そもそも「緘黙症」って何ぞや(第3版) 

[目次]

  • 緘黙症って何?
  • 緘黙症の分類
  • 緘黙児の特徴は?
  • 原因は?
  • 発症率は?
  • 合併する問題
  • よくある誤解

■ 緘黙症って何?


緘黙症(mutism)とは、言語や知能等に障害(障碍)がないにも関わらず、継続的に発語ができない、稀な情緒障害です。話すことができないだけでなく、思うように動くことができない「緘動」の症状がある子どももいます。


緘黙症は、主に幼稚園児や小学校低学年の児童が発症します。読み方は「かんもくしょう」です。自閉症やアスペルガーとは違います。


まだまだ研究が進んでおらず、分からないことが多い情緒障害です。



* * * * * * * * * *


■ 緘黙症の分類


◇ 場面緘黙症(selective mutism)


学校など、特定の状況で話すことができません。しかし、家では何の問題もなく話すことができます。特に、幼稚園や小学校への入学をきっかけに問題化します。緘黙症の多くが、この症状だと言われています。


このサイトでは、この場面緘黙症をメインに扱います。なお、最近、日本の学界では「選択性緘黙症」と呼ぶ動きも出てきています。


◇ 全緘黙症(total mutism)


重度の緘黙症で、あらゆる場面で話すことができません。非常に稀なケースです。


■ 緘黙児の特徴は?


場面緘黙児の最大の特徴は緘黙することですが、それ以外にも次のような特徴があると一般に言われています。


  • いつも極端に緊張している
  • 笑わない
  • 首を使ったコミュニケーション
  • 自分に自信がない

■ 原因は?


場面緘黙症の原因ですが、はっきり分かっていません。様々な要因が絡んでいると考えられているようです。


ただ、不安や緊張が原因と関係しているという見方が大勢のようです。


場面緘黙児のほとんどが社会恐怖症(社会不安障害)の診断基準に当てはまりますし(例えば、Cunningham, et al., 2006; Dummit, et al., 1997)、 SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などの抗うつ剤が治療に効果を上げています(例えば、Dummit et al., 1996; Golwyn et al., 1999)。


■ 発症率は?


場面緘黙症の発症率は、調査によってまちまちなのですが、1%以下の低い確率という報告が多いです(例えば、Elizur & Perednik 2003, Kopp 1997)。最近、アメリカでは場面緘黙症の発症率は0.7%とする説(Bergman et al., 2002)が主流になってきています。 どの報告にもほぼ共通するのは、男児よりも女児に多いということです。


■ 合併する問題


場面緘黙症は、単に話すことができないだけにとどまりません。他の問題を合併していることも多いです。


代表的なのは、不安障害、特に社会恐怖症(社会不安障害)で、ほとんどの緘黙児は合併していると考えられています(例えば、Cunningham, et al., 2006; Dummit, et al., 1997)。 場面緘黙症は社会不安障害の一つの症状だという考え方も広まってきています。


また、発達障害(例えば、Kristensen 2000)や聴覚の問題(Bar-Haim, et al., 2004)、排泄障害(Kristensen 2000) などを合併している場合が、場面緘黙でない子どもたちに比べて多いという報告もあります。


■ よくある誤解


◇ 場面緘黙児は、自らの意思で話さないのではありません。話さないのではなく、話せないと表現した方が適切です。


◇ 場面緘黙児は、ただの大人しい子ではありません。 大人しさを通り越して、学校でひどく緊張して話せない子です。


◇ 場面緘黙症の原因は心的外傷(トラウマ)であるとか、家庭環境であるとかという説は古い文献によく見られます。しかし、近年では、これらは否定的に考えられています。これらの説は証拠が薄弱ですし、また、虐待を受けた場面緘黙児は非常に少ないという調査も複数あります(例えば、Dummit, et al., 1997)。


◇ 場面緘黙症は、放っておけば治るものでは必ずしもありません。むしろ、緘黙が長引くと、その行動が強化されるという説まであります(Shipon-Blum)。実際、成人後も緘黙症を持ち越したと見られる方もいらっしゃいます。早めの介入が効果的のようです。


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[関連記事]


◇ そもそも「緘黙症」って何ぞや(改訂版)

◇ 「そもそも『緘黙症』って何ぞや」


[注、参考にしたもの]


◇ Bar-Haim, Y., Henkin, Y., Ari-Even-Roth, D., Tetin-Schneider, S., Hildesheimer, M., & Muchnik, C. (2004). Reduced auditory efferent activity in childhood selective mutism. Biological psychiatry, 55(11), 1061-1068.
◇ Bergman, R.L., Piacentini, J., and McCracken, J.T. Prevalence and description of selective mutism in a school-based sample. Journal of the American Academy of Child & Adolescent Psychiatry, 41(8), 938-946.
◇ Cunningham, C.E., McHolm, A.E., & Boyle, M.H. (2006). Social phobia, anxiety, oppositional behavior, social skills, and self-concept in children with specific selective mutism, generalized selective mutism, and community controls. European child & adolescent psychiatry, 15(5), 245-255.
◇ Dummit, E.S., Klein, R.G., Tancer, N.K., Asche, B., & Martin, J. (1996). Fluoxetine treatment of children with selective mutism: an open trial. Journal of the Academy of Child and Adolescent Psychiatry, 35(5), 615-621.
◇ Dummit, E.S., Klein, R.G., Tancer, N.K., Asche, B., & Martin, J. (1997). Systematic assessment of 50 children with selective mutism. Journal of the Academy of Child and Adolescent Psychiatry, 36(5), 653-660.
◇ Elizur, Y. & Perednik, R. (2003). Prevalence and description of selective mutism in immigrant and native families: a controlled study. Journal of the American Academy of Child and Adolescent Psychiatry, 42(12), 1451-1459.
◇ Golwyn, D.H., Sevlie, C.P., Phenelzine treatment of selective mutism in four prepubertal children. (1999). Journal of child and adolescent psychopharmacology, 9(2), 109-113.
◇ Kopp, S., & Gillberg, C. (1997). Selective mutism: A population-based study: A research note. Journal of Child Psychology and Psychiatry. 38(2), 257-262.
◇ Kristensen, H. (2000). Selective mutism and comorbidity with developmental disorder/delay, anxiety disorder, and elimination disorder. Journal of the American Academy of Child and Adolescent Psychiatry, 39(2), 249-256.
◇ Shipon-Blum, E. 著、SMJ翻訳チーム翻訳「場面緘黙症を理解するために」 from http://nhjournal.kurushiunai.jp/2006_11_05understandig_sm.htm
※ 翻訳チームの方々が訳された、拙サイトで配布中の資料です。


◇ Mcholm, E.A., Cunningham, E.C., & Vanier, K. M. (2005). Helping Your Child With Selective Mutism. Oakland: New Harbinger Publications, Inc.
[2006/12/02 12:38] 緘黙症について | TB(1) | CM(5)

発達障害も疑われて、勉強中です<(`^´)>

ご無沙汰しています(^^ゞ

長女(全緘黙)が 療育手帳を申請して
知的障害無しで 却下された時に
相談所の精神科医に

保育所時代に 「言葉の教室」を利用していたのなら発達障害が あるのでは?
心理療法から 一歩出て
精神科的な治療をしてはどうか

と アドバイスあり、
ただいま、発達障害って何よっ!って
あちこちで 講演会を聞きに回っています。

話を聞きに行って 出会ういろんな方々に
このサイトで ダウンロードした
場面緘黙症理解のための資料は
大変 喜ばれます。

地元の教育委員会の職員の方は
この資料を見るまで
「緘黙症児童に 発生練習をさせることは逆効果」
とは、知らなかったと自戒していました。。。

地元で、理解者を増やすことは、
長女の社会性を 回復させるためには 必須!!!

ぶちっ(−−〆)
を、こらえて、スマイル&スマイル・・・

これからも、わかりやすい資料の提供
期待しています。(^▽^)ゞ
[2006/12/06 00:02] [ 編集 ]

【エル】さん、コメントありがとうございます。

前回は、「ちゅらさん」に関する情報、ありがとうございました。(^-^)

記事にも書いてあるように、場面緘黙児には、発達障害を合併している子の割合が多いという調査結果もあります。発達障害については私は勉強不足で分からないのですが、疑ってみることもおそらく必要ではないかなと思います。

そうですか、資料好評ですか!有難い話です。これも翻訳チームの皆様のおかげです。これからも新資料を発表する予定なので、楽しみにお待ちください。
[2006/12/06 18:57] [ 編集 ]

はじめまして

 はじめまして。私は場面緘黙の生徒をもつ教員です。担任ではないのですが、授業をもっています。
日本での文献があまりにも少なく、情報が少しでも欲しくて、ネットなどを調べていて、このサイトがとても参考になり、一言お礼をいいたいと思います。
 教員同士で、勉強会をもちましたが、
『とにかく、発語にこだわらず、自信をつけさせよう』ということで、共通理解を深められてよかったと思います。
 でも、やはり、それだけではなく、専門家に相談した方がよいと思うのですが、
 すべての療法は、『発語を無理に促進させるためで、本人に不安やプレッシャーをあたえる』と理解されているようです。
日本の文献に、下手なことをするくらいなら、何もしない方がいいと書いてあるからだそうで。
どうしたらよいか、悩む毎日です。

 また、参考にさせていただきます。
寒いので、体調にお気をつけくださいね。
 
 
 

[2006/12/12 21:53] [ 編集 ]

めごさん、はじめまして。

このサイトは心理学の素養のない経済学士の私が書いたコンテンツが中心ですが、無料配布資料に限っては、児童臨床のプロの方や語学力のある方が日本語版の翻訳・作成に携わっておられるので、信頼がおけます。

何よりも自信をつけてあげたいですね。

>すべての療法は、『発語を無理に促進させるためで、本人に不安やプレッシャーをあたえる』と理解されているようです。
>日本の文献に、下手なことをするくらいなら、何もしない方がいいと書いてあるからだそうで。

私は主に英語圏の文献を読んできたせいか、そういうお話は始めて耳にしました。私が読んできた文献では、緘黙の子には介入が必要であり(治療する立場の方が書かれているものが多いので当然かもしれませんが)、特に早めに治療した方が効果があるとするものが多かったです。成長すれば治るというものでも必ずしもなく、ある程度の年齢にまで持ち越すと予後が悪くなると考えられているようです。ただし、発話を無理に促進させるのではなく、あくまで学校などの特定の場面での不安をやわらげるのがゴールです。それも、少しずつです。

ですが、治療も方法を間違えると本人に不安やプレッシャーを与える危険は、確かにあるかもしれません。何もしなくても治る子がいるのも事実なので、「下手なことをするくらいなら、何もしない方がいい」と言われると、確かに私も悩んでしまいます。

めごさんも、体にお気をつけて。
[2006/12/13 06:48] [ 編集 ]

教職員の方へ 

福井県の【エル】です。
「全緘黙」の長女の母親です。
教職員の方へ 聞いていただきたいのです。

2年前に 山形県の花輪敏男先生に
長女のことで 
相談を 聞いていただける機会が 持てました。
ブログで、公開してます。
http://f7d79e.at.webry.info/200508/article_4.html

そのときに言われたことが、
「ガス欠の車と一緒なんだよ
 だから、無理やり動かせないし、動かない。
 必要なのは、ガソリンを入れること」

★すべての療法は、
 『発語を無理に促進させるためで、
 本人に不安やプレッシャーをあたえる』と
 理解されているようです。
 日本の文献に、
 下手なことをするくらいなら、
 何もしない方がいいと 書いてあるからだそうで。

これは 何か解釈が 間違っているような気がします。
緘黙児にとって、どうのようなことが、
ガソリンを入れる という事になるのかは、
児童それぞれ 違うことと 思います。

どうか、児童の様子から
リラックス→自信回復の道を、
探っていただけたらと
お願いいたします。
[2006/12/13 23:11] [ 編集 ]

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質問!発達障害と緘黙症の関係

お父さんと、お母さん二人で 発達障害セミナーに参加
[2007/03/11 21:46] URL アニマルセラピーやってます♪