厚労省の新ひきこもりガイドラインに、緘黙が

2010年05月20日(木曜日)

厚生労働省のひきこもり研究班がまとめた「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」が、5月19日に公表されました。

ひきこもりの相談窓口としては精神保健福祉センターや保健所、ひきこもり地域支援センター等がありますが、そのひきこもり担当者は、このガイドラインに目を通すものと思われます。

ところで、このガイドラインの中の「ひきこもりと関係の深い精神障害とその特徴」の一つに、「対人恐怖的な妄想性障害(醜形恐怖、自己臭恐怖、自己視線恐怖)や選択性緘黙など児童思春期に特有な精神障害」が挙げられています。このうち、緘黙に緘する記述は次の通りです。

* 以下引用(17ページより)*

また、選択性緘黙のような幼い頃から幼稚園や学校で口を閉ざしていた子どもが、やがて徐々に学校にいかなくなり家にひきこもる、あるいは高校卒業後は進路を決めないまま家庭にとどまるようになることがあります。

* 引用終わり *

多くの紙幅が割かれたわけではないとは言え、場面緘黙症を背景にひきこもりになることがあり得ると、厚労省のひきこもりガイドラインに明記されたわけです。これは驚きました。

ひきこもりと緘黙の関係を示すどういった根拠からこの記述に至ったのかが私には気になりますが、ガイドラインには特に何も書かれていません。もしかすると、成人後も緘黙やその「後遺症」で社会生活に困難を抱える人が多数いると主張する緘黙支援団体の活動が、厚労省研究班に伝わったのでしょうか。それもないとは言えませんが、私が思うに、緘黙の診断を受けたことのある、あるいは緘黙だった疑いのあるひきこもり者の例がきっと何例も報告されているのでしょう。

また、認知度が低く、そのうえ主に幼児期の問題と認識されている場面緘黙症が、比較的小さな扱いとは言え、ここで取り上げられた理由も気になります。ひきこもりの緘黙経験者は一定数いるということなのでしょうか。

私としては、緘黙は単に幼児期のみの問題ではなく、思春期以降も(ここでは高校卒業後の例が挙がっていますが)影響が及ぶ場合があることが示されている点、特に厚労省のガイドラインで示されている点が意義深いと考えています。

もっとも、緘黙を経験した人がみなひきこもりになるという意味ではありません。社会に出ている人もたくさんいるということを、念のため付け加えておきます。

[文献]

◇ 齊藤万比古ら(2010)「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」厚生労働科学研究費補助金こころの健康科学研究事業「思春期のひきこもりをもたらす精神科疾患の実態把握と精神医学的治療・援助システムの構築に関する研究(H19-こころ-一般-010)http://www.ncgmkohnodai.go.jp/pdf/jidouseishin/guideline100520.pdf