緘黙女子が登場する小説『二人静』

2010年09月21日(火曜日)

二人静Twitter では、以前より場面緘黙症の女子が登場する小説が出版されると話題になっていました。その小説が先日発売されたので、Amazon.co.jp を通じて買って、読んでみました。

盛田隆二氏による『二人静』という461ページからなる作品です。主要登場人物の一人に、緘黙の女子小学生が登場します。作品の中ではっきりと「場面緘黙症」の文字が、さらには本の帯にも「場面かん黙症」の文字が出てきます。書店でこの帯の本が置かれ、多くの人に買われる様を想像すると、これは緘黙の認知度向上につながるだろうと思えます。

※ この小説について、場面緘黙症Journal では、「場面緘黙症の女子の小説だそうです」とご紹介していましたが、誤解を招く表現でした。失礼致しました。

読んだ感想ですが、著者は場面緘黙症のことをよく勉強していると感じました。例えば、作中に登場する緘黙の子の母親も、おとなしくて控えめな性格だと指導主事が指摘する場面がありますが、確かに緘黙の子にはそうした親が多いという研究結果があります。フィクションに緘黙の子が出るときは、果たして緘黙の子がこのような言動をするだろうかと素人から見てもいささか首をかしげざるをえない描写を見かけることが残念ながらあるのですが、この本では、(素人の)私の目から見てそのようなことはありませんでした。ただ、携帯電話によるコミュニケーションの話は、あり得るようなあり得ないような、勉強不足の私には分からない箇所でした。

私は文芸作品はあまり読まず、一つの文芸作品としてのまともな論評はできないのですが、この本にはぐいぐい引きこまれ、時間を忘れて一気に読むことができました。面白かったという素朴な感想です。この前ご紹介した重松清氏の「ハンカチ」(『青い鳥』収録)とは違い、大人向けの作品。