[緘黙] 環境変わったら、いじめられなくなった [ストーリー]

2010年05月04日(火曜日)

このブログでは、緘黙とともに歩んできた私の来し方を連載形式で振り返っています。今回は高校生編の第3回です。通算第61話をお届けします。

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それから、簡単な登場人物紹介も作りました。⇒こちら

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■ 私のどこが「カワイイ」のか

高校生活2日目。1時間目はホームルームで、自己紹介をしました。私は小さな声でぎこちないながらも、なんとか自己紹介を終えることができました(と、ここまでは前回お話しました)。

そのHRが終わった後の休み時間のことです。私はあわてふためきました。クラスの女子4人が、私のことを

「カワイイ~♪♪♪♪♪」

と言いながら、私のもとへ、一斉に押し寄せてくるではありませんか。

この4人は、クラスでも最も活発なZさんという女子生徒を中心としたグループでした。私の全然知らない人たちで、同じ中学の出身者でもなんでもありません。先ほどの私のぎこちない自己紹介を見て、「あの男の子、カワイイ♪」などと、私に注目したのでしょう。

このZさん一派は私のことを「ヒロシ」と下の名前で呼び捨てにし、その後1年間にわたって、私のことを「カワイイ」と言いながらよってたかって馴れ馴れしく接してきます。こんなに女子にべたべたされた男子生徒は、クラスでは私だけでした。クラスの中心グループの彼女たちからこのような扱いを受けたので、私は大人しい性質にもかかわらず、クラスでもかなり目立つ存在になってしまいました。

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このようなことは初めてではありません。特に、私が中学2年に進級して間もない頃と実によく似ています(第37話「緘黙の男の子は、カワイイ?」参照)。思春期の活発な女子が当時の私に対してすること、感じることは、だいたい変わらないようです。

しかし、以前にも書いたのですが、私のどこが彼女達にとって「カワイイ」ものだったのか、いまだに分かりません。もしかすると、あまりに無口で大人しい私が、思春期の女子には面白くて仕方がなかったのではないかとも思うのですが、確証はありません。

実はZさんは、私と同様に、特別進学コースでの入学を希望したものの入れなかったとのことでした。この話を聞いて、私は「Zさんには勉強負けないぞ」と、ちょっとしたライバル意識を持つようになりました。

■ 相変わらず友達はいない

新しいクラスで私に一番親しく?接してきた人は、上記Zさんを中心とした女子グループで、このクラスで私に決まった友達はいませんでした。中学以前の友達とも、いまやせいぜい年賀状のやり取りぐらいしか接点はなくなっていて、友達がゼロの状態が続いていました。

そもそも、友達を作る気持ちが相変わらず全くありませんでした。もともと私は独りでいることが楽しい変わった性質の持ち主で、友達を作ろうとする意欲も極めて乏しい少年でした。加えてこの頃になると「周りに流されてはいけない。しっかり勉強するように」という学校側の指導があり、これが私にとって友達を作らなくてよいことの格好の理由付けになっていました。

■ 環境変わったら、いじめられなくなった

かくして友達がいなかった私でしたが、クラスメイトは男女ともに概ね私に対して好意的で、快適な学校生活を送っていました。無口な私をからかう者もおらず、むしろ私に親切にしてくれる世話好き?な女子生徒がいたぐらいでした。恵まれていたと思います。

中学3年のときとは、まるで様変わりでした。中3の頃は、クラスのいじめっ子や不良に日常的にいじめを受けるなど苦しい思いをして、「卒業までの我慢」と自分に言い聞かせながら学校に通う忍従の日々を送っていました。きっと高校に入るとまたいじめに遭うのだろう、高校生にもなると心身ともに大人に近づくのでもっとひどいいじめに遭うのではないか、そんな悪い将来を予想していました。それが、ご覧の通りです。環境が変わることによって、人間関係がこんなに大きく変わることもあるんだ、そう驚かされました。

■ しつこい中学時代のいじめっ子たち

ただ、中学時代のいじめっ子たちとの関わりが完全になくなったわけではありませんでした。

中3の頃に私をいじめた、いじめっ子B君は、私と同じ高校に通っていて(彼は私とは違い、特進クラスでした)、たまに私に会ったときにはちょっかいをかけてきました。

彼とは同じ高校に通っていた間柄なのでまだ分かるのですが、もう一人、私と違う高校に進学したいじめっ子A君まで私にたまにちょっかいをかけてきたのには、あきれてしまいました。彼が進学した高校は、私の高校と場所が全然違うのに、どうして会ってしまうのでしょうか。

ただ、彼らが私に関わってきたのは稀なことで、私は好意的なクラスメイトたちとともに快適な学校生活を送っていました。

[続きの話]

◇ [緘黙] 富条君は、何の問題もありません! [ストーリー]