[緘黙] いじめに遭う [ストーリー]

2009年05月01日(金曜日)

緘黙ストーリー、中学生編の第18回です。通算第45話をお届けします。

前回の話⇒こちら / 緘黙ストーリーの目次⇒こちら / あらすじ⇒こちら

* * * * * * * * * *

中学3年の春、修学旅行から帰ってきて、通常の学校生活に戻ったのですが、この頃から私はクラスでいじめを受けるようになりました。

今回お話しするいじめっ子は、修学旅行のとき、電車で私の近くの席に座っていた男子3人です(前回の話「なんだ、この修学旅行は」参照)。皮肉にも、新しいクラスメイトと親睦を図るはずの修学旅行が、私の場合、いじめっ子に目をつけられる修学旅行になってしまったわけです。

■ いじめっ子3人組

◇ いじめっ子A君

最も私につきまとったクラスのいじめっ子です。実は彼は、α小学校時代のいじめっ子の一人です。α小学校とは、私が小学4年のときに通っていた学校で、このとき私は、いじめっ子A君を含むクラスの多くの児童からいじめを受けて、ひどい思いをしたのでした(第7話第9話など参照)。その後私は家庭の事情もあって転校して難を逃れたのですが、中3になって再び彼と同じクラスになり、いじめを受けることになりました。

◇ いじめっ子B君

見るからに賢そうな顔をした人です。彼は私のことを勉強ができる優秀な生徒と思い込み、通常のいじめのほか、勉強面でもちょっかいをかけてきました。なんと、生徒会役員です。生徒会の人間が弱い者いじめをするとは、世も末です。

◇ いじめっ子C君

普通のいじめっ子です。平凡ないじめっ子です。

* * * * * * * * * *

おそらく情緒障害であったこの私を、3人でよってたかっていじめるとは、ひどいことをするものです。ですが、こういう弱い者だからこそいじめたくなるのが、残念ながら人情というものなのでしょう。

■ 「ヒロシ」

いじめっ子A~C君は、私のことを、悪意から「ヒロシ」と下の名前で呼び捨てにするようになりました(ただし、これはハンドルネームです)。

「ヒロシ」は、もともと中2の頃、当時のクラスメイト(特に女子)が、私のことを愛情を込めて呼んでくれた呼び名です(第37話「緘黙の男の子は、カワイイ?」参照)。中2のときは、何人ものクラスメイトが私を「ヒロシ」と呼んでいたのですが、中3のクラス替えを経て、今やクラスで私を「ヒロシ」と呼ぶのは、ほとんど陸上部のRさん一人だけになってしまいました。Rさんは恥ずかしかったかもしれませんが、それでも、私のことを変わらず「ヒロシ」と呼び続けてくれていました。

それを真似て、しかし悪意を込めて私を「ヒロシ」と呼ぶとは、いじめっ子たち、許せません。

■ いじめっ子A君のすぐ近くの席になってしまう

クラスでは毎月くじ引きによる席替えがあったのですが、ある月に、なんと私は、いじめっ子A君の真後ろの席になってしまいました。しかも、教室の端っこ、周囲にあまり人がいない席です。これだと、いじめられ放題ではありませんか(なんというめぐり合わせ!)。

このときの席替え以降、いじめっ子A~C君の私に対するいじめは、ますますひどくなってしまいました。

この頃、私の前に座っていたいじめっ子A君の嫌がらせに対し、私は一言「やめて」と言ったことがあります。いじめられっ子は抵抗しないからやられる、「やめて」と言えばよいのだ、という話を聞いた覚えがあるからです。「やめて」はたった3文字ですが、緘黙の私がいじめっ子にこれだけのことを言うのは大変強い意志が必要で、私にできる精一杯の抵抗でした。もっとも、「やめて」の一言で、中学3年生のいじめがなくなるわけがありませんでした。

■ ここで、Pさん・Qさんコンビが登場

しかし、実はこのとき、私達の隣の席には、私と同じクラスになって非常に喜んでくれた、あのPさんとQさんがいました(これも、なんというめぐり合わせ!この2人については、第43話「何も話さない男と…」参照)。

彼女たちは、いじめを受け続けて落ち込んでいた私にとても親しくしてくれ、さらに、時にいじめっ子A君から私を助けてくれました。弱い者はいじめたくなるのが人情だとしたら、弱い者を助けたくなるのも人情なのでしょう。それにしても、男子同士のいじめに女子が介入するなんて、誰にでもできることではないと思います。

今回の席替えは、いじめっ子A~C君の、私に対するいじめを助長する結果になりましたが、同時に、Pさん・Qさんコンビと、私とのつながりを深める結果にもなりました。Pさんと私は、小学校から何度も同じクラスで、このクラスでは班も同じです。私にとって、Pさんとそのお友達Qさんは、陸上部のRさんとともに、私の大きな心の支えでした。

それにしても、女子に助けてもらうとは、男としては情けないのではないかという思いもないではありませんでした。

[続きの話]

◇ [緘黙] 不良に絡まれる [ストーリー]