場面緘黙症は自力で治せる?−自己強化
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場面緘黙症を自力で治す方法はないものか−場面緘黙症を経験した人なら、こう考えたことのある人は少なくないでしょう。私もその例外ではありません。
私は自力で治す方法を探そうと、英語圏やドイツ語圏のサイトまで見て回りました。しかし、その方法は見つかりませんでした。見つかった情報はといえば、専門家による治療法、教師はどのような指導をするべきか、そして保護者の適切な対応、そうしたものばかりでした。
どうして、自力で治す方法が見つからないのでしょうか。場面緘黙児は年齢層が低く、自力で治す情報を提供するのは意義を見出しにくいからでしょうか。それとも、そもそも不安障害を専門家に頼らず自力で治そうという考え自体が間違いなのでしょうか。
そうした疑問を感じていたところ、場面緘黙症の自力治療に役立つかもしれない心理学の理論を発見しました。
* * * * * * * * * *
■ 自己強化
それは、行動療法の「自己強化」です。なんてことはありません、要するに行動療法を自分自身の手で実践しましょうということのようです。
ポイントは、次の3つです。
○ 目標となる行動を設定する。目標は段階的に。
○ 自分で自分の行動を観察する。
○ 目標を達成したり、達成に前進するような行動を起こしたら、その直後に自分で自分にごほうびを与える。
小さい子どもには、難しそうですね…。
もしかすると、「自己強化」なんて専門用語は知らなくても、もう既に実践しているよ!という方もいらっしゃるかもしれません。そうした方は、現在ご自身がなさっていることには理論的な根拠があるのだ、と納得していただければよいと思います。
■ 注意点
◇ 発語を目標にすると…
目標の設定には、注意が必要です。行動療法を用いた場面緘黙症の治療には、発語を目標にするべきではなく、むしろ学校などの特定場面で不安を感じないようにすることに目標を置くべきだと考えられています。なぜならば、発語を目標にすると、子どもはかえって不安が強くなってしまうからです。自己強化の目標の設定でも、そのことを考慮した方がよいでしょう。
◇ 自己強化が効果があるという根拠が乏しい
場面緘黙症と自己強化に関する研究は、ほとんどといっていいほど、なされていません。自己強化が場面緘黙症の克服に効果があるかどうかは、私には分かりません。方法を間違えると、治そうということに対するプレッシャーでかえって不安が強くなり、緘黙症状が悪化するような事態も考えられます。現時点では、やはり専門家に診てもらう方が無難なのでしょうか。
■ 終わりに
今回の記事は、場面緘黙症やその後遺症に悩む人でも、自分で克服したいと強く願っている人を対象にまとめました。
なにやら、「場面緘黙症は自力でも克服できるかもしれないんだ!だからみんな、治せ!」とプレッシャーをかけているとも誤解されかねない内容ですので、その点お断りしておきます。余計なプレッシャーがあると、緘黙症状がかえって悪化しそうな気もします。この手の記事のまとめ方は難しいです。何かのヒントになればと思います。
自己強化は、ダイエットにも使えそうな方法です。もっとも、ごほうびに甘いものを食べたりなんかしたらリバウンドしてしまいそうです。私などは食べても太らない体質なので、人から羨ましがられます。
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■ おまけ
場面緘黙症に関する論文で、自己強化に関するものに以下のものがあります。
Kehle, T.J., Madaus, M.R., Baratta, V.S., and Bray, M.A. (1998). Augmented self-modeling as a treatment for children with selective mutism, Journal of School Psychology, 36(3), 247-260.
といっても、Abstract(要約)だけしか読んでいないのでよく分からないのですが。Abstract には self-reinforcement(自己強化)の文字がありますが、自己強化の他にもセルフモデリングや抗うつ剤などを複合的に用いた治療を報告しているようです。
[続編]
◇ 続・場面緘黙症は自力で治せる?−自己統制の理論
[関連記事]
◇ ごほうびで行動を変える〜正の強化
◇ シェイピング(行動形成)−場面緘黙症の段階的な克服
◇ ごほうびのあげ方−部分強化、トークンエコノミー
[参考にしたもの]
◇ Coon, D. (2005). Psychology: A modular approach to mind and behavior. (3rd ed.). Belmont: Wadsworth Publishing. 429.
◇ Mcholm, E. A., Cunningham, E. C., & Vanier, K. M. (2005). Helping Your Child With Selective Mutism. Oakland: New Harbinger Publications, Inc.
◇ Linda, A., LeBlanc, L.L. and Carpenter, M. (2000). Behavioral treatment. In Hersen, M., and Ammerman, T.R. (Eds.). Advanced abnormal child psychology. (3rd ed.). (pp. 197-218). MahWah: Lawrence Erlbaum Associates.
◇ Polsglove, L. and Smith, W.S. (2004). Informed practice in teaching self-control to children with emotional and behavioral disorders. In Rutherford, B, R, Jr., Quinn, M, M., and Mathur, R, S. (Eds.). Handbook of research in emotional and behavioral disorders. (pp. 399-425). NewYork: The Guilford Press.
- [2007/02/17 17:49]
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コメント
ほぅ・・・
理論的な根拠があるのですか・・・
私の場合 知らずに 自己強化してたんですね (笑)
この冬 うつ気分に ならないために 歯医者がよいしてるんですけど。
無意識に ポイント点 3つとも クリアしてますし
これ 読ませてもらって 自分でも ビックリです。
でも・・・ 実は 娘にも ご褒美ポイント制 提案したのですが
また また 強い拒否にあいまして・・・(苦笑)
確かに 言われるとおり 緘黙児が 自力で克服するのは 難しそうですね。
余談ですが ダイエット いつも 失敗の私です。
食べても太らない人 とっても 羨ましいです はい (*^_^*)
のひめさん、コメントありがとうございます。
お子さんに緘黙を治そうと提案するのは、難しそうです。私も記事を書く際にはプレッシャーを与えないように注意したつもりですが、どう受け取られるか気になります。ただ、「緘黙克服クラブ」というサイトもあるように、自分の力で克服したいと強く願っている人も多いです。
私も年をとると、おなかが出てくるのではないかと気がかりです。(>_<)
私がもし一つ付け加えさせていただけるのだとすれば、時間も忘れるほど没頭できる大好きな趣味を一つでいいから持つ事ですね。共通の趣味を持つ人に出会うと、何とかしてコミュニケーションをとりたい、情報交換したい、と言う強い動機が生まれますし、そこから↑のような段階を知らず知らずのうちに自ら踏んでいける可能性が高くなると思うのです。
里さん、コメントありがとうございます。
不安がちな人というのは、友達が少ない一方、概して寂しがり屋です。友達を作りたいという感情が強くなれば、もしかしたら治したいと考えるようになるかもしれませんね。
ただ、私は逆に、友達なんていない方がいいじゃないかと考える困った緘黙児でした。私のようなタイプは例外的なのかもしれませんが、詳しくは緘黙ストーリーで近いうちにお話しする予定です。
治すのは何?
何が治れば最終的に治ったことになるのでしょう?
ルディさん、コメントありがとうございます。
資料3(1)「場面緘黙症〜学校提出用〜」は、3つの基本目標を掲げています。
(1)不安を軽減する。
(2)自己評価を高める。
(3)社会的交流の体験を増やし、社会場面での自信をつける。
これには私も概ね同意です。これらの基本目標が達成されたとき、治ったということになるのではないかと思います。
個々に
不安、自己評価、自信を治していくとすれば
とても漠然としていて
とらえづらいですし
それをどうとらえるか、人によって
随分違ってくるような気がしますね
ルディさん、コメントありがとうございます。
行動療法の場合は、不安を感じやすい場面を段階的分けして、少しずつ不安が強い場面に身をさらし、最終的なゴールとして一番苦手な場面でも不安を感じないようにする、ということだと思います。
緘黙の子の場合は、家にいたり家族が一緒だったりすると不安が弱いですが、学校にいたり教師やクラスメイトが一緒だったりすると不安が強いです。このことを踏まえて不安の場面を段階分けして、小さなステップを踏みながら、最終的には学校や教師の前で不安を感じないようにするということだと思います。緘黙児のための段階の作り方については、Helping〜が詳しいです。かなり具体的な段階が作れます。
社会場面での自信、というのも、同じような方法でつけることができるのかもしれません。もっとも、行動療法だけが全てではないでしょうけれども。
わからないこと
なぜ学校で、あるいはクラスメートに対して不安が強いのでしょうね?
うちの子の場合
例えば勉強がわからない
ということに対しても
必要以上に不安を感じます
けれども不登校中にも
修学旅行には
平気で行けてしまいました
なぜなんだ〜!
何に対して、なぜということが、
対策を考える上で
知りたいような気がします
私は本人のなかにある
何かの基準の持ちようが
不安を招いているような気がしています
けれどもそれは決して悪い持ちようではない
という気もするのです
わからないまま書いててすみません
ルディさん、コメントありがとうございます。
私にも分かりません。今回の記事は行動療法に関するものですが、行動療法の場合は行動の原因を環境に求めます。となると、行動療法家に言わせれば、緘黙行動は学校やクラスメートが原因…でも、これはルディさんのご質問に対するお答えになっていませんね。
世の中には「特定恐怖」といって、高いところとか広いところとか、特定の動物や虫などに対して強い恐怖心を抱く人もいるようです。それと関係あるのかな…?分かりません。
>私は本人のなかにある
>何かの基準の持ちようが
>不安を招いているような気がしています
私もよく分からないのですが、このあたりは認知の問題なのかなあ…とも思います。
ご無沙汰してます
私も無意識にやってたみたいです(苦笑)。
まず笑ってみよう→動いてみよう
→話してみようでした。
それから友達と深く関わっていく、
部活に参加するという感じでした。
1日が終わると自分の行動を思い出して、
上手くいった点や失敗した点、
こうしたらもっといいのではないか・・・
などなどを一人で考えて反省して、
次の日は実践・・・。
ご褒美感覚はなかったですが、
目標を達成出来た自分がいることに
満足していました。
自分に厳しく、緘黙から脱するんだという意志を
しっかりもたないと実現は難しい事だと思います。
野ウサギ。さん、コメントありがとうございます。
目標を達成することは自信につながって、これまたいいらしいです。
行動療法には「セルフコントロール」という言葉があるそうですが、自分で自分をコントロールするというのは、おっしゃる通り、なかなか難しいことです。今回の場合、意志の強さに加えて、自分で自分の行動を客観的に監視し、評価しなければなりません。
ううむ・・・
(1)不安を軽減する。
(2)自己評価を高める。
(3)社会的交流の体験を増やし、社会場面での自信をつける。
たぶんこれらのほとんどを私はカウンセラーが言うところの自己流認知療法でクリアしたような気がするのですが、(3)に関しては周囲の人と上手くやっていける自分を実感するのですが、そのことを楽しいと感じることは少ないです。
(他人との会話は面倒くさいし、一人のほうが楽しいです)
これは、緘黙症の後遺症なのか?
なかたさん、はじめまして。
>(3)に関しては周囲の人と上手くやっていける自分を実感するのですが、そのことを楽しいと感じることは少ないです。
>(他人との会話は面倒くさいし、一人のほうが楽しいです)
>これは、緘黙症の後遺症なのか?
私にも分かりません。緘黙症を経験していなくても、他人との会話を面倒くさく感じたり、一人でいる方が楽しいと感じたりする人はいるでしょうし…。
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