場面緘黙症と心理学の学派(2)〜行動分析学的説明
「場面緘黙症と心理学の学派」の続きです。今回は、行動分析学的説明について書いています。
なお、繰り返しますが、私は心理学初学者です。
[目次]
◇ 場面緘黙症と心理学の学派(1)〜精神分析学的説明
◇ 場面緘黙症と心理学の学派(2)〜行動分析学的説明
◇ 近日公開
[復習]
※ 精神分析学については、「それはフロイトの理論で、現代の精神分析学は違う」というご意見をいただいており、現在内容の修正を検討しています。(12/08/2006)
○ 精神分析学:不幸な生い立ちだった⇒葛藤を解消せよ
○ 行動分析学:条件づけによる学習の結果だ⇒条件づけで治せ
○ 認知心理学:認知が悪い⇒認知の歪みを修正せよ
○ 生物学:脳内の神経伝達物質が関係している⇒薬で治せる
■ 行動分析学的説明
行動分析学的説明のキーワードは、行動、環境、行動随伴性、学習、強化、好子、嫌子、条件づけ、暴露(エクスポージャー)などです。
行動分析学は、心の解明のために、客観的に観察可能な「行動」に分析の重点を置く心理学の一派です。行動の原因を、意識など本人の心ではなく、環境に求めます。
◇ 原因
行動分析学では、場面緘黙は、嫌子(負の強化子)による回避行動または逃避行動だと説明されます(例えば、Leonard, & Topol, 1993)(負の強化については、「負の強化、罰」で詳しく説明しています)。
なんだか難しそうですが、これをブログ「臨床心理学にいる 臨床心理士指定大学院受験講座」の榎本氏が分かりやすく解説しています。
「話さない」→「緊張しない」・「不安が軽減する」→「話さない」ことが強化される。このメカニズムが症状を持続させる要因であり、長期化すると予後が悪くなる原因でもある。
(心理学用語集・臨床 135 選択性緘黙)
http://www.nutshell.jp/mind/2005/04/135_3cef.html
※ 榎本氏が説明しているのは、持続のメカニズムですね…。失礼しました。しかし、原因の説明もこういうものだと理解して問題ないと思います。(11/24/2006)
学校など特定の環境にいると、とても緊張しますし、不安になります。これを避ける行動が緘黙だという説明です。緘黙すると緊張が解けますし、不安も和らぐということだそうです。
こうして緘黙行動が学習されます。長期化するほど行動が強化されてしまいかねず厄介です。緘黙児には早めの介入が肝心などとよく言われますが、これも、緘黙が条件づけされた行動になって緘黙行動が変えにくくなる前に、というのが一つの論拠のようです(Dunaway, 2005)。
こうしたことに加え、緘黙児に発話の訓練をしたり強制したりすると、子どもの不安を高め、緘黙症状が悪化します。こうした行為は 「緘黙行動を負に強化する」(negatively reinforce mute behavior) ものです(Shipon-Blum, E.)。
このように、行動分析学的説明では、緘黙行動の原因を、本人ではなく環境に求めます。葛藤等、本人の無意識に原因を求める精神分析学的説明とは対照的です。
* * * * * * * * * *
◇ 治療法
行動分析学的な治療法、行動慮法は、やはり強化、特に正の強化を使ったものです。具体的には系統的脱感作療法、シェイピング法、トークンエコノミー法などです。
注意すべきは、療法のゴールは発語ではなく、あくまで学校などの特定の場面で不安を感じないようにすることです。
行動療法による場面緘黙症の治療については、Helping Your Child With Selective Mutism に詳しいです。
◇ 評価
○ 学界では
今月、イギリスの学術雑誌で、場面緘黙症に関する新しい論文が発表されました。1990-2005年の間に発表された場面緘黙症の治療(11/25/2006修正)に関する文献を批判的に評価したものです。これによりますと、これまでの研究は、場面緘黙症の治療に行動療法を使うことを支持するものだそうです(Cohan, Chavira,& Stein, 2006)。行動療法は効果がありそうだということのようです。
Helping Your Child With Selective Mutism を見ても、場面緘黙症への行動療法のノウハウはよく蓄積されていることが分かります。
一方、ある方に教えていただいたのですが、薬物療法は成功しているけれども、行動療法が薬物療法と同じぐらいの成功率を上げている科学的な証拠はないとする主張もあります(Dummit, 2004)。
行動療法が効果を上げているのなら行動分析学的説明も説得力があるなと思うのですが、微妙なのかもしれません。
○ 個人的に思うこと
緘黙すれば不安がやわらぐ、だから緘黙するというのが行動分析学的説明ですが、おそらく緘黙児は、黙っていてもなお大変緊張しているのではないかと思います。誤解をされると困るのでこの点ははっきり書いておきます。
それから、私は心理学初学者ゆえ、よく分からないのですが、学校などの特定の環境が嫌子となって緘黙行動を強化するという考え方は理解できます。しかし、圧倒的多数の子どもたちは、そうした環境に入っても緘黙行動はとりません。緘黙児だけこうした行動をとる原因を、行動分析学ではどう説明するのでしょうか。
行動分析学的説明は、場面緘黙症に環境がいかに大きな影響を与えるかという視点を与えてくれます。行動分析学の妥当性については私は判断できませんが、教室の環境や教師や生徒の対応によって緘黙症状が良くなることもあれば悪くなることもあるという考え方には同意できます。
なお、緘黙児は自分から積極的に環境に働きかけることはとても苦手なのではないかと私は思います。その上、ある程度の年齢の緘黙症の人が、行動分析の考え方を持ち出して「緘黙の原因は環境だ!俺の環境変えてくれ!」と言おうものなら、誤解を与えかねません。傍から見ると「緘黙症のやつらは自分から話そうと努力せずに、環境のせいにばかりする甘ったれ」と映ることでしょう。
(つづく)
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[注]
◆マークがついているものは、私は直接読んでいないので、ご注意を。
◇ Cohan, S.L., Chavira, D.A., & Stein, M.B. (2006). Practitioner Review: Psychosocial interventions for children with selective mutism: a critical evaluation of the literature from 1990-2005. Journal of child psychology and psychiatry, and allied disciplines, 47(11), 1085-97.
◇ Dummit, E.S. (2004). Selective Mutism Handout. Retrieved November 22, 2006, from
http://home.earthlink.net/~esdummit/
sitebuildercontent/sitebuilderfiles/dummit_sm_info.pdf
◇ Dunaway, C. (2005 Fall). Using a counseling approach when working with children with selective mutism. CSHA Magazine. 10-15.
◆ Leonard, H.L., & Topol, D.A. (1993). Elective mutism. In H. L.Leonard (Ed.). Child and adolescent psychiatric clinics of North America.. Anriery disorders (pp. 695-708). Philadelphia, PA: Saunders.
◇ Shipon-Blum, E. “When the words just won’t come out” Understanding selective mutism. Retrieved November 22, 2006, from
http://www.selectivemutismcenter.org/AAAAAAttachments/
whenwords.htm.;
SMJ翻訳チーム翻訳「場面緘黙症を理解するために」最終アクセス2006年11月22日 from
http://nhjournal.kurushiunai.jp/2006_11_05understandig_sm.htm
[その他参考にしたもの]
◇ Giddan, J.J., Ross, G.J., Sechler, L.L., & Becker, R.B. (1997). Schools, selective mutism in elementary school. Multidisciplinary Interventions, Language, Speech and Hearing Services in the School, 28, 127-133.
◇ Gimpel, A.G., & Holland, L.M. Emotional and behavioral problems of young children: Effective interventions in the preschool and kindergarten years. (2003). New York: The Guilford Press. 105.
◇ Mcholm, E.A., Cunningham, E.C., & Vanier, K. M. (2005). Helping Your Child With Selective Mutism. Oakland: New Harbinger Publications, Inc.
◇ 杉山尚子『行動分析学入門』集英社新書、2005年。
◇ リタ・L. アトキンソン、エドワード・E. スミス、スーザン ノーレン‐ホークセマ、チャード・C. アトキンソン、ダリル・J. ベム著、内田一成訳、『ヒルガードの心理学』ブレーン出版、2002年。
- [2006/11/23 14:13]
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コメント
そうなんですよね・・・
これ うちの主人が よく 言うセリフです。
「結局 あいつは 甘えてるだけや!」って・・・
まぁ 彼は うつ病のことを 勝手病と呼ぶ人間ですから(苦笑)
私としては 時間をかけて 理解してもらえるよう
話してるんですけどね。
榎本氏が分かりやすく解説しておられるのは
まさしく 長女のことだと思いました (*^_^*)
のひめさん、コメントありがとうございます。
緘黙が治った今になって、人前で声を出すことはなんて簡単なのだろうかと感じます。しかし、多くの人にとっては、これが普通なんですよね。緘黙を経験したことがない人に、緘黙児の発語の難しさを理解してもらうのは時に困難を伴うのかもしれません。
緘黙は放っておいても治る場合も多いそうですが、榎本氏が解説したように、緘黙行動が強化されるという面も考えられるので、注意が必要なのでしょう。
ご主人のご理解が得られるといいですね。(^-^)
ボロボロです。
今日も、正直しんどかった。
おばさんたちには陰口たたかれ、ショックでしたが、すぐに立ち直り、仕事をこなしました。
それでも大分落ち込みましたよ。でも慣れ。
自分が駄目だとは思えません。これだけの苦労を重ねてきておかしいとか陰口叩かれても、私は誰でもおかしな所はあると心の底から思っているので、こちらからお断りです。
大分、自分自身で心理学を独学で学び、それによって自分自身を助ける事ができるようになりました。
集団心理とかいじめの構造など学んでいます。どうしたら心が楽になれるか、自分自身のためこれからも心理学は本当に自分を助けます。分からない事の理由が簡単にとけます。上手によけたり、生きたり出来ない人は心理学を学んでいくと、自分の助けになるとおもいます。
同時に、人と接する仕事などにつくことによってそれを体感できます。
でも
かんもくのよい所は素直な所や純粋なところだとおもいます。
人を攻撃したりしません。でも、攻撃されたり嫌がらせはされます。(泣)!!
自分の良い点を一番に考え、他の事は考えず生きなければやっていけない、自分が自分の最大の理解者になるべく頑張ってます。
今日はもう一つアルバイトレジの仕事があります。赤面症の私には辛い!!ですが、このあたりではレジしか仕事がありません。かんもくだったひとは、心が傷ついています。人間不信と私も言われています。鬱にもなってます。(泣)・・・・
私ならやれるとおもわれてしまう。正直しんどいです。
福祉施設に相談しても、私ならやれると思われてしまう。実際より強く思われてしまう。今の仕事につくようになり、体を壊し点滴などを行う事が多くなりました。
明らかに、ストレスからきていますが。躁鬱病の夫が
家をいきなり出ました。多分、繰だったのだとおもいますが・・・話し合いがまったくできない人だったので、
心が不自由な人だった。話し合いができないと愛情も湧かないです。話が出来なかった昔の私が話さない夫で苦しむなんて・・・。ドラマのようです。見合いのような形でとんとんと、結婚していまったが健康な人ではなかった。それでも話し合いや心の交流ができたなら、こんなことにはならなかったとおもう。正直、つらいです。
そ
帯状疱疹。
主人には言われてました「育てられるの?育てられないでしょ。」確かにそうかもしれません。が、一緒に頑張っていこうよという言葉があればちがったようにおもいます。父親=愛人と生活。母親=同じ病気のよう。妹=重い躁鬱病で現在入院中。両親離婚。弟=夫の元彼女と同棲中!!!訳がわかりません。どうもこの家計は女性が非難をこうむるようなのです。愚痴でした。なんとか解決したいです。ちゃんとした人と結婚したかった。
富重さんごめんなさい。
無料で作れるんですか?こんなに書き込んで申し訳ないです。ずうずうしいですが、簡単に教えてください。
誰も私のホームページなんて見ないだろうけど、発表しないと耐えられない。ここのホームページはすごくやくだっているとおもいます。
以前、かんもくのことを探したら、かんもくのチャットがあったのですが、誰もきませんで、ずっと話せる人を探していました。悩んでいました。
私もおしゃべりは大変苦手です。こうした一方的に書き込むことだけなんです。自分のホームページ作りたいです。ただ、パソコンが苦手なのでわかりません。本など読んでも?です。
打ち込みの速度は速いほうだと思います。英文タイプ部だったので。ここにずっと書き込んで良いですか?
迷惑ではないですか?こんな長々と書いて大丈夫ですか?無理なら教えてください。すみませんが。
チワワさんへ
自分のホームページを作る度胸がなくて、富重さんに甘えて、ずっとこちらの掲示板に自分のことを書き連ねている者です。
ホームページを作るのもやりがいがあっていいことだと思いますが、場面緘黙症Journal掲示板のほうに書き込みをすると、たくさんの方が読んでくださって、コメントを書いてくださいます。私も富重さんの掲示板でたくさんのお友達ができ、励まされています。(富重さん、いつもありがとうございます。)
もし気が向いたら、掲示板のほうも覗いてみてくださいね。
チワワさん、コメントありがとうございます。
今のようにこのブログにコメントを書き込み続けてくださっても構いませんし、みちさんがおっしゃるように掲示板に書き込んでくださっても結構です。迷惑ということはありません。
ですが、もしホームページを持ちたいというのであれば、ブログが一番手軽です。FC2やlivedoor、goo、Yahoo!ブログほか無料でレンタルできるところが多数あります。有料の Movable Type というものも流行っているそうですが、詳しくは知りません。
ブログではなく、http://smjournal.sakura.ne.jp のようなウェブサイトを持ちたいというのであれば、自分であれこれとデザインしなければならず、少し難しくなります。ただし、自由にデザインしたサイトを作ることができます。この場合でも、ホームページ作成ソフト(市販のものを使う人が多いようです)を使えば比較的簡単にできます。私はより自由にデザインするために作成ソフトを使わない方法をとっていますが、この手法だと時間がかかるので、初めての方や忙しい社会人の方にはおすすめしにくいです。ウェブサイトの公開は、プロバイダに提供されているホームページアドレスや、レンタルサーバー(有料、無料あり)で公開するのが初めての方には分かりやすいです。
富重さんありがとう。
無料のヤフーに申し込むにはどうしたらよいのですか?
ビッグローブも見てますが、だいたいビッグローブなのですが。
全面的に夫がやってくれたので理数系の夫には簡単みたいです。関係ないかもしれませんが私は文系なので。
理解されないのは、苦しいですが、夫の家庭は狂ってます。感覚がみなおかしい、私には合いません。理解するつもりもありません。感覚を。理解できません。
もう本音は関わりあいたくないです。
病気のせいかもしれませんが、もう嫌です。
私の心も病んでしまいますが、生活保護をうけている女友達が福祉課から「付き合っている人がいるなら、結婚しちゃえば生活できるでしょう」とか「生活保護を受けていて、働かなくていいねえー」とか、生活のあらゆる面まで容赦なく入り込んで暴言を吐くらしいので、かわいそうです。
今の社会は間違ってます。福祉課が福祉を仕事としている限り、福祉にはならない。
福祉課は市役所にいっていれば、精神障害者に何をいってもゆるされるとおもっている。ましてや生活保護を精神で受けている人には容赦がない。指示にしたがわなければ勝手に支給停止。わがままほうだいです。あんなの仕事って言えないよ・・・。(涙)、(悲)。
私は以前、生活保護を受けたときだまされ、切られ復活できませんでした。だました人は私をホームレスにしようともくろんでいたようです、あーおそろしい。
いい人生歩めませんね。腐ってます。でも腐った物はどうにもならないので、その人もどうにもならない人生を送ると勝手に思ってます。まちがってもあんな人間にはならないと誓ってます。なりようがないですが。
私自身は、仕事で頑張ってます。
精神で生活保護を受ける独身者はひどい扱いを受けます。精神が健康で生活保護をうけていて、
子供がいる女性はそんなひどい扱いはされません。
生保の割合は精神障害が1割り行ってません。ほとんど五割が老人への生活保護です。あとの四割はそれぞれですが、息苦しい世の中です。
こういったことを書くと、そうやってムチを打てば生活保護を切る事が出来るんだと主張する人も職員の中にいるでしょうが?そんなものではないことは、自分が病気になってからでしか?わからないのでしょうね。馬鹿だな。
チワワさん、コメントありがとうございます。
ブログのことですね。私も文系(経済学士)ですが、ブログや簡単なホームページを作るだけなら、理数系の素養は特に必要ないと思います。
まずヤフーのブログについてですが、私はこれに申し込んだことがないので詳しくは知りませんが、分かる範囲でお返事します。ヤフーのトップページをよく見ると、「集まる」カテゴリに「ブログ」があります。http://blogs.yahoo.co.jp/ このページの右上に「ブログを始めよう」という箇所があるので、ここから申し込むことができるようです。手続きとしては、まずは、Yahoo! JAPAN ID を取得することから始まるのではないかと思います。
ビッグローブのユーザーIDをお使いなら、「ウェブリブログ」というブログサービスをお考えになってもいいかもしれません。http://webryblog.biglobe.ne.jp/ このページ左上にある「利用開始」というオレンジ色のバナーから手続きが始まります。
生活保護の話ですが、ひどい職員もいるものですね。程度の低い弱い者いじめとしか思えません。昨夜NHKニュースを見ていたところ、生活保護の母子加算廃止というニュースを知りましたが、生活保護などの社会政策は縮小されていく流れなのでしょう。
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