[緘黙] 卒業 [ストーリー]

2007年12月19日(水曜日)

緘黙ストーリー、小学5~6年生編の最終回です!

○ 前回の話⇒「こちら」
○ 緘黙ストーリーの目次⇒「こちら」
○ 緘黙ストーリーのあらすじ⇒「こちら」

* * * * * * * * * *

卒業6年間にわたった小学校生活も、幕を閉じようとしていました。

この頃になると、学校行事は卒業式関連でいっぱいになりました。卒業式の予行演習、自分の卒業アルバムの表紙デザイン、卒業文集のための作文…。5年生は、私たちのために「6年生を追い出す会」、もとい、「6年生を送る会」を開いてくれました。

悲しいことに、この時期になると、いままで(少なくとも表面的には)仲良く接してくれたクラスメイトの中に、私をいじめる子が現れるようになりました。同様のことは高校卒業直前にも経験しています。人間別れが近くなると、本音が出るのでしょうか。

そして、3月中旬のある日、卒業式を迎えました。母が卒業式用に買ってくれたちょっと高めの服を来て、登校しました(私の学校は私服校)。学校では、クラスのみんなは少しおしゃれな格好をしていました。

教室に着いてみると、いつも朝礼前には真っ黒のはずの黒板に、担任のY先生の字で詩が書かれてありました。谷川俊太郎です。この詩を卒業生のみんなに贈る、ということでした。

■ 回想

振り返ってみると、6年間という(子どもにとっては)とても長い間に、色々なことがありました。この長い小学校生活も終わりかと思うと、感慨深くなりました。

私は小学校入学早々に学校不適応になり、スタートから躓きました。その後、なんとか学校生活を送っていたのですが、小学4年の時に大きな転機を迎えました。父の転院のために、当時住んでいた関西から遠く離れた地域に引っ越すことになりました。そして、引越し先で場面緘黙症になってしまったのです。

その後、父の死をきっかけに二度目の転校をしますが、転校先で緘黙症状が悪化してしまいました。このときから、私の場面緘黙症とともに歩む人生が始まったのでした。

* * * * * * * * * *

小学5~6年は、私にとって緘黙症状が最も重い時期でした。しかし、意外に思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、学校生活にはとても満足していました。長い小学校生活の中で、最も満足度が高かったのがこの時期でした。多少嫌な思いをしたり不便を感じたりしたことはありますが、緘黙で学校生活が苦しい、とまで感じたことはほとんどありませんでした。それは、理解ある先生、クラスメイトに恵まれたからにほかなりません。ただ、私の場面緘黙症は、この2年間で治ることはついにありませんでした。

■ 言えなかった感謝の言葉

卒業式が終わった後、保護者も交えて、クラスで最後の終礼がありました。終礼の最後に、保護者が用意したおよそ40本のカーネーションが各児童に配られました。そして、児童1人1人が、担任のY先生に「ありがとうございました」という感謝の言葉とともにカーネーションを渡したのでした。

私は先生にカーネーションを渡す際、母に「ちゃんと、先生に『ありがとうございました』って言いなさいよ」と念を押されました。ほかの児童も、みなそうしていました。私も、最後なんだから何が何でも言わなきゃと思い、頑張って声を出そうとしました。しかし、いつものように、どうしても言葉が出てきませんでした。結局、私だけが緘黙のままカーネーションを渡したのでした。このときのことは今でも忘れられません。

■ 卒業式でも無表情な私

卒業式当時の写真が何枚も残っています。当時の写真を見て驚いたのは、卒業した子どもはみんな表情豊かなのに、私だけが無表情だったことです。しかも、体の動きも鈍く、なんだか私だけボーッと突っ立っているような感じです。昔は、学校遠足でカメラに向かってピースまでしていた私なのに、場面緘黙症になった後はこんな感じでした。

■ Y先生の心配

卒業後知ったことですが、Y先生は、私の今後の人生を大変心配しておられたそうです。「富条は将来、社会に出てちゃんとやっていくことができるだろうか」とおっしゃっていたと聞きます。

■ 中学校へ

緘黙ストーリー・小学校5~6年編は今回が最終回です。1年間応援ありがとうございました。富条先生の次回作にご期待ください!

…というのは冗談ですが、来年からは緘黙ストーリー・中学生編をお送りします。

私が卒業した小学校の児童のほとんどは、近くの公立中学校に進学していました。私もその中学校に進学することになります。しかし、その中学校では、私が以前通っていた小学校のいじめっ子たちと再会します。どうなるのでしょうか。そして、私の場面緘黙症は治るのでしょうか。ご期待ください!

人気blogランキング参加中です。もしよろしければ、クリックをよろしくお願いいたします。⇒ 人気blogランキングへ

※ 人気blogランキングについて
http://smjournal.com/ranking.html

[続きの記事]

◇ 中学校に入学する