場面緘黙症 in 日本児童精神医学会

2007年09月19日(水曜日)

場面緘黙症に関する研究が、学会発表の演題に選ばれる…ということは、随分昔からありました。

古いものでは、1960年(昭和35年)に、新井清三郎氏の一時的喊黙症(誤字ではありません)に関する研究が、第57回日本小児科学会宮城地方会において発表されています。

1970年代には、大井正己氏らによる児童期の選択緘黙についての研究が、第9回国際児童精神医学会で発表されました。日本の緘黙研究が、国際的な学会で発表されたようです。

比較的最近では、2002年(平成14年)に、西方宏昭氏らのグループによる「選択性緘黙を合併した神経性食欲不振症の患者に対する非言語的交流技法を用いた治療的介入」が、第41回日本心身医学会九州地方会において発表されています。

※ これらはほんの一例であり、まだまだたくさんあります。

* * * * * * * * * *

こうした学会発表は、その学会の機関紙に抄録が掲載されることがあるようです。

それで私は、面白いことに気づきました。

60年代後半頃に行われた第7回日本児童精神医学会(現在の日本児童青年精神医学会)において、場面緘黙症に関する研究が演題として4つも選ばれていたのです。場面緘黙症の研究が、1つの大会でこれほど多く発表されたのは、他の学会も含めて、私の知る限り例がありません。

* * * * * * * * * *

■ これが、その4演題

以下が、それらの4演題です。演者は、岡山県中央児童相談所など3つの研究グループです。

緘黙児の臨床的研究 Ⅰ. 発生要因について
流王治郎、篠原清彦、佐藤修策
(岡山県中央児童相談所)

緘黙児の臨床的研究 Ⅱ. 心理治療について
佐藤修策、篠原清彦、流王治郎
(岡山県中央児童相談所)

全緘黙症児の一例
羽賀比登志、岩本信一
(神戸大神経科)

学校緘黙児と登校拒否児の発生機制について-幼児期の家族力学を中心に-
東畠孝輔(兵庫県但馬児童相談所)、
藤掛永良(奈良県中央児童相談所)

流王治郎氏や佐藤修策氏は、緘黙について重要な論文を残しているので、もしかするとお名前を聞いたことがあるという方もいらっしゃるかもしれません。[注]

60年代後半に「登校拒否」に関する研究があることに、意外に思う方もいらっしゃるかもしれません。今日で言う「不登校」とは少し違うのかもしれませんが、「登校拒否」「学校恐怖症」の問題は、専門家の間では60年代後半には既に認識されていたようです。

■ どうして4演題も集中したのか

どうしてこうも重なったのか、私にも分かりません。

演者の勤務地が、岡山、兵庫、奈良と近いので、お互い申し合わせのようなものがあったのかも、とも思うのですが、推測の域を出ません。

なお、これらの演題の抄録が収録されているのは、『児童精神医学とその近接領域』、Vol.8、No.1、1967年の19-22ページです。ただ研究が発表されたというだけでなくて、参加者との討議も行われ、その様子も『児童精神医学と…』に収録されています。

緘黙の研究が4つも発表され、討議も行われ、盛り上がったのでしょうね。


最後まで読んでくださり、ありがとうございました。人気blogランキング参加中です。応援クリックよろしくお願いします。
⇒ 人気blogランキングへ

※ 人気blogランキングについて
http://smjournal.com/ranking.html

[注]

論文は、それぞれ以下の通り。これらの論文は、『場面緘黙児の心理と指導』の中でも引用されています。

◇ 流王治郎「心因性無言症児の研究」、『臨床心理』、Vol.4、No.2、1965年、96-102ページ。
◇ 佐藤修策「場面緘黙の形成と治療」、『臨床心理』、Vol.2、No.2、1963年、97-104ページ。