[緘黙] どうして彼女は、僕のためにここまで [ストーリー]

2008年11月03日(月曜日)

緘黙ストーリー、中学生編の第11回です。通算第38話をお届けします。

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私が場面緘黙症(自己診断)の頃は、なぜか何かと親切にしてくれる人が、クラスに必ず一人はいました。そうした人は、男子より女子にやや多かったです。その代表的な人の一人が、今回お話しするRさんです。

Rさんは、前回お話したNさんのお友達でした。Nさんを中心とする女子グループは、私を「ヒロシ」と下の名前で呼び捨てにし(※実名ではありません)、さらに私のことを「カワイイ」と言ってやたらベタベタしてきたのですが、その中でも特に私のことを気に入り、親しくしてくれたのがRさんでした。

RさんもNさんと同様、とても活発な人で、クラスでは最も目立つ女子生徒の一人でした。

■ Rさんとの出来事

Rさんとは色々なことがあったのですが、その一部をお話します。

◇ 二人だけで掃除事件

学校の掃除の話です。中学2年の前半、私は学校の玄関を担当することになりました。玄関掃除は私のほかにも、クラスのたしか半数の生徒が受け持っていたと思います。

私は学校の顔である玄関の掃除に使命を感じ、大変な情熱を玄関掃除に捧げていたのですが(玄関掃除命!)、私以外の生徒はほとんどみんなサボっていました。

そんな中、「ヒロシ、一緒にやろう」と言って、私と二人だけで掃除をしてくれたのがRさんでした。この時、Rさんの友達のNさんは、「R、どうして真面目に掃除やるん?」というすごい問いをRさんに投げかけたのですが、Rさんは、「ヒロシがやっているのに、私がやらないわけにはいかない」と答えていました。この後も、Rさんは何度も私と二人で掃除をしてくれました。

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◇ 二人で手をつないで…事件

学校の運動会の話です。自由参加の競技(たしか障害物リレー)に、Rさんが二人でペアで参加しないかと誘ってくれました。友達がいない私に、クラスメイトが、それも女子がこのように誘ってくれたのは異例中の異例のことで、びっくりしました。

もっとも、私はRさん(陸上部)と違って運動が苦手だった上に、不安を感じやすい性質だったので、女子と二人で手をつないで全校生徒の前で走るのは必ずしも楽しいものではなかったのですが(Rさんゴメン)、Rさんの気持ちが嬉しかったです。

◇ 囲碁・将棋部に遊びに来てくれた事件

Rさんは、私のために、囲碁・将棋部に一人で遊びに来てくれたことがあります。部室近くについでがあったからなのでしょうが、それにしても、うちの部活に他の生徒が遊びに来るのは、非常に珍しいことでした。

◇ 「ヒロシいじめちゃだめや~ん」事件

Rさんは、私がいじめられそうになると、ときどき「ヒロシいじめちゃだめや~ん」と言って、助けてくれました。Rさんの言動に日ごろから戸惑うことも多かった私も、さすがにこれには感謝しました。

■ なぜ私のためにここまで

Rさんは友達が多そうな人でしたが、私以外の男子とここまで仲良くしている様子は、少なくとも私は見たことがありません。なぜ私をひいきにしてくれたのか、はっきりした理由が分からないのですが、おそらく、単純に私のことを気に入ってくれたからだろうと思います。Rさんは私のことをやたらと「カワイイ」と言っていたのですが、緘黙の男の子がかわいかったのかな、とも思います。あるいは、Rさんには世話好きな面もあったのかもしれません。なお、Rさんは私に恋愛感情はないようでした。

一方の私は、緘黙の自分にここまで親しくしてくれた人は、女子はもちろん、男子にもほとんど会ったことがなかったため、Rさんと接しながら、「なんて心優しい人だ」「こんな人は、今後、二度と現れないだろう」などと考えていました。私とは正反対のタイプであるRさんの言動には戸惑ったり、「僕のことなんか構わなくていいのに」と考えたりしたこともあったですが、素直に感謝することも多かったです。

実はこのRさん、目鼻立ちが整っていて、スタイルがよくて、そうした意味でクラスでも一番の美人だったのですが、私はRさんに恋愛感情を持つことはありませんでした。Rさんのように、孤独な私に仲良くしてくれた異性は、私の長い学校生活の中で何人かいましたが、そうした人に限って、恋心を持つことは私にはありませんでした。

Rさんは私を引っ張る積極的なタイプだったので、内気な私とはある意味、相性が良かったです。Rさんのようなタイプの人でないと、緘黙の私と関わることはできませんでした。

■ Rさんと接しても、緘黙症状は…

Rさんのようなクラスメイトに恵まれたにもかかわらず、私の緘黙症状が良くなることはほとんどありませんでした。Rさんの前だけ緊張が和らいで話ができるようになったとか、そうしたこともありませんでした。

■ 中3でも同じクラスに

Rさんとは中3でも同じクラスになり、卒業までかわいがられます。特に中3になると、私はいじめで深刻に悩むようになるのですが、この辛い時期に、Rさんに変わらず仲良くしてもらえたことは、私にとって大きな心の支えになりました(また、後ほどお話しする予定です)。よきクラスメイトに恵まれたと思います。

Rさんには、いつか緘黙の頃には言えなかった感謝の気持ちを伝えたいと思っているのですが、その機会が来るかどうかは定かではありません。

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◇ [緘黙] 何も話さなくても、気持ちは通じ合う? [ストーリー]

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