場面緘黙症の治療体系もどき(2)

2006年04月22日(土曜日)
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■ 家族療法(おすすめ度★☆☆)

家族療法は、多くの本に取り上げられる治療法の一つです。

しかし、最近は、家族病理は緘黙症の主要な原因とは考えられなくなってきているので、この療法は今や時代遅れです。

ただ、家族に何らかの問題があって緘黙症になったという場合もないことはないようなので、その場合には家族療法も有効かもしれません。

■ 精神力動療法(おすすめ度★☆☆)

母親の過干渉や父親不在など、緘黙児がなんらかの精神的な葛藤を持っているのではないか、という考え方にもとづいた治療法です。精神力動療法では、そうした葛藤に焦点を当て、患者に葛藤を自覚、解決させます。

昔はこういう精神力動というものが場面緘黙症を引き起こす要因として注目されていたのですが、最近は、もっと生物学的な要因が重視されています。要するに、精神力動療法も古い治療法です。

■ 言語療法(おすすめ度★☆☆)

日本ではどうか分かりませんが、英語圏には、何やら、発話の訓練まがいのことをする医師が少なからずいるようです。

これも、古い治療法と考えてよいでしょう。ごく一部の、言葉の遅れなどがある緘黙児にはこの治療法も役立つかもしれませんが、一般の緘黙児にはその有効性が疑問視されています。それどころか、かえって緘黙児に話すことへの恐怖感を増幅し、緘黙症を悪化させかねません。

心理学関係の解説書(英語圏)には、緘黙症には言語療法が有効だと誤って説明しているものが多く、たちが悪いです。

■ 集団療法(おすすめ度?)

ときどき場面緘黙児に集団療法をするという話を聞くのですが、手元に情報が少なく、私には詳細は分かりません。

■ 音楽療法(おすすめ度?)

同上。

■ まとめ

一口に場面緘黙児といってもさまざまですから、それぞれの子供に合った治療法があるはずです。子供によっては、家族療法や言語療法が効果的な場合もあるかもしれません。

これまでにご紹介した治療法の数々を組み合わせ、その子に応じた治療法を体系づけるのが正解なのでしょう。

(おしまい)


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[参考にしたもの]

(スタイルが二転三転しますが、今後は APA style を参考にリストします)

■ 本

☆ Dow, P. S., Sonies, C. B., Scheib, D., Moss, E. Sharon, & Leonard L. Henrietta. Practical guidelines for the assessment and treatment of selective mutism In Hertzig, E. M., & Farber, A. E. (Eds.). (1996). Annual Progress in Child Psychiatry and Child Development 1996 (pp. 452-472). New York: Brunner/Mazel.
☆ Garcia, M. A., Freeman, B. J., Francis, G., Miller, M. L., & Leonard, L. H. Selective mutism In Ollendick, H. T., & March, S. J. (Eds.). (2004). Phobic and anxiety disorders in children and adolescents : A clinician's guide to effective psychosocial and pharmacological interventions (pp. 433-456). New York: Oxford University Press.
☆ Ronen, T. (2002). Cognitive-Constructivist Psychotherapy With Children and Adolescents (pp. 77-98). New York: Plenum.

■ ウェブサイト

☆ Cole, W. (2006). Why Abby Won't Talk. Time. Retrieved 00:50, April 22, from http://
www.selectivemutismcenter.org/TIME.htm
☆ Schwartz, H. R. (2005). "Shy" child? Don't overlook selective mutism. Contemporary pediatrics. Retrieved 00:50, April 22, 2006 from http://
www.contemporarypediatrics.com/contpeds/
article/articleDetail.jsp?id=170282&sk=&date=&pageID=2.