緘黙児の注意機能

2009年07月14日(火曜日)

このブログでは、ときどき場面緘黙症の論文を取り上げています。私は専門家ではないのですが、自分自身の勉強も兼ねて。

今回の論文はこれです。

Oerbeck, B., and Kristensen, H. (2008). Attention in selective mutism--an exploratory case-control study. Journal of anxiety disorders, 22(3),548-554.

■ 概要

場面緘黙症と注意機能の関係について調べたものです。調査にあたっては Trail Making Test(注意力のテスト)や Child Behavior Checklist(子どもの行動・情緒の問題を評価)による尺度を用い、対照群(緘黙でない子たち)との比較を行っています。

■ 所感

場面緘黙症と注意機能の問題に関する報告は以前から出ていました。ですが、今回のように、神経心理学的な尺度を用い、対象試験を行った研究はこれまでありませんでした。

場面緘黙症というと、話せないとか、不安が強いとか、そうした面ばかりに注意が向かいがちですが、今回のように注意機能や、以前ご紹介した視覚記憶など(「緘黙児の言語能力、視覚記憶、社会不安」参照)、多面的に症児の調査が行われ、いまだ明らかにされていない病因(etiology)解明の手がかりが得られることを期待します。

著者は2名とも、ノルウェーの専門機関の所属です。特に Hanne Kristensen 氏は、場面緘黙症に関する論文を数多く発表されていて、世界の緘黙研究では有名な方ではないかと思います。Kristensen 氏の研究の中でもよく知られているのは、おそらく 2000年に発表された場面緘黙症の併存疾患に関する研究 "Selective mutism and comorbidity with developmental disorder/delay, anxiety disorder, and elimination disorder" で、日本の緘黙文献でも、何度も引用されてきました(「場面緘黙症Journal 論文情報」参照)。

簡単ですが、今回はこれまで。