[緘黙] 進路について考える [ストーリー]

2009年11月03日(火曜日)

このブログでは、私が緘黙だった頃のことを連載形式で書き続けています。今回は中学生編の第25回です。通算第52話をお届けします。

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■ 進路調査

中学3年の2学期にもなると、先生方は、わたしたち生徒に対し、これまで以上に進路について深く考えるよう指導されました。

10月には進路調査が行われました。将来どんな職業に就きたいか、進学と就職のどちらを希望するか、等々について書面で尋ねられました。

◇ どんな職業に就きたいか

将来どんな職業に就きたいかについて、私はたしか「自分に合った職業」と答えたと思います。

私には、将来具体的にこういう職業に就きたいという希望はありませんでした。私は外ではろくに人と話せず緘黙してしまいますし、加えて無類のおっちょこちょいで、何をさせても人並みはずれて失敗ばかりでした。このため、自分に勤まる仕事などとてもありそうに思えず、特定の職業への希望を持つこともなかったのです。また、こんな不器用な私が「将来○○の仕事をしたい」という希望を持つことは、不遜な思い上がりではないかというようなことも考えていました。

そういうわけで、謙虚に「自分に合った仕事がもしこの世の中にあれば(ないだろうけど)、その仕事こそ天職だろう」という思いで、進路調査では「自分に合った職業」に就きたいと答えたのでした。

◇ 進学を選ぶ

中学卒業後の進路については、これまでにもお話してきたように、高校(普通科)への進学を考えていました。

というのも、私の親が、「これからの世の中、男は大学を出ていないと」と、以前から繰り返し私に説いていて、その話を私は素朴に信じていたからです。大学に行くためには、高校に進まなければなりません。

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■ 先生と面談

この頃、担任の先生との面談が、頻繁に行われるようになりました。

面談の話題は勉強が中心でした。この頃、私の学校では、3年生を対象とした実力テストが毎月行われていたのですが、私の学年順位の低下は歯止めがかからず、いまや目も当てられない様でした。しかし、先生はそのことよりもむしろ、私の勉強時間と成績が比例していないことを気にしておられたようで、面談ではそのことについて何度か触れられました。

■ 受験校決定のための三者面談

2学期の終わりごろ、受験校決定のための三者面談が行われました。私の進学先を左右する、運命の三者面談です。

面談に先立って、生徒の方から、先生に希望する受験校を提出することになっていました。私が書類に書いた受験校は、ε高校(公立・本命)と、ζ高校(私立・滑り止め)の2校でした。ここのところ私の成績は極端に下がっていたため、当初の志望校から難易度を何ランクも落とし、この受験校に絞り込むことになってしまいました。

なお、当時この地域では、調査書(内申書)は、高校受験の合否にほとんど関係なかったものと記憶しています。緘黙の私にとって、幸か不幸か。

緘黙を経験した方のブログを拝見していると、ときどき、高校は遠く離れたところを受験したいと思ったという話を目にします。誰も知っている人のいない高校に行って自分を変えたいということです。ですが、私は高校は学力で選ぶものと信じこんでいましたから、そのようなことは全く考えませんでした。

◇ η高校

面談では、先生に、私立のランクを1つ落とし、ζ高校ではなくη高校を受けるようすすめられました。滑り止めは確実に受かるところにした方が良いとのことだったので、その通りにすることに決めました。

それにしてもこのη高校、不良が多いという噂があります。あくまで噂とは言え、大丈夫なのでしょうか。

◇ ε高校

ε高校は公立の本命校でしたが、先生のお話によると、現在の私の学力だと、チャレンジ校になりそうだということでした。

それなら、公立受験校のレベルをさらに落としてはどうかということを、私はその場で少し言った覚えがあります。我が家は母子家庭ですから、授業料のことを考えても、ぜひ公立に進みたいというのが理由でした。緘黙の私が、よくぞそのようなことを言えたものだと思うのですが、側に母がいたからでしょう。

しかし、先生がおっしゃるには、私立のη高校には母子家庭を対象とした授業料減免措置があるから心配はいらない、これ以上公立のランクは下げるべきでないとのことだったので、そうすることにしました。

◇ 受験校決定

結局、私ではなく先生が受験校を決めるようなかたちになってしまいましたが、ともかく、これで目標がはっきり決まりました。これから先の冬休みの勉強にも、力が入りそうです。

冬休み明けの1月には私立高校受験の願書提出、そして2月の頭にはいよいよ私立の一般入試の日が待っていました。

[続きの話]

◇ [緘黙] 初の高校受験 [ストーリー]