そもそも「緘黙症」って何ぞや

2006年01月14日(土曜日)

(ここの緘黙症に関する説明は少し古い内容を含んでおり、改定を検討しています)

ある女性が、場面緘黙症のブログを書いている若い男性と会ったところ、その男性がキムタク似のイケメンだったもので、緊張して無口になってしまった---よくあることです(そうか?)。

家では普通に話すことができるのに、学校など特定の場面では、極度に緊張して何も話すことができなくなってしまう、---こういう病気といいましょうか、情緒障害といいましょうか、そういったもので苦しんでいる子供たちがいます。

こういう症状のことを場面緘黙症(ばめんかんもくしょう)といいます。これが深刻で、単に「無口な子」と片付けることができない問題なのです。いや、私がそうだったもので。

* * * * * * * * * *

場面緘黙症については、ネット上でもさまざまな説明がなされています。私は英語が好きなので、アメリカのNPO団体 "The Selective Mutism Group~Childhood Anxiety Network"(「場面緘黙症の会~小児期不安症ネットワーク」)が無料で配布している資料 "'When the words just won't come out' Understanding Selective Mutism"(「ぴったりとした言葉が出そうにないとき」場面緘黙症の理解)より、説明を引用します。

* 以下、引用 *

What Is Selective Mutism?

Selective Mutism is a complex childhood anxiety disorder characterized by a child's inability to speak in select social settings, such as school. These children are able to talk normally in settings where they are comfortable, secure and relaxed.

Over 90% of children with Selective Mutism also have social phobia or social anxiety. This disorder is quite debilitating and painful to the child. Children and adolescents with Selective Mutism have an actual Fear of speaking and social interactions where there is an expectation to talk. They often stand motionless with fear as they are confronted with specific social settings. This can be quite heart wrenching to watch. These children are so anxious they literally freeze, are expressionless, unemotional and often, socially isolated.

[ 富氏訳(訳の品質は保証しません) ]

場面緘黙症って、何ぞや

場面緘黙症は、複雑な小児期不安障害です。選ばれた社会的環境、例えば学校などで、子供が話すことができないというのが特徴です。こういった子供たちは、彼らが快適で安全と感じ、リラックスできる環境であれば普通に話すことができます。

90%以上の場面緘黙症の子供たちにはまた、対人恐怖や社会不安の症状があります。この障害は、極めて子供を弱らせ、また、苦痛を与えるものです。場面緘黙症の子供や若者たちは、話すことが期待される社会的交流の場において、話すことに恐れを感じます。彼らはしばしば、特定の社会的環境に直面したとき、恐れを感じて身体を動かさない状態になります。これは見ていて、とても胸が締め付けられます。こういった子供たちはとても不安を感じているので、文字通り freeze(ここでは、恐怖や心配などで動けなくなることを指します)で、無感情で、そしてしばしば社会的に孤立しているのです。

* 引用終わり *

経験者の私から見て、場面緘黙症を的確に表現していると思います。単に無口というだけでなく、対人恐怖や社会不安を伴う上に、社会的に孤立することも多いのです。実際、学校で孤立して不登校になってしまう緘黙児もいると聞きます。そのまま放っておくと不登校→ひきこもり=ニートの道、まっしぐらです。

場面緘黙症になるのは、保育園~小学校低学年の子供に圧倒的に多いと言われています。中学や高校でなるのは極めて稀だそうです。中学まで場面緘黙症を持ち越すと、治療が困難になるとされます。そのまま成人まで持ち越す「大人の場面緘黙症」も確認されています。こうなると、私に言わせれば、まともに就職面接さえこなせないので、失業者ないしニート確定です。もっとも、多くの緘黙児は成長とともに症状が消えていくとされており、緘黙児の将来についてはそれほど心配する必要はないのではないか、という意見が多いです。[注]

[注]こんなところで注というのもおかしいですが、年齢とともに自然とよくなるというのは、緘黙症に関するよくある誤解の一つなのだそうです。詳しくは、「場面緘黙症を放置していいのか」をご覧ください。

一つ注意しておきたいのは、緘黙児は、別に言語能力に障害があるわけではないということです。聾唖(ろうあ)や、自閉症とも違います。

場面緘黙よりもっとひどい!全緘黙

場面緘黙は特定の場面で話ができなくなるというものですが、それよりもっと極端で、あらゆる場面で話ができなくなるという「全緘黙」も、稀なケースですが確認されています。

なぜ緘黙症は、知名度が低いのか?

このブログをご覧の方で、当事者以外で「緘黙症」の名を聞いたことがある方は、おそらくいないのではないのでしょうか。

驚くべきことに、精神科医や教育関係者でさえ、緘黙症を知らないという人々がいるそうです。私が引用したアメリカのNPO団体のパンフレット "'When the words just won't come out' Understanding Selective Mutism"(「ぴったりとした言葉が出そうにないとき」場面緘黙症の理解)も、「担当する医師や教師が場面緘黙症を知らない場合に、素人が緘黙症をうまく説明するのは難しいと感じたときに、これを渡してみてください」という趣旨で無料で配布されているものです。また、このNPO団体のウェブサイトのFAQには、"Why do so few teachers, therapists and physicians understand Selective Mutism?"(なぜほとんどの教師、セラピスト、医師は場面緘黙症を理解していないのか)という項目があるほどです。

日本はアメリカなどと違って緘黙症の団体がなく、研究も進んでいない悲惨な状況ですから、その知名度の低さは推して知るべしです。

なぜこんなに知名度が低いのかというと、1つの理由としては、緘黙症になるケースというのが極めて稀だからです。緘黙症を発症する確立については諸説がありますが、少なくとも1%未満だろうと考えられています。


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注. この記事は、2005年12月2日にニートひきこもりJournal に掲載した記事を一部編集したものです。




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