扁桃体−引っ込み思案は生まれつき?
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最近アクセス数が急に増えていて、驚いています。
閑話休題。米国の非営利団体「場面緘黙症グループ小児期不安ネットワーク(SMG〜CAN)」のウェブサイトは、場面緘黙症の原因を考える上で、「扁桃体(アミグダラ)」に注目しています(詳しくは、拙サイトで配布中の資料9をご覧下さい)。
扁桃体は脳の部位の一つです。抑制的な人は、扁桃体が過剰に活動しているのではないかという説を聞きます。そして、"inhibited infants" という、赤ん坊にして抑制的な、扁桃体の活動に違いが見られる子がいると聞きます。
とはいえ、この扁桃体研究の出所が分かりません。いったいどんな学者の研究によるものなのでしょうか。どんな学術雑誌に掲載されたのでしょうか。
そこで、調べてみました。捜査線上に、発達心理学の大物の名前が浮かんできました(刑事ドラマみたいな言い方だ)。
* * * * * * * * * *
抑制的な行動と扁桃体の関係について調べてみると、様々な学者がこれを研究していることが分かります。
その中でも、これは特に大物と思われる人物が、ハーバード大学名誉教授の Jerome Kagan(ジェローム・ケイガン)氏です。
私は初めて聞いた名前で、日本語サイトを検索してもあまりヒットしないのですが、米国では発達心理学のパイオニアとも呼ばれるすごい人らしいです。米国心理学会が発行する Monitor on Psychology が選んだ「20世紀の優れた心理学者(Eminent psychologists of the 20th century)」の中で、同氏は22位にランクインしています。ちなみに23位は、分析心理学で知られる Carl G. Jung(カール・グスタフ・ユング)です。
Kagan 氏は様々な著書を出していますが、近著 Galen's Prophecy: Temperament in Human Nature や The Long Shadow of Temperament など、気質に関する著作も多いです。
学術論文は、多くの学者と共同で発表することが多いようです。扁桃体と気質で関係ありそうなところでは、次のようなものがあります。
[Science 掲載]
◇ Human Amygdala Responsivity to Masked Fearful Eye Whites(2004年)
◇ Inhibited and Uninhibited Infants "Grown Up": Adult Amygdalar Response to Novelty(2003年)
◇ Biological bases of childhood shyness(1988年)
[Child Development 掲載]
◇ The Physiology and Psychology of Behavioral Inhibition in Children(1987年)など。
Wikipedia の "Jerome Kagan" の項目によると、Kagan 氏は愛着理論を受け入れないそうです(http://en.wikipedia.org/wiki/Jerome_Kagan[最終アクセス2007年4月13日])。愛着理論というのはよく分かりませんが、母子関係の理論のようです。
扁桃体と気質の研究は、権威のある人がしていたこと、一流の雑誌にも掲載されていたことが分かりました(※ Kagan 氏以外にも、多くの研究者がいます)。
「内気な気質は、扁桃体が関係しているんだよ!引っ込み思案な赤ちゃんって、いるんだよ!」と説明しても「嘘だ〜」と信じてもらえない時、発達心理学の権威 Jerome Kagan 氏や 一流雑誌 Science の名前を出せば、相手の反応は変わるかもしれません。
※ とは言え、Jerome Kagan 氏の名前は知らない人が多いと思います…。
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[補足]
権威の言うことが必ずしも正しいとは限りません。時として疑うことも必要です。
Jerome Kagan 氏は、SMG〜CANの諮問委員会のメンバーなんですね。この記事を投稿してから、知りました。
- [2007/04/14 14:07]
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コメント
ジェローム・ケイガン
富重さん、いつもお世話になっております
ケイガンさんのことをコメントしようとケイガンと打ったら「慧眼」と変換されてしまいました
ジェローム・慧眼・・。
ところで先日掲示板で皆さんにお薦めした本「他人がこわい」あがり症・内気・社会恐怖の心理学」は認知行動療法による克服策も書かれていて、場面緘黙症の理解にもとても役立つ内容だと思っているのですが、実はこの本の中に、第2章・社会不安はどこから来るのかー生まれながらにして内気な子どもたちーとして、ケイガン氏の研究がとても読みやすい形で紹介されています
しつこいようですが、お薦めです!
この本では、扁桃体からの反応の不安症状をストレスへの原始的な防衛反応として自然なものであると紹介しながらも(扁桃体という言葉は出てきませんが)、そこに原因を求めるというよりは
「認知」→「不安」→「身体反応」
のうち「認知」に焦点をあてていっているように思います。扁桃体の過敏さがあっても、それは最後の「不安」と「身体反応」の間の→部分でのことですから、「認知」にアプローチしよう、ということですかね。
面白いと言っては不謹慎かもしれませんが、ホント人の心や行動って面白いですね
この本を「書籍」欄に入れてはいかがでしょうか?
ルディさん、コメントありがとうございます。
ケイガン教授の名前が出ていましたね。このブログで紹介しなかった論文が引用されていました。
「セルフセラピー」が興味深かったです。医者に頼らずに自分で治した人もいるんですね。
面白そうなので、書籍紹介のページに追加しましたが、どうでしょうか?真ん中の方で、ちょっと目立ちませんが…。
http://smjournal.com/books.html
有難うございます!
そうですね〜もう少しでかく入れてください
・・嘘です、嘘です

私が興味を持ったのは、この本のなかに紹介されている世界的な業績をあげた、たくさんの優れた人たちや著名人のエピソードです。例えば作家スタンダールや思想化ルソー、ミッテラン大統領、ナポレオン3世なども同じようなことで悩んでいたことがわかり、心を励まされました。そういうエピソードを入れることで、自分に自信を持てなくなっている人が、不安を理解しつつも自尊心を回復できる・・そんな粋な配慮を感じます
さすがフランス人!トレビア〜ンで取れふあ〜ん!
おっと、ストーブ、ストーブ!!(解説・・だじゃれが寒いため)
いろいろな人の例を読んで、弱い部分を抱えながらも自分を見つめ、その人なりな人生を生きること自体が尊いことと思われました。「結果」はどうあれ、人間らしい「過程」に心打たれましたです。
ではまた
こちらこそありがとうございます。
なるほど、読者のことをよく考えた粋な配慮ですね。私もブログで物を書いている身、見習わなくちゃ。
面白いコメントでした。

「引っ込み思案な赤ちゃん」うんうん、いますよ〜。曲がりなりにも2人育ててる母親ですから、赤ちゃんの頃から「性格」「気質」ってあるなぁ、と実感してます。神経質で夜泣きばかりしてる子もいれば、起こさないと一日中寝てばっかりの赤ちゃんもいますから。
私個人だけの例で申し訳ないのですが、私自身、母の話によると、非常に大人しい赤ちゃんだったそうで、1歳にして、「ここでお母さん来るまで待っていてね。」と言うと、1時間でもジ〜〜〜ッと座って待っていたそうです。実際自分が子供を育ててみた感想としては、「1歳児が母親に言われたとしても一箇所に1時間もジッとしているだなんて、普通じゃないでしょう?」と思いましたね〜。母は私が長子だったので、こんな物かと思っていたらしいです。(汗)
里さん、コメントありがとうございます。
里さん自身も、大人しい赤ちゃんだったんですね。幼い子にとって1時間というのは相当長い時間だと思うのですが、それだけジ〜〜〜ッと座って待っていたなんて、すごいです。そういえば、私って、どんな赤ちゃんだったんだろう。
ケイガン教授のインタビューを聞いたのですが、ケイガン教授も子どもの頃は不安が多い子だったそうです。
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