緘黙者が出てくるインド映画、フィクション本

2010年03月09日(火曜日)

■ インドの映画に、緘黙の主要登場人物が

場面緘黙症の登場人物が出てくるインドの映画があるというお話を、ある方からいただきました。

Krazzy 4 という、2008年に公開されたコメディー映画です。

インターネットを検索すると、確かに映画関連サイトやDVD販売サイト、Wikipedia などにそういう情報があります。その緘黙の登場人物・Dabboo は、4人の主要登場人物の一人で、かなり重要な役のようです。

気になったのは、その Dabboo という登場人物が、正確な年齢設定は分からないのですが、見たところ青年、ないし成人男性であることです。もしこの映画のスタッフが、青年期や成人期の場面緘黙症の問題を知った上でこうした設定をしたのであれば、非常に野心的な試みだろうと思うのですが、どうなのでしょう。もしそうではなくて、ただ単に場面緘黙症のことをよく理解せずにこのような人物設定を行ったのであれば、少しがっかりします。

この映画には、場面緘黙症のほかにも、様々な心の問題を抱えた人物が登場します。

■ 緘黙の主要登場人物が出るフィクション本

The Weight of Silenceフィクションついでにお話しすると、昨年7月に The Weight of Silence
という洋書が発売されました。この物語の主要登場人物が場面緘黙症という設定です。

この本はかなり売れているようで、アメリカの Amazon.com では140件以上のレビューがついています。場面緘黙症を主題とした本で Amazon.com で最も多いレビューがついている本は Helping Your Child With Selective Mutism (14件)なのですが、その10倍ものレビューがついています。

※ アメリカの Amazon.com は、日本の Amazon.co.jp に比べてレビューがたくさんつく傾向があります。ですから140件といっても、日本の Amazon.co.jp の140件と一緒にしてはいけません。

また、ブログ検索サイトで "selective mutism"(場面緘黙症)と検索すると、この The Weight of Silence を取り上げた英語圏のブログがかなりヒットします。

一般のフィクション本で、場面緘黙症にもともと関心がなかった多くの人の手に取られていると見えます。

一つ心配なのは、作者が場面緘黙症のことを正しく理解して書いたかどうかです。私はこの本を通読したわけではないのであまり大きなことは言えないのですが、本の公式な概要説明や Amazon.com のレビューを読む限り、不安を感じます。

■ フィクションに見る場面緘黙症-作者は、緘黙のことを理解しているか?

フィクションでは、場面緘黙症という設定の登場人物がまれに出ることがあります。緘黙の認知度向上のことを考えると、一般の人を対象としたフィクションで緘黙が取り上げられるのはありがたいです。ただ、中には、残念ながら作者が緘黙のことを正しく理解していないのではないかと思える例もときどき見られます(今回取り上げたものは、どうかはっきり分からないのですが)。フィクションの作者は勉強不足なものなのか、それとも場面緘黙症はそれほど理解が難しいものなのか。はたまた、作者は場面緘黙症を正しく理解した上で、ストーリーを盛り上げるためにわざとそう書いているのか(まさかそんなことはないだろうと思うのですが)。

いずれにせよ、場面緘黙症がフィクションで取り上げられるのは認知度向上のことを考えると嬉しいですが、誤解を招くようなことは書かないでいただきたいとは思います。もっとも、私もあまり偉そうなことは言えないのですが……。