場面緘黙児の小説「かかしの旅」

2006年10月23日(月曜日)

いじめの時間ずいぶん前に「場面緘黙児の映画?」 という記事の中で、映画「かかしの旅」についてお話しました。

今回はその原作となった稲葉真弓氏の小説について書きたいと思います。ようやく原作を入手したので…。

今回の記事では、小説の内容について触れています。いわゆる「ネタバレ」があるので、「まだ読んでいないから、内容を知りたくない!」という方は、ご注意ください。

稲葉氏の小説「かかしの旅」は、新潮文庫や朝日新聞社から出ている『いじめの時間』というオムニバス小説に収録されています。私が持っている新潮版だと、273ページ中35ページが「かかしの旅」になっています。

「かかしの旅」の発表は、1997年(平成9年)です。この年に朝日新聞社から発売された『いじめの時間』のために書き下ろされたものです。

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内容はフィクションでしょう。主人公は足が悪い場面緘黙児で、いじめられっ子という設定です。お話の中では、話せない子どもや、かつて話せなかった子どもたちが3人も登場します。「緘黙症」という言葉も、しっかり登場します。

作者は、場面緘黙症に関する情報をいったいどうやって集め、また、場面緘黙児の気持ちをいったいどう想像して綴ったのだろうかとあれこれ考えてしまいます。

私は、元場面緘黙児?の読者として興味深く読みましたが、主人公の気持ちには共感できるところもありましたが、できないところもありました。

■ 学校緘黙ではなくて、家庭緘黙はあるのか

場面緘黙症は、特定の場面になると極端に緊張して、話せなくなる症状のことを言います。だったら、学校など外だと安心しておしゃべりできるけれども、家庭では緊張して話せなくなる「家庭緘黙児」がいてもおかしくなさそうな気もします。

しかし、実際はそうした事例はほとんど聞いたことがありません。場面緘黙児は特定の場面で話せなくなる症状だけれども、その「特定の場面」がいったいどこかと言えば、家庭であることは滅多になく、大抵は学校や幼稚園、保育園だというのが、この症状のポイントです。

■ 暴力などの脅威で、話せなくなることはあるのか

もう一つ。何か暴力を受け続けたり、いじめを受けたりすることによって、緊張して話せなくなるということは、果たしてどれほどあるのかなあ?と思いました。

場面緘黙症は、多くの場合、学校や幼稚園、保育園に入学・入園したり、転校したりと、新しい環境に入ったときに問題化するのではないでしょうか。これもまた、場面緘黙症のポイントです。


なにやら、突込みばかりを書いてしまいましたが、認知度が極端に低い「緘黙症」が小説に取り上げられたのは喜ばしいことだと考えています。昔から読書感想文が大の苦手だった富氏でした。


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