、詳しくお知りになりたい方は、こちらをお読みすることをおすすめします(英語です。スミマセン…)。
この本は、場面緘黙児が最終的に発話というゴールを達成するための段階を「はしご」で表現し、子どもが不安なく話せるようにするためのステップの作り方について、非常に詳しく説明しています。
また、ごほうび(≒正の強化子)を incentive(誘因)と表現し、適切なごほうびのあげ方についても解説していますが、見たところ、こうした正の強化にはあまり力点は置かれていない印象を受けます。
以上、場面緘黙症を克服するための方法の1つにシェイピングというのがあるんだ、Helping Your Child With Selective Mutism は、こうした行動療法の学習理論が背景にあるんだ、というお話でした。
[追記]
拙サイト配布中の資料3(1)場面緘黙症について(学校提出用)にも、ごほうびのあげ方について説明があります。
ごほうびと「ものでつる」ことの区別、直接「話すこと」にごほうびをあげないなど、重要な注意点があります。(2006/10/04)
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私のよりも、もっとちゃんとした人の行動分析の説明をお読みになりたい方は、上の本が参考になります。新書とあってお値段もお手ごろです。ただし、場面緘黙症に関する本ではないことに注意してください。購入は自己責任で。
[関連記事]
◇ ごほうびで行動を変える〜正の強化
◇ 最新!2005年8月発売の緘黙本
[注]
◇ Isaacs, W., Thomas, J., & Goldiamond, I. (1960). Application of operant conditioning to reinstate verbal behavior in psychotics. The Journal of speech and hearing disorders 25:8-12. しかし、これが入手できなかったので、下の文献から孫引きしました。Leslieb, J. (1999). Behavior analysis: Foundations and applications to psychology. Amsterdam: Routledge.
[その他参考にしたもの]
◇ Hayes, N. (2003). Teach yourself psychology. (3rd ed.). Chicago: McGraw-Hill. 154-156.
◇ Mcholm, E. A., Cunningham, E. C., & Vanier, K. M. (2005). Helping Your Child With Selective Mutism. Oakland: New Harbinger Publications, Inc.
◇ Richman, S. (2001). Raising a child with autism: A guide to applied behavior analysis for parents.
◇ Sundel, M. Sundel, S. S.. (2004). Behavior change in the human services: Behavioral and cognitive principles and applications. Sage Publications, Inc. 69-72.
◇ 杉山尚子『行動分析学入門』集英社新書、2005年、87-93ページ。
◇ Shaping behavior. (2006, August 5). In WikEd. Retrieved September 30, 2006, from http://wik.ed.uiuc.edu/index.php/Main_Page
⇒Wikipedia のようなサイトです。特に教育関係の話題に特化したオンライン百貨事典のようです。
- [2006/09/30 19:04]
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コメント
こんばんは
専門的な言葉も分かり易く説明されていて
とても勉強になります。
私のサイトの方も、できるだけ緘黙症についての情報を発信したいと思っています。
そこで、と言っては何ですが、リンクをさせていただきました。
配布用資料やフォーラムへのリンクも貼らせてもらいました…ちょっと欲張りですかね(笑)
ねこじゃらしさん、はじめまして。
場面緘黙症や心理学については、私は専門家でも何でもなく、まだまだ勉強中の身です。このブログの情報が信頼できるものと言えるかどうかは分かりませんが、何かのご参考になれば嬉しいと思っています。資料を配布できるのは、私よりも翻訳チームの方々の労苦によるものです。
リンクありがとうございます。このサイトはリンクフリーですので、ご自由にどうぞ。

アルカディア
との事なので調べています。
あなたのおかげで
何処かの誰かが救われていると思います。
これからも頑張ってください。
すばらしいですね。
ありがとうございます。
なお、私は心理学の専門家でもなんでもないので、閲覧に当たってはその点をご注意ください。配布資料は、しっかりした方が書かれているので信頼できます。
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