[緘黙] 目立たない女子とかかわる [ストーリー]

2008年07月05日(土曜日)

緘黙ストーリー、中学生編の第7回です。通算第34話をお届けします。

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中学生の頃は毎月席替えがあり、これが生徒たちにとって大きな楽しみでした。特に中1~2の頃は、隣の席の生徒(異性)とは机をくっつけて座ることになっていたので、私は席替えのたびに、「片思いのKさんと隣になりますように!」とやたらと気合を入れてくじを引いていました。

■ 目立たない女子と隣の席に

中学1年、12月の席替えでは、Mさんという女子生徒と隣になりました。Mさんは大人しい性格で、低い身長も手伝ってクラスでは目立たず、正直なところどうも印象が薄い人でした。

大人しい、目立たないということでは、私と似たタイプだったと言えます。ただ、彼女は緘黙ではありませんでしたし、いくら大人しかったといっても、私ほどではありませんでした。

■ 目立たない子にも個性、魅力が

隣の席に座った最初の日、大人しそうな人だと思っていたMさんが私にとても親しげに話しかけてくれて、驚きました。印象が薄いと思っていたMさんでしたが、彼女と接しているうちに、とても人当たりがよく、親切で、洞察力がある人だということに初めて気がつきました。

Mさんが私に言った、いまでも忘れられない一言があります。「富条君は、根は面白い人だと思うよ」学校で緘黙していた私でしたが、家ではひょうきんなところがありました。この私の本質を見抜くとは、実に鋭い人だと驚きました。

クラスには男子女子問わず、目立つ生徒と目立たない生徒がいます。私はそれまでつい目立つ生徒にばかり目が行っていました。私が片思いをしていたKさんにしてもそうです。しかし、目立たない生徒にもそれぞれ個性、魅力がある、今思えば当たり前のことなのですが、そのことに、Mさんとの交流を通じて気づいたのでした。自分自身目立たない生徒だったにもかかわらず、今までそのことに気づかなかったとは、妙なものです。

■ Mさんとの一ヶ月とその後

Mさんと隣同士で過ごした一ヶ月は、とてもよかったです。親しく接してくれたことに加えて、同じ大人しいタイプだったことで、私は安心感を得ていました。もっとも、Mさんの方は、私のような世話の焼ける緘黙生徒が隣で、本当のところどう思っていたのかは分かりません。

Mさんが私に親しく接してくれたのは席が隣のときだけで、翌月の席替えで席が離れると、彼女とは再び疎遠になりました。そして残念なことに、Mさんは3月いっぱいで東京に引っ越してしまいました。

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[続きの話]

◇ 片思いのKさんのこと