「大丈夫!明けない夜はない」と言って良いかどうか

2009年03月24日(火曜日)

場面緘黙症で今悩んでいる子や、その保護者に、「大丈夫!明けない夜はないよ」等々の楽観的な言葉を言っていいものかどうか、最近私は迷うことがあります。

その子の緘黙がいつ治るか、後遺症は残るのか、将来の社会適応に問題がないのかどうか、そんなことは誰にも分かりません。「大丈夫」と言っても、そこには確かな根拠はないのです。根拠もなしに楽観的なことをあれこれ言うのは無責任ではないかと思うことがあります。大丈夫、大丈夫と言っていたのに、万一、その子が緘黙症状を引きずり、大人になっても後遺症で苦しむことになったら、どうしようかと考えてしまいます。

また、あまり緘黙の問題を楽観視してしまうと、悲観的な面に目が向かなくなってしまうのではないかという心配もあります。場面緘黙症は大人になっても必ずしも完治するとは限らず、中には、後遺症でその後も苦しむ人もいます。このように、緘黙とは長い付き合いになるかもしれないという覚悟が必要であることを伝えるのも大事ではないかと思えてきます。

ですが、「大丈夫」という言葉をかけて、安心してもらうとともに、希望を持ってもらうことも大事ではないかと思います。緘黙の子にしろ保護者にしろ、いたずらに不安を煽ると、悪い結果を招いてしまうのではないかとも思います。大人になる頃には既に場面緘黙症は治り、無事に社会生活を営んでいる人もたくさんいることは事実で、あまり悲観的にばかりなることもありません。

結局、「大丈夫」と言って良いかどうか、私にはよく分かりません。今のところは、その時その時で判断しようと思っています。

場面緘黙症の子どもは、一般に将来症状がどの程度改善するか、後遺症が残るのはどの程度の割合か等々のことが分かればいいのですが、その情報が乏しいです。場面緘黙症の予後の研究というのはありますが、これらは専門機関にかかったことのある緘黙症児の予後調査ばかりで、こうした専門家の前に現れることのない緘黙症児のその後についてはよく分かりません。その予後調査も、予後良好という調査結果もあれば、そうでないものもあり、評価は一定しません。本、雑誌、ネット等でも、楽観論と悲観論がない交ぜになっています。