緘黙経験者から聞き取り調査を行った論文

2010年08月10日(火曜日)

このブログでは、ときどき場面緘黙症の論文を取り上げています。私は専門家ではないのですが、自分自身の勉強も兼ねて。

今回の論文はこれです。個人的に気になったので題材にします。

Omdal, H. (2007). Can adults who have recovered from selective mutism in childhood and adolescence tell us anything about the nature of the condition and/or recovery from it? European Journal of Special Needs Education, 22(3), 237-253.

■ 概要

ノルウェーの研究です。場面緘黙症について教師にとって重要な含意があるテーマ5つを設定し、その上で、かつて場面緘黙症を経験した方6名と面接を行い、5つのテーマについて自身の場合はどうだったか聞き出し、それらをまとめています。

■ あらま!

考察部分の一部にあたる248-249ページが、とある事情により読むことができませんでした。

■ 所感・所見

かつて緘黙を経験した方から体験談を聞き出すという、この種の論文としては異色の調査方法がとられています。このため、調査対象者の年齢層も、31歳から60歳までと、緘黙関係論文としては異例の高さです。特に60歳女性は第二次大戦中に育った方で、こうした年代の方の緘黙のお話はなかなか目にすることはありません。

この独特の方法ゆえ、引き出せた事実もあります。例えば、6名の緘黙経験者のうち4名が、緘黙が軽快する過程で自ら意識的に発話をしようという決意を行っていました。また、緘黙経験者が、今なお場面緘黙症のいわゆる後遺症に悩まされている事実も明らかになっています。いずれも重要な事実だと思います。

ただ、論文を読みすすめるうちに、これは本当に場面緘黙症なのだろうかと思われる描写が多少あり、考え込んでしまいました。また、調査対象の緘黙経験者が全員女性であり、男性の方のお話も読んでみたかったところですが、これはやむを得ません。