英国のある調査報告書

2008年08月24日(日曜日)

イギリスのお話です。発話、言語、コミュニケーションに特別なニーズを持つ子どもや若者への支援について、政府への様々な提言をまとめた Bercow Review というリポートの最終報告が、今年7月に公表されました。

この報告書は、児童・学校・家庭省の Ed Balls 大臣と保健省の Alan Johnson 大臣の要請により、John Bercow 下院議員が行った独立調査をまとめたものです。

http://www.dcsf.gov.uk/bercowreview/

報告書の諮問団には、場面緘黙症の支援団体 SMIRA(Selective Mutism Information and Research Association)の方も加わっています。政府に答申された報告書に場面緘黙症の支援団体が関わっていたとは、日本では考えられないことです。

この報告書では、発話、言語、コミュニケーションに関する様々な問題を抱えた子どもや若者が視野に入れられているようです。しかし、報告書のテーマは早期介入の重要性、医療と教育の連携などで、場面緘黙症児の支援にも共通する部分は実に多いです。見方を変えれば、これらは場面緘黙症のみの問題ではないということです。

報告書では、その数40にわたる様々な提言がなされていますが、その内容はずいぶんと踏み込まれたものです。分かりやすいものでは、例えば、コミュニケーションの重要性の理解を高めるために、「国民 発話、言語、コミュニケーション年」を定め、次の3年以内に実行に移す、というものがあります。

場面緘黙症児を含む、発話、言語、コミュニケーションに特別なニーズを持つ子どもや若者への政府の支援について、こうした踏み込んだ内容の報告書が政府に答申されたという事実は大きいと思います。もっとも、このことだけをもって、イギリスの方が日本より進んでいるかどうかの判断は私にはできません。

[今日の一言]

"Communication is a fundamental human right. Communication is a key life skill. Communication is at the core of all social interaction."(上記報告書より)

「コミュニケーションは基本的人権である。コミュニケーションは重要な生活技能である。コミュニケーションは全ての社会的相互作用の中心をなす。」

コミュニケーションが基本的人権とは、考えたこともありませんでした。残りの2つには同意です。緘黙の子や人は、重度の人を除けば、非言語コミュニケーションであればなんとかとることはできます。ただ、うなずいたり首を横に振ったりのコミュニケーションだけでは、不自由なことは言うまでもありません。