場面緘黙児が小学校中学年以上や十代のとき

2007年05月19日(土曜日)

資料ロゴかんもくネットの配布資料No.14「場面緘黙児が小学校中学年以上や十代のとき」を公開します。かんもくネット(Knet)は、当サイトの掲示板で生まれた団体です。

この資料は、場面緘黙症グループ小児期不安ネットワーク(SMG~CAN)のロリ・ダブニー先生が書かれた記事”The Older Child or Teen with Selective Mutism”を翻訳したものです。

場面緘黙症は保育園児や幼稚園児、小学校低学年の児童だけの問題ではありません。しかし、これまでの文献は幼い子どもを対象にしたものが中心で、ある程度の年齢の子どもを扱ったものはほとんどありませんでした。今回の資料は、小学校中学年以上の場面緘黙児を対象にしたものです。

今回の記事は、「Knet翻訳チーム」のルディさん、壱さん、そしてけいこさんの3人が協力して訳しました。ルディさんは、遠くの高校に通う子どものために、早起きしてお弁当作りに励んでいます!!(・・と書くとかっこいいですが、実は毎日子どもが起こしに来てくれるので助かっています) とのことでした。壱さんは就職活動も無事終了し、一息ついているところ、けいこさんはKnetの活動が動きだし忙しくなってきたそうです。

■ 内容の紹介

(1)年齢が上の子どもにみられる場面緘黙症

・・・このようなことから、子どもが8歳か9歳になると、場面緘黙症の改善の過程は、より難しく、ゆっくりとしたものになると考えられます。・・・この年代の子どもたちの場合は、「学力面でその子の持てる力を伸ばすこと」そして「社会とのつながりを保つこと」に支援の焦点を絞るべきです。

(2)問題は、ただ「話さない」というだけではないのです

研究によると、緘黙児のうち、社会恐怖、つまり社会不安障害を持つ子どもの割合は、90%を越えるということがわかっています 。・・・

(3)学校の対応と学級における対処方法

年齢が上の場面緘黙児の支援には、以下にあげている対処方法や対応が役に立つでしょう。個別教育計画(IEP)または504Plan(米国)では、以下のような項目をその子に合わせて修正して定めます。この項目のいくつかは、ほとんどの場面緘黙児に対して有効です。

>> 本文を読む
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■ この資料について ~Knet代表より~

Knet配付資料は、SMJ管理人の富条さんのご協力を得て、現在SMJサイトにて公開させていただいています。富条さん、どうもありがとうございます。

Knetでは、この配布資料の公開についてとまどいと迷いがありました。年齢が上の子どもをもつ保護者の方々にとって、厳しい現実を突きつけられる内容だからです。日本では場面緘黙症についての認知や理解はとても遅れています。また、「(3)対応と学級における対処方法 」を、今すぐ学校にお願いしても対応してもらうことが難しいものが多いでしょう。

しかし、この時期の子どもの症状の改善はとても難しいこと、鬱や不登校になりやすいこと、小さな進歩はとても大きな進歩なのだということを保護者が知っておくことは、とても大切と思います。この時期、子どもの不安と発話の状態が現状維持できているならば、それはむしろ、うまくいっている状態なのだと考えていいのではないかと思われます。

年齢が上の子どもの場合、ずっと続けてきた行動の癖や習慣を変えて、不安を引き起こすような状況に身をさらすなどということは、考えただけでものすごく恐ろしいことなのです。(本文より)

子ども達はとても辛い思いをしています。学校の支援体制が十分でない今の日本では、子どもにとって保護者の理解があるかどうかは、大人になり発話できるようになった後の人生に、大きく影響を及ぼすのではないかと考えます。子どもが家族と楽しい時間を持つこと、言葉を使わなくても誰かとコミュニケーションすること、何かに達成感を感じること、そんな体験の1つ1つが必ず子どもさんの人生の役に立つでしょう。

専門家の治療経験からわかってきたことは、小学校中学年以上や十代の場面緘黙児の場合、彼らを治療に積極的に関わらせ主導権を持たせることが必要だということです。(本文より)

不安を経験しないですむ学校環境があること、子どもが保護者・教師・専門家と協力関係にあること、専門家に査定や不安についての治療を受けていること、そして何よりも子どもに前進するエネルギーがあること、また子どもにチャレンジしようかという気持ちがあること、このような条件がそろった時、最も症状の改善が進みやすいのではないかと思われます。

SMG~CANは保護者や先生や専門家など様々な人たちで構成された場面緘黙症に関するアメリカの団体です。この資料No.14は、SMG~CANメンバーだけが入れる有料サイト内の資料ですが、著者のロリ・ダブニー先生は、快く翻訳とweb上公開許可をくださいました。

日本の教育現場で「(3)学校の対応と学級における対処方法 」を実現させていくためには、場面緘黙症の認知の向上が必要です。Knetは、様々な立場の方と力を合わせて、子ども達や保護者の方の声を社会に届ける活動を行っていきたいと考えています。

■ Knet翻訳チーム メンバー募集

かんもくネット配付資料の翻訳を、ボランティアでご協力いただける方を募集しています。Knetに入会し「Knet翻訳チーム希望」と事務局にお知らせください。web会員でもOKです。Knet翻訳チーム掲示板(リンク切れ)にアクセスし、ユーザー登録を行なってください。

Knet配付資料はSMJにて公開し、Knet翻訳チーム掲示板はSMJ管理人が管理します。SMJ管理人にメールアドレスをお知らせし、指定された登録ユーザーのみこの掲示板を閲覧できるようになっていますので、ご了承ください。

英語が得意な方、得意というほどではないけれど協力したいという方、翻訳の時間はとれないけど誤訳チェックだけならできそうという方も、ぜひ声をおかけ下さい。

■お問い合わせ

かんもくネット http://kanmoku.org/ のpostにお願いいたします。

掲示板(リンク切れ)でも受け付けております。

(今回の記事は、Knet代表けいこさんと相談の上まとめました)