緘黙の本が吃音コーナーに

2010年07月08日(木曜日)

大型の書店に行くと、緘黙の本が置いてあることがあります。ある日も、私の地元としてはかなり大きな書店で緘黙の本を2~3冊見つけたのですが、置いてある場所に驚きました。なんと、吃音コーナーにあるではありませんか。緘黙と吃音は違います。ですが、店員も他に適当な場所が見つからず、苦肉の策としてここに置いたのではないかとも想像しました。

そこで、緘黙の本が図書館や書店でどのように分類されているのか、調べてみました。

■ 方法

調査対象は、緘黙についての代表的な本『場面緘黙へのアプローチ』『場面緘黙Q&A』『場面緘黙児への支援』『場面緘黙児の心理と指導』『君の隣に』『負けたらあかん!』です。

これらの本が、(1)図書館で広く採用されている NDC(日本十進分類法)新訂9版による分類、(2)NDLC(国立国会図書館分類表)による分類、(3)ネット書店による分類(調査しやすかったビーケーワン、ジュンク堂、e-hon)ではどう分類されているかを調べました。このうち(1)については、「東京都公立図書館横断検索」を使い、東京都の公立図書館でどう分類されているかを調べました。

■ 結果

◇ 『場面緘黙へのアプローチ』(イギリスの本の邦訳版。DVD付)

NDC9版:障害児教育(378 または 378.8 または 378.5)
NDLC:「組み合わせ資料」の「ビデオディスク」(YU17)、問題行動(※情緒障害はここ)(FG8)
ビーケーワン:教育・学参>教育>障害児教育>障害児教育一般
ジュンク堂:人文(教育)>教育>特別支援教育(一般)
e-hon:教育/特別支援教育/特別支援教育その他

◇ 『場面緘黙Q&A』(大きな本)

NDC9版:障害児教育(378 または 378.8)
NDLC:知的障害、発達障害(FG6)
ビーケーワン:教育・学参>教育>障害児教育>障害児教育一般
ジュンク堂:人文(教育)>教育>学習障害
e-hon:教育/特別支援教育/知的障害・発達障害等

◇ 『場面緘黙児への支援』(カナダの本の邦訳版)

NDC9版:障害児教育(378 または 378.8 または 378.6)
NDLC:聴覚障害、言語障害(FG4)
ビーケーワン:教育・学参>教育>障害児教育>障害児教育一般
ジュンク堂:人文(教育)>教育>特別支援教育(一般)
e-hon:教育/学校教育/学校教育その他

◇ 『場面緘黙児の心理と指導』(河井芳文、英子氏による本)

NDC9版:障害児教育(378 または 378.8)
NDLC:特別教育(FG1)
ビーケーワン:教育・学参>教育>障害児教育>障害児教育一般
ジュンク堂:人文(教育)>教育>特別支援教育(一般)
e-hon:教育/特別支援教育/知的障害・発達障害等

* * * * * * * * * *

◆ 『君の隣に』

NDC9版:記録.手記.ルポルタージュ(916)または?(493.76)
NDLC:「医学」の「雑」(SC19)
ビーケーワン:文芸>文学>国内>日本近現代文学
ビーケーワン:文芸>文学>国内>日本現代文学>2000年代
ビーケーワン:文芸>ノンフィクション>国内
ジュンク堂:文芸>エッセイ>文芸エッセイ
e-hon:文芸/エッセイ/エッセイその他

◆ 『負けたらあかん!』

NDC9版:記録.手記.ルポルタージュ(916)または障害児教育(378)神経科学.精神医学(493.7)日本文学(910)?(371.4)(788.5)
NDLC:不明
ビーケーワン:文芸>文学>国内>日本近現代文学
ビーケーワン:文芸>文学>国内>日本現代文学 > 1990年代
ビーケーワン:文芸>ノンフィクション>国内
ジュンク堂:文芸>文芸>文芸
e-hon:教養/ノンフィクション/医療・闘病記

■ 考察

よく図書館で見かける NDC9版の分類では、緘黙の解説書は全て「障害児教育」のカテゴリである378番代です。体験記は、「記録、手記、ルポタージュ」に分類されていることが多いです。

ですが、国立国会図書館の分類では、このあたりがバラバラです。同じ緘黙の解説書でも、「問題行動」に分類されていたり、「知的障害、発達障害」「聴覚障害、言語障害」「特別教育」に分類されていたりと一貫していません。国会図書館の分類では、「緘黙症」は「言語障害」の下位語に位置づけられているのですが、必ずしもここに分類されているわけではありません。

ネット書店は、それぞれ独自の分類を設けています。ビーケーワンは、緘黙の解説書については一貫して「障害児教育一般」に分類しています。それ以外の書店の場合、やや分類が分かれるようです。

店頭ではおそらく「緘黙」コーナーが設けられていることは非常に稀でしょうから、「障害児教育」など、それに近いコーナーを探した方がよさそうです。ただ、最近の大きな書店では、本が置いてある場所まで分かる検索端末が設置されている場合も多いので、本を探すのに困ることはあまりないかもしれませんが。

[訂正]

NDLC が NDCL になっていたので、訂正しました。(2010年7月9日)