扁桃体-引っ込み思案は生まれつき?

2007年04月14日(土曜日)

Three Seductive Ideas最近アクセス数が急に増えていて、驚いています。

閑話休題。米国の非営利団体「場面緘黙症グループ小児期不安ネットワーク(SMG~CAN)」のウェブサイトは、場面緘黙症の原因を考える上で、「扁桃体(アミグダラ)」に注目しています(詳しくは、拙サイトで配布中の資料9をご覧下さい)。

扁桃体は脳の部位の一つです。抑制的な人は、扁桃体が過剰に活動しているのではないかという説を聞きます。そして、"inhibited infants" という、赤ん坊にして抑制的な、扁桃体の活動に違いが見られる子がいると聞きます。

とはいえ、この扁桃体研究の出所が分かりません。いったいどんな学者の研究によるものなのでしょうか。どんな学術雑誌に掲載されたのでしょうか。

そこで、調べてみました。捜査線上に、発達心理学の大物の名前が浮かんできました(刑事ドラマみたいな言い方だ)。

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Galen's Prophecy: Temperament in Human Nature抑制的な行動と扁桃体の関係について調べてみると、様々な学者がこれを研究していることが分かります。

その中でも、これは特に大物と思われる人物が、ハーバード大学名誉教授の Jerome Kagan(ジェローム・ケイガン)氏です。

私は初めて聞いた名前で、日本語サイトを検索してもあまりヒットしないのですが、米国では発達心理学のパイオニアとも呼ばれるすごい人らしいです。米国心理学会が発行する Monitor on Psychology が選んだ「20世紀の優れた心理学者(Eminent psychologists of the 20th century)」の中で、同氏は22位にランクインしています。ちなみに23位は、分析心理学で知られる Carl G. Jung(カール・グスタフ・ユング)です。

Kagan 氏は様々な著書を出していますが、近著 Galen's Prophecy: Temperament in Human NatureThe Long Shadow of Temperament など、気質に関する著作も多いです。

学術論文は、多くの学者と共同で発表することが多いようです。扁桃体と気質で関係ありそうなところでは、次のようなものがあります。

[Science 掲載]

◇ Human Amygdala Responsivity to Masked Fearful Eye Whites(2004年)

◇ Inhibited and Uninhibited Infants "Grown Up": Adult Amygdalar Response to Novelty(2003年)

◇ Biological bases of childhood shyness(1988年)

[Child Development 掲載]

◇ The Physiology and Psychology of Behavioral Inhibition in Children(1987年)など。

Wikipedia の "Jerome Kagan" の項目によると、Kagan 氏は愛着理論を受け入れないそうです(http://en.wikipedia.org/wiki/Jerome_Kagan[最終アクセス2007年4月13日])。愛着理論というのはよく分かりませんが、母子関係の理論のようです。

扁桃体と気質の研究は、権威のある人がしていたこと、一流の雑誌にも掲載されていたことが分かりました(※ Kagan 氏以外にも、多くの研究者がいます)。

「内気な気質は、扁桃体が関係しているんだよ!引っ込み思案な赤ちゃんって、いるんだよ!」と説明しても「嘘だ~」と信じてもらえない時、発達心理学の権威 Jerome Kagan 氏や 一流雑誌 Science の名前を出せば、相手の反応は変わるかもしれません。

※ とは言え、Jerome Kagan 氏の名前は知らない人が多いと思います…。

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[補足]

権威の言うことが必ずしも正しいとは限りません。時として疑うことも必要です。

Jerome Kagan 氏は、SMG~CANの諮問委員会のメンバーなんですね。この記事を投稿してから、知りました。