[緘黙] 僕、避けられてる? [ストーリー]

2009年07月07日(火曜日)

このブログでは、私が緘黙だった頃のことを書き続けています(ただし、プライバシーの観点から内容は少し変えています)。今月2度目の更新となる今回は、中学生編の第21回です。通算第48話をお届けします。

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中3からの新しい学校生活は、私にとって陰鬱なものでした。いじめっ子や不良少年たちに絡まれ、日常的にいじめを受けていました。加えて、昔片思いをしていたKさんたち(別クラス)に、理由は分からないのですが、ひどい態度を取られていました。私は「卒業までの我慢」と自分に言い聞かせながら(まだ一学期でしたが)、毎日登校していました。

もう一つ気になっていたことがあります。それは、最近私に対して、急に冷たくなったクラスメイトがいたことです。

2年のとき、私と出席番号が同じだったSさんも、その一人でした。3年に入って再び同じクラスになったものの、彼女は以前のように私に仲良くしてはくれなくなりました。新しいクラスになって出席番号が離れたから、というわけでもなさそうでした。

場面緘黙症(自己診断)の私のことです。自分からSさんに、いったいどうしたのか、また仲良くしたいと言うなど、自分の気持ちを伝えることはできませんでした。

私はSさんを、クラスメイトとしてとても気に入っていたので(第39話参照)、こうなったことは残念ではありましたが、最初はそれほど深く気にはしていませんでした。クラスが変わると人間関係も変わる事だってあるだろう、よくあることかもしれない、そのぐらいに思っていました。

ところが、ある日、妙な事件が起きました。

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■ Sさんの様子がおかしい

ある日の休み時間、私は廊下を歩いていたところ、反対方向からSさんが友達と一緒に歩いてきました。

「あ、Sさんたちだ」と思ったそのとき…

Sさんの様子がおかしいのです。友達と一緒に歩いていたのに、Sさんだけ突然立ち止まって、しかもとても動揺している様子でした。

「S、どうしたのぉー…!?」

Sさんの様子が明らかにおかしいので、友達が心配そうに声を掛けていました。私などには、Sさんは発作でも起こしたように見えて、心配していました。

しかし、次の瞬間Sさんが発した言葉は

「ヒロシ…」

私の名前でした。

なんのことはない、Sさんは私に用事があって、私を呼ぼうとしただけだったのでした。それにしても、どうしてあんなに動揺していたのでしょう。

■ どうして私と距離を置くんだー!

この妙な事件をきっかけに、私はSさんのことをそれまでよりも意識し、自分との関係を深く考えるようになりました。Sさんは、私に声をかけるのに、あれだけ動揺していたのです。考えすぎかもしれませんが、もしかするとSさんが私と距離を置くようになったのには、なにか深い理由があるのかもしれないとも思えてきました。

私は度重なるいじめ等により、物事を悪い方、悪い方に考える癖が出てきていました。Sさんとの関係で思い出したのは、「順境は友を作り、逆境は友を試みる」という、昔のある人の言葉です(この言葉、はっきり覚えていたわけではありませんが)。人生、不幸な目に遭っているときは、人は去っていくものです。まさかとは思うけれど、Sさんは、「ヒロシはいじめられっ子だし、距離を置いた方がいい」と思っているのではないか…。いや、それはないにしても、私がいつもいじめられっ子につきまとわれているため、近づき難いと感じているのではないか…。

このように、よくよく考えてみると、Sさんが私に距離を置くようになったのは、とても残念なことのように思えてきました。私は友達なんていなくても構わないと考える少年でしたが、仲良くしてくれた人が急に自分を離れると寂しく思う感情はまだ持っていたようです。

とはいえ、Sさんが私に仲良くしてくれなくなった理由は、はっきり分かりません。人のことをすぐに邪推するのも良くないことです。私に原因がある可能性だってあります。これ以降、私はしばらくSさんのことが少し気にかかるようになりました。しかし、その後も彼女とは疎遠な状況が続いたため、自然にSさんのことは頭から離れていきました。

■ 今度は家庭でトラブルが

同じ時期、今度は私の家庭でトラブルが起こりました。

その内容はお話できませんが、少なくとも当時の私には、この一件により、自分の家庭はどうなってしまうのだろうか、自分に将来はあるのだろうか、就職は、結婚は、と、目の前が真っ暗になるほどのインパクトはありました(いま思うと少しオーバーな反応ですが)。

母はこのトラブルにより、私(富条)のことを考える余裕は、ますますなくなっていきました。

この家庭内のトラブルは、私の理科の担任の先生がご存知でした。このため、先生にはときどき個人的に呼ばれて、私のいじめの問題もあわせて、いろいろアドバイスをいただきました。クラスメイトにも、口には出さなくても、私の家庭の問題を知っている人はいたことでしょう。Pさん・Qさんコンビなどは知っていてもおかしくなさそうでした。しかし(だからこそ?)、彼女たちは、私に対してとても親しく接してくれていました。

■ 悪いことが続く

学校での人間関係に家庭内トラブルと、悪いことばかり続きます。ついでに言うと、この頃から私の学業成績は、下降を続けるようになりました。高校受験を控えた大事な時期に、私は試練を迎えていました。

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◇ [緘黙] 僕なんて、いない方が [ストーリー]