[緘黙] アルバイト恐怖 [ストーリー]

2010年09月01日(水曜日)

このブログでは、私の過去を連載形式で振り返っています。今回は高校生編の第7回です。通算第65話をお届けします。

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■ 高校は、学校行事が充実していない

学校行事を通じて集団の輪に入っていくことは、緘黙の克服には有益だろうと今にして思います。しかし、高校は、小学校や中学校に比べると学校行事が充実していませんでした。私の高校だけかもしれませんが。

2学期には、体育祭や文化祭といった大きな学校行事があったのですが、私の高校では、どちらの行事も希望者が中心となって行うというかたちを実質的にとっていました。このため、体育祭の競技に一切出ていない生徒もたくさんいましたし、文化祭の模擬店についても、出店するクラスとしないクラスに分かれるなどしていました。中学では全員がもっと強制的に参加させられたのに、違うものです。このため、体育祭や文化祭の規模は、それほど大きくはありませんでした。

引っ込み思案の私は、どちらにもあまり参加しないまま終わってしまいました。この頃の思い出と言えば、体育祭で、私が椅子に座って静かに観戦していたところ、クラスで最も活発なZさんを中心とするクラスの女子グループに、「中学のときに好きだった女の子の名前、教えてー♪☆!」などと迫られ、頭がどうにかしそうになったことが思い出されるぐらいです(なんなんだ、この女子たちは!)。

他にも遠足など、学校行事全般が、高校には少なかったです。

あと、授業についても、実技系の授業や理科の実験もほとんどなく、ひたすら椅子に座って授業を聞いて板書をとるという、座学の授業がほとんどでした。

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■ アルバイト恐怖

高校生ともなると、アルバイトをする人もいます。私も母子家庭の長男として、家計を助けるためアルバイトをするべきだろうか、そんなことを考えたことがあります。

ですが、人並み外れたおっちょこちょいで要領も最悪で、加えて、極端に無口で引っ込み思案な私が、アルバイトをする自信など到底ありませんでした。また、私がアルバイトなどしようものなら、仕事先で多くの人に多大な迷惑をかけてしまうのではないか、そんなふうに思えてなりませんでした。

さらに、それ以前に、アルバイトをするということを考えると、なにやら言いようのない、とてつもなく大きな恐怖を感じました。

恐怖と言えば、昨年、中学の修学旅行で京都の清水寺を訪れたときに、清水の舞台から下を眺め、ここから飛び降りればどうなるだろうかと考えたことがあります(この修学旅行については第44話参照)。といっても、なにも身投げをしようとしたわけではありません。ことわざになった清水の舞台から飛び降りることが、どれほど恐ろしいことか想像してみたわけです。結局、こんなところから飛び降りたらひとたまりもない、飛び降りるには非常な勇気がいると感じました。しかし、アルバイトに応募することを考えると、私はそれ以上の恐怖を感じたのです。みな、これだけの恐怖を乗り越えてアルバイトをしているのでしょうか。

しかし、私が通っていた高校では、校則によりアルバイトが原則禁止されていることを知りました。どちらにしろ、私にアルバイトをするという選択はなかったようで、これにより学業に集中することが決定的になりました。

■ 学校の相談室

学校には相談室が設けられていました。自分の極端な引っ込み思案が気になっていた私は、この相談室に興味は持っていました。ですが、実際に訪れることは1度もありませんでした。

この相談室にいたカウンセラーは学校のベテラン教諭で、臨床心理士の資格を持った方ではどうもなさそうでした。今はどうなのかは知らないのですが、当時はこういう状況でした。

■ 2学期に入っても成績好調

2学期に入った直後には、夏休み明けの学年実力テストが行われました。私はここでも成績を伸ばしました。ここで担任A先生が、クラスで私の学年順位を遠まわしに発表したものですから、私は成績優秀な生徒としてますます一目置かれるようになってしまいました。

■ 担任A先生が退職される

さて、そんなとき、担任A先生から重大発表がありました。

「私、妊娠しています」

出産のため、A先生は2学期の半ばに学校を退職されるというのです。ときどき通院をされていたのは、このためだったのだと、はっとしました。

「私の身体の変化から、勘のいい女子は気づいていた。一部の男子は私の体型をからかっていたようだけど、それはこういうことだったのよ!」

2学期の後半からは、新しい担任の先生が来られることになります。さらには、新しいクラス委員の選出も予定されていました。

[続きの話]

◇ [緘黙] クラス委員長になってしまう [ストーリー]