[緘黙] 緘黙最悪期の同級生と、再び [ストーリー]

2010年12月01日(水曜日)

このブログでは、私の過去を連載形式で振り返っています。今回は高校生編の第10回です。通算第68話をお届けします。今回から、高校2年生の話に入ります。

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■ 朝の挨拶と、2人の女性教諭

私の高校でも、朝の挨拶の指導が行われていました。登校途中、生徒は先生に顔を合わせたら、「おはようございます」と挨拶しなさいという指導です。

私も朝の挨拶をしていました。この頃の私はある程度緘黙が軽快していたので、「おはようございます」といった短い定型的な挨拶であれば、全くできないことはありませんでした。ただ、どう頑張っても小声でしか挨拶ができませんでした。

私が朝よく偶然お会いし、挨拶をしていた先生がいらっしゃいます。以下のお二人です。いずれも直接お世話になったことがない先生でした。

◇ 学校一の美人教師・C先生

そのお一人は、学校一の美人教師と評判のC先生(英語)でした。こんなに綺麗な先生は見たことがないというほどの、お美しい先生でした。

C先生は当時、私と同じ第一学年の特別進学クラスを受け持っておられたので、もし私が2年のクラス替えで特進に入れば、自分の担任になる可能性が大いにありました。この先生に将来受け持っていただけると嬉しいです。

◇ 学校一の強面女性教師・D先生

私が朝よくお会いし、挨拶をしていたもう一人の先生は、D先生(国語)というややご年配の女性教師でした。こんなに怖そうなオーラを漂わせた女性は(自分の母親以外に)見たことがないというほどの、恐ろしそうな先生でした。

D先生もまた、当時、私と同じ第一学年の特進クラスを受け持っておられたので、もし私が特進に入れば、自分の担任になる可能性は大いにありました。正直なところ、この先生にはあまり受け持っていただきたくはありません。

◇ そして担任が決まる

さて、2年の始業式の日、新しいクラスが発表されました。私は、終業式の日に知らされた通り、特進(下位)クラスに入っていました。そして、担任は……





あの怖そうな、D先生でした。ガーン!

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あのお美しいC先生は、私が2年に上がった頃には、学校を退職されていました。

いかん、これはプラス思考で考えるべきだ、怖い先生のもとだからこそ受験勉強に励むことができるではないか、そう自分に必死に言い聞かせました。

そうです。希望していた特進クラスに入ることができたのです。私は高校受験での挫折以来、「高校受験の失敗を大学受験で取り返す」この初心を忘れた日は一日もありませんでした。そのための第一目標が、特進クラスに入ることでした。その目標を達成した今、あとは大学受験で結果を残すだけです(でも、やはり美人のC先生には未練が……)。

■ 5学年ぶりに同じクラスになったMさん

新しいクラスになって何よりも驚いたのは、小学校の頃の同級生・Mさんと同じクラスになったことです。しかも私の隣の席ではありませんか。

Mさんは、小学校当時、私のことが好きなのではないかという噂の立った女子生徒です。真相は結局不明に終わったのですが、このような人と同じクラスに、しかも隣の席になってしまうという運命の不思議さには、ただ驚くばかりでした。

私がMさんと同じクラスになったのは、小学校6年以来、実に5学年ぶりのことでした。小6と言えば、私の緘黙が最もひどかった頃です。高2の頃の私は、緘黙はある程度軽快していましたが、Mさんは高2の私を見てどう感じるのでしょうか。

私から見た今のMさんは相変わらず活発そうな人で、新しいクラスでも中心的な存在の一人になりそうでした。

この新しいクラスには、Mさんのほかに、私が知っている人はほとんどいませんでした。前のクラスメイトで、私と同様特進クラスを希望していたZさんも、このクラスにはいませんでした。いじめっ子B君も、特進上位クラスに在籍していて、私とは別でした。

■ Mさんに「ありがとう」と伝えたところ……

始業式の日、そろそろ終礼で学校が終わろうという頃、隣の席のMさんが私に一言声をかけてきました。

「落ちてるよ」

見てみると、書類が私の机の下から落ちています。

こういうときは、普通の人であれば「ありがとう」とお礼を言って拾うところでしょう。しかし、緘黙の人にとっては、「ありがとう」の一言を言うことすら難しいところです。ですが、この頃の私は、緘黙が軽快していました。新学期で張り切っていたこともあり、私はぎこちないながらも頑張って「ありがとう」とMさんに伝えました。すると、Mさんは少しびっくりしたような顔をしました。

翌日以降、知らないクラスメイト何人もが、男女関係なく、私に親しく声をかけてくれるようになっていきます。奇妙なことに、相手は私のことを知っているような様子でした。誰かから私の話を聞いたのでしょうか。これらのクラスメイトはほぼ共通して、Mさんのお友達でした。

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◇ [緘黙] 富条君の笑顔を見たい! [ストーリー]