[緘黙] 引っ込み思案なのに目立ちたがり屋 [ストーリー]

2011年03月01日(火曜日)

このブログでは、私の過去を連載形式で振り返っています。今回は高校生編の第13回です。通算第71話をお届けします。

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今回は、クラスの人間関係についてお話します。

■ 相変わらず、友達はできなかったが……

高2の新しいクラスでも、私には友達はできませんでした。私と友達になりたいというクラスメイトはいなかったようですし、私自身、友達なんていらないと考えていました。また、言い方はよくありませんが、このクラスは勉強に対する意識があまり高くない生徒が多かったため(いちおう特進クラスなのに)、クラスメイトとは適度に距離を置いた方がよいという判断もありました。

ですが、私はクラスで完全に孤立していたわけでなく、仲良く声をかけてくれるクラスメイトが男女問わずたくさんいました。私の方からクラスメイトに声をかけることはほぼ皆無だったのですが、クラスメイトの方から私に話しかけてくれたのです。私はクラスのどのグループにも属していなかったのですが、そのためか、かえってグループの垣根を越えて様々な人が親しくしてくれました。

中学時代まで悩まされていたいじめともこのクラスでは無縁で、私が無口なことで責められることもありませんでした。よきクラスメイトに恵まれ、幸運です。

■ 成績優秀な生徒と思われ、近寄ってくるクラスメイトも

中には、私を成績優秀な生徒と思い込み、私に近寄ってくるクラスメイトもいました。定期テストで上位の成績をとっていたからでしょう。

時には、クラスメイトから勉強の教えを請われたものです。声を出すのが苦手な私は、特に当初これに戸惑いました。ですが、このときの私は緘黙が軽快していたので、小声でなんとか答えていました。相手が単に問題の答えだけ教えて欲しいという場合も、それだと本人のためにはならないと思い、どうしてそういう答えが導き出せるのかわざわざ解説を加えたこともあります。

こうしたことは緘黙気味の私には必ずしも楽なことではありませんでしたが、緘黙の克服にはよかったのかもしれません。

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■ だんだん目立ちたがり屋になっていく

そのうち、私はクラスで最も大人しくて静かにもかかわらず、どういうわけかクラスでは目立つ存在になってしまいました。緘黙の私が目立つ存在になったことは初めてではなかったので、これにもすっかり慣れてしまっていました(過去の緘黙ストーリー参照)。

しかしこうした学校生活が続いたためか、この頃になると、私は次第に目立ちたがり屋な性格になっていきました。ですがその一方で、極端に引っ込み思案な性格だったわけですから、なにやら矛盾しています。

■ 髪型を頻繁に変えるMさん

高校2年の5月以降になると、隣の席だったMさんとも席が離れ、私はもっと様々なクラスメイトに注意が向くようになっていました。Mさんは、私と小学校の頃同級生だった人で、当時私のことが好きという噂が立っていたものの真相不明に終わった人です。

この頃、Mさんはなぜか髪型を頻繁に変えていました。そうしてある時、ついに髪をバッサリ切り落としてしまいました。これには彼女の友達はもちろん、担任のD先生までもが何事か、失恋でもしたのかと騒いでいました。ですが、私はといえば「オナゴのすることはよく分からんのう」ぐらいにしか考えず、Mさんにはますます関心を失っていきました。

■ 成績トップ、クラス一可愛いWさん登場

◇ 意外に注目されていた私の発言

こうした学校生活を送っていたところ、ある日Wさんから声をかけられました。

Wさんは、この前の中間考査でクラストップだった女子生徒で、またクラス一の美人でした(前回のお話参照)。私は以前からこのWさんとはどういう人物だろうかと気になっていたのですが、期せずしてWさんの方から私に話しかけくれたのでした。私は中間考査ではWさんに次いで2番だったので、声をかけてもらえたのかもしれません。いずれにせよ、寡黙な私からWさんに話しかけるはずがありません。

そのWさんが、初めて私に話しかけてくれた時の一言は、今でも覚えています。

「富条君って、○○の人じゃないでしょ!」

※ ○○は地名。この土地の人じゃないでしょ、の意味。

いきなり私の素性を言い当てられ、びっくりしました。確かにそうです。私は小学生の頃、この地に引っ越してきたのでした(第6話参照)。ですが、どうしてWさんがそのようなことを知っているのでしょうか。

「だって富条君、○○弁話さないもん」

この土地の方言を話さないから、そう思ったというのです。これは意外でした。私は緘黙が軽快していたとはいえ、学校ではほとんど口を開くことはありませんでした。何かものを言ったとしても、小声が精一杯で、周囲には声は届きませんでした。しかも、Wさんとは同じクラスになってまだ数ヶ月です。それなのに、私の言葉の遣い方を知っているとは。

もしかすると、私は寡黙だったがゆえに、かえってその発言がクラスメイトに注目されていたのかもしれません。考えてみると、ぞっとしました。

それにしても、このWさんの洞察力も大したものです。また、初対面でこのようなことを言い当て、私に強烈な第一印象を与えるWさんの対人関係術にも感心しました。クラスで1番取るだけあって賢そうな人です。

◇ Wさんとも仲良くなる

Wさんは私のことを気に入ってくれたようで、以後、私に最も仲良くしてくれるクラスメイトの一人になりました。

かくして、しかもクラスでも一番可愛い異性と仲良くなってしまいました。私は別にWさんに恋愛感情はありませんでしたが、これは嬉しかったです(スミマセン……)。


私の学校生活は、一時に比べてずっと充実しているのではないかと思えました。しかし、かえって居心地の悪さのようなものも感じていました。

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◇ [緘黙] 学校生活がうまくいくと、違和感 [ストーリー]